海老名【首都圏格差シリーズ】憧れの街の意外な現実

「何もなかったから海老名は良かった」とは、現在の海老名を語る際によく出るフレーズだ。戦前の海老名は寒村で、当時は相模川を挟んだ対岸の厚木におんぶにだっこ状態。現在の厚木駅は海老名市内にあるが、これは駅を作ったときに寒村の海老名を駅名にしても知名度がないからと、知名度が高い厚木にしたというウソかホントかわからない逸話がある。実際は神中鉄道(現在の相鉄)を厚木方面まで通す予定が、相模川の架橋が資金難で進まなかったため、両自治体の相談で川の手前に設置した海老名側の駅を厚木駅にしたそうだ。いずれにしろかつての海老名には地域力もウリもなかったのだ。

目を見張るばかりの海老名駅前

海老名【首都圏格差シリーズ】憧れの街の意外な現実

(Image:Shutterstock.com)

その海老名で大がかりな開発が始まったのは、1990年以降とかなり最近のことである。1993年に日本初のシネコンといわれる「ワーナー・マイカル・シネマズ海老名」(現在のイオンシネマ海老名)が開業し、続く1995年には地上25階の「海老名プライムタワー」が開業。そして海老名発展の象徴といわれているのが、海老名駅の東口に2002年に開業した130もの専門店が入居する大型ショッピングモール「ビナウォーク」と、2015年に海老名駅の西口に開業した「ららぽーと海老名」である。ビナウォークの計画は1987年に持ち上がっていたが、その計画理由は簡単にいえば、「海老名の駅前があまりにも寂しく何もないから」というもの。当時は駅前にシネコンも高層ビルも何にもなく、畑が広がっている有様だったのだ。しかし、だからこそ海老名には最新型の立派な巨大施設ができたわけで、それまで中途半端に開発されていたら、今の厚木を凌駕するほどの大発展はなかっただろう。 現在の海老名駅前は東西両口に大型の商業施設があり、周辺には高層マンションが建ち並んでいる。そのおかげで一日平均の乗降人員数(2016年)は約14万8000人と、小田急線の駅の中で7位と上位にランクしている。さらに不動産サイトの住みたい街ランキングでも、「穴場だと思う街」や「今後、地価が値上がりしそうと思う街」のテーマでいずれも関東のトップ10に入っている。ただ、海老名が暮らしやすい街かといえば、それはどうなのだろう? 目玉は駅前のみで、大型商業施設しか基本的にないから街としての面白みは感じられない。どうせならそろそろ巨大開発をやめ、田園地帯としての良さを活かして、自然との共生を目指す方向性もありだろう。ファミリー層へのいいアピールになると思うが。
それでも将来性という観点で見れば、海老名は十分に期待が持てる。ロマンスカーの停車で利便性がアップしたことに加え、2019年には相鉄がJR横須賀線と直通運転、2022年には東横線と直通運転を開始する予定になっている。そのとき海老名の街に「個性」が生まれているようなら、住む街として本当に「買い」となるだろう。

文=

引用元:首都圏格差 首都圏生活研究会 (著)(三交社刊)

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