元号が「令和」に変わって、「あー、早く令和年号の入った硬貨が見てみたいな~」なんて思っている人も多いのでは? でもよく考えたら、お札には年号が入っていないのに、どうして硬貨にだけ年号が入っているのだろうか? 今回はそんな素朴な疑問にお答えしよう!
硬貨に年号があるのは金本位制の頃の名残
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元号が平成から令和に代わって1カ月が過ぎたが、早く「令和」の元号は入った硬貨が見てみたいなんて思っている人も多いのでは? しかし、硬貨には年号が入っているのに、どうしてお札には年号が入っていないのだろうか? まずは、硬貨に年号が入っている理由から説明しよう。
そもそも金本位制・銀本位制の時代には、硬貨の価値を担保するために実際に金や銀が含まれていた。しかし、金や銀の含有量は毎年微妙に異なっていたため、年号を刻印することで金や銀の含有量がすぐにわかるようにしていたらしい。つまり、硬貨に年号が入っている理由は“金本位制の慣行が残っているから”ということになる。とはいえ、硬貨は何十年も使用されるので、交換時期が一目でわかるようにするために、今も年号が刻印されているとする説もある。ちなみに、日本銀行に回収された硬貨のなかで、極端に摩耗・変形したものは製造元の造幣局に戻され、そこで再び硬貨にとなるという。
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紙幣は日本銀行が発行しており、印刷は独立行政法人国立印刷局が行うが、貨幣は日本政府が発行するのもで、実際の製造は独立行政法人「造幣局」が行っている。意外と知らない人も多いのでは?
紙幣に製造年がないのは紙幣の寿命が短いから
硬貨に年号があるのに、どうしてお札には年号がないのだろうか? その理由は“お札の寿命は非常に短いから”だという。何十年も使える硬貨と違って、お札の平均的な寿命は1万円札で4~5年程度だと言われており、支払いでやり取りされることが多い5,000円札や1,000円札は傷みやすく、1~2年程度でダメになるそう。そのためお札には年号を入れる必要がないのである。また、お札には通し番号が記載されているが、国立印刷局ではこの通し番号を見れば、いつ印刷されたものかわかるので、製造年を入れなくてもよいという説もあるらしい。
ちなみに、日本銀行に戻ってきたお札のなかで、汚れたり破れたりしたものは細かく裁断される。裁断された紙屑は、なんと、約6割が住宅用の建材や固形燃料、トイレットペーパーなどにリサイクルされるという。もしかすると、今あなたがお尻を拭いているのは1万円札が原料のトイレットペーパーかもしれない……。