現在、国をあげて普及に取り組んでいることもあり、都会から地方までユーザーが急増しているキャッシュレス決済。しかし、各サービスとも老若男女問わずまんべんなく使われているわけではなく、年齢ごとに傾向が存在することがわかった。
今回は、若年層が利用するキャッシュレス決済の特徴についてご紹介していく。
全年代から支持されるPayPayはもはや規格外
NECソリューションイノベータが2020年7月に実施した調査「2020年版 一般消費者におけるキャッシュレス利用実態調査レポート」によれば、キャッシュレス化は順調に進んでいることがわかった。1年前の2019年7月に行われた同調査と比較して、現金決済をメインで利用する人が減少し、キャッシュレス決済の利用率はどの決済方法も軒並み上昇している。中でも「PayPay」などのQRコード決済を「最もよく利用している決済」であると回答した割合が10.0%となり、2019年の2.4%から大幅に増加。1年あまりのうちにQRコード決済の存在感が一気に増したことが、改めて証明された。
この調査ではさらに、QRコード型やタッチ型などのスマホを利用した決済サービスの利用度等を深堀りしている。多数のサービスがある中で圧倒的なシェアを誇るのは、やはりPayPayだ。利用率は回答者の65.5%にのぼり、1年前の40.2%から25ポイント以上アップして、ついに大台の50%を突破した。「最もよく利用している」というユーザーも44.8%と他サービスを圧倒しており、大々的な還元キャンペーンや利用可能店舗数の多さといった強みを活かしてQRコード決済界の“絶対王者”となっていることがわかる。
そんなPayPayは、年齢別に見てみると60代以上で70%を超える高い利用率となっていた。では、高齢層に人気のサービスがPayPayであれば、若年層に人気なのはどのサービスだろうか。
PayPayは10代や20代でも50%を超える利用率があるものの、サービスの中で見ると平均値より低く“比較的”若者からの支持は薄いと言える。一方で、突出した人気の傾向を見せたのが「LINE Pay」だ。15~19歳の年齢層では、32.9%と、およそ3人に一人が利用しておりPayPayに次ぐ利用率を記録している。LINE Payはご存知の通り、人気のメッセージアプリ「LINE」が提供しているサービス。若年層にとっては、身近なアプリがやっているサービスとあってとっつきやすい印象を持たれているのかもしれない。
また、「モバイルSuica」をはじめとした交通系サービスのタッチ型スマホ決済や「メルペイ」も、10~20代を中心に利用率が高まる結果となった。これらも定期券やフリマアプリなど、普段使いのサービスに付随した決済サービスだ。
この傾向から、若年層は身近にあるサービスを選択しやすいと推測できる。還元キャンペーンに惹かれて新たにサービスを導入するよりも、よく見知ったサービスを導入しがちなようだ。おトクさよりも安心を選択する、意外に保守的な一面が見て取れたのかもしれない。
参照元:Retail Innovations Vol.009 2020年版 一般消費者におけるキャッシュレス利用実態調査レポート【NECソリューションイノベータ】