コロナ禍で人と対面で接する機会が大幅に減った世の中で、対面の会合に代わって台頭してきたツールがWeb会議サービスである。そんな時代の寵児とも言えるWeb会議サービスのひとつ「Zoom」に新たに追加された機能が、現在物議をかもしていることをご存知だろうか。
今回は日本文化に過度に寄りすぎたとも言われている新機能“上座機能”についてご紹介していく。
Zoomに実装されたのは“上座機能”?
Zoomは、「Google Meet」などと並びWeb会議で最もよく使われるサービスのひとつだ。Zoomアカウントを持っていなくても招待URLをクリックするだけで参加が可能という手軽さが人気を博し、ビジネスシーンだけでなくオンライン飲み会などプライベートでも多くの人が利用している。2020年に突如襲った新型コロナウイルス感染症の影響でWeb会議サービスの存在がクローズアップされた際にZoomが大きく取り上げられたことも追い風となり、「Zoom映え」が「新語・流行語大賞」でもノミネートされるほど知名度を高めた。
そんなZoomに9月に新たに加わった機能が「カスタムギャラリービュー」。この機能は、これまでZoomのソフト・アプリによって自動的に配置されていた参加者の映像の順番を利用者がカスタムできるというものだった。これがネット上など一部から「目上の人を上に配置するための『“上座”機能』なのでは」と勘繰った意見が飛び出しているのだ。
“マナー警察”が生み出す新たなマナーは本当に正しいのか
Zoomの運営会社の日本法人・ZVC JAPANは、「大人数の会議で進行役や発表者を固定配置して見やすくするための機能で、『上座機能』を追加したという認識は無い」ときっぱり否定している。たしかに上座文化の根強い日本だけでなく全世界で実装された機能であることを考えても、日本文化を踏襲するためのものとは考えづらい。
しかし、公式が想定していなくても新たなシチュエーションに“マナー”を設定したがる人々が一定層存在することは間違いない。「余計な雑音が入らないよう喋らないときはミュートにする」「安定した通信回線を準備しておく」といった“会議をスムーズに進行させるため”のテクニックは積極的に周知していくべきことだろう。しかし、「会議が終わったらカメラにお辞儀」など、“相手に失礼がないようにするため”のマナーは余計な文化と言わざるを得ない。
それが失礼かどうかは、実際のユーザーたちが醸成していき判断されるものだ。外部からとやかく言われて上座などの不思議な文化がついてしまわないよう、今後もWeb会議が“マナー警察”に見つからないことを祈りたい。
参照元:Zoomの新機能は日本の「上座」マナーに配慮した?日本法人に本当の狙いを聞いた【FNNプライムオンライン】