あなたが最後に書店で書籍を購入したのはいつ?そんな質問に「その前は思い出せないけれど、今年に入って『鬼滅の刃』を買いに行った」という方も多いのではないだろうか。事実、鬼滅の刃の書店界への影響は凄まじく、多くの書店が近年まれにみる売り上げを記録しているそうだ。
今回は、鬼滅の刃の大ブームが社会にもたらした影響の大きさについて触れながら、もはやコミックを越えてしまった存在になりつつあることについて迫っていく。
鬼滅の刃が書店の救世主

街の書店は絶滅寸前だった…
帝国データバンクの調査によると、2019年の書店市場は1兆2,186億円。10年前と比べて7割程度の水準に落ち込むなど、書店市場は絶滅の危機を迎えていた。娯楽の多様化に伴う若年層の「活字離れ」に加え、オンライン書店の台頭や、書籍のデジタル化が急速に進んでいることが衰退の大きな要因となっている。
しかし本年度は、11月時点までの業績が今後も続けば、書店市場は、増加幅は僅少ながらも4年ぶりに市場が拡大する可能性が出てきている。この記録的な躍進を支えているのが「鬼滅の刃」だ。週刊少年ジャンプで人気連載となった同漫画は、アニメや映画化などが続き社会現象を起こすほどのヒットを記録している。この好調に引っ張られるように2020年度10月のコミック売り上げは、前年比146.8%をたたき出している。