2020年9月、発足したばかりの菅義偉政権によって「携帯電話料金の値下げ」が言い渡された。これまで幾度となく政府から要請されてきた、携帯電話料金の値下げ。しかし、記憶を辿ってみると、「docomo」「au」「SoftBank」の3大キャリアにおいて携帯電話料金が格段に安くなったと感じる人は少ないだろう。
「高い」とは思いつつも、必要経費として諦められてきた毎月の出費。果たして、今度こそ携帯電話業界の変革は起きるのだろうか。
3大キャリア、月額1万円以上が40%を占める現状
選挙調査を行う株式会社グリーン・シップは、携帯電話料金等に関する調査を実施した。現在の携帯電話料金は、格安スマホを利用している人の過半数が月額1,000~3,000円なのに対し、3大キャリアを利用している人の40%以上が月額1万円以上を支払っていることが判明した。
高額な料金を支払っている3大キャリアユーザーも、現在の料金体系に満足していない様子だ。「妥当だと思う月額料金は?」という設問に対しては、3大キャリアユーザーの80%以上が「5,000円台以下」と回答。希望と実情が乖離しており、携帯電話料金の値下げへのニーズは極めて高いことがわかる。“お客様の声”でもあるこの結果を、携帯電話業界はどう捉えているのだろうか。
こうして安い携帯料金が求められるようになった背景には、言わずもがな格安スマホの存在がある。一昔前まで、「繋がりにくい」「機能面で劣る」とされてきた格安スマホだが、近年格安スマホ業界は目覚ましい成長を見せており、今や3大キャリアに引けをとらないサービス内容となった。こうした格安スマホの良い評判が口コミなどで広がり、「携帯料金は安くできる」という意識がユーザーの中に根付いたのだ。
例えば、近頃話題になっている楽天モバイルは、楽天回線エリアでのデータ使い放題で月額2,980円。楽天回線エリアは、現在各主要都市が対象となっており、東京では23区のほとんどがエリアとなっている。神奈川、埼玉、千葉のベッドタウンエリアもカバーしており、東京近辺で生活する人にとっては何ひとつ不自由なく、かつオトクに利用できるのだ。また、LINEモバイルは月額600円のプランから用意されており、いずれのプランにもLINEのデータ消費量がゼロになるオプションがついてくる。携帯電話を連絡手段としてのみ利用している人にとっては、うってつけのプランだろう。
調査結果を見る限り、携帯電話料金の理想と現実のギャップを埋めるために、今後は格安スマホに移行する人が本格的に増えてきそうだ。そうなれば、顧客獲得のために3大キャリアも値下げせざるを得ない状況になる。これまで叫ばれ続けてきた携帯電話料金の値下げが、今度こそは実現するかもしれない。
参照元:妥当と思う携帯電話の月額料金 3大キャリア利用者3,000円台と5,000円台 格安スマホ利用者2,000円台が多数【グリーン・シップ 】