大手キャリア(MNO)のドコモが月20GB+1回5分かけ放題で月額2,980円という格安新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表すると、ソフトバンクやauもこれに追随した。だが、これで窮地に立たされたのが格安SIM(MVNO)である。何しろ「ahamo」の料金は格安SIMよりも安いため、格安SIMは今や“割高SIM”になってしまったのだ。そこで格安SIMの業界団体は、総務省にネット回線の卸料金の値下げを求めている。もしかすると、スマホ料金はもっと安くなるかも……?
格安SIMが“割高SIM”になってしまう異常事態!
2020年12月3日、ドコモが新たな格安新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表すると、ソフトバンクは「Softbank on LINE」を、au(KDDI)は「povo (ポヴォ)」という同様のプランを発表して追随した。これにより、2021年3月からは、MNO(携帯電話回線をもつ大手キャリア)のネット専用プランは月20GB+1回5分かけ放題で月額2,980円が標準になる。
これで窮地に立たされたのが格安SIM(MVNO)だ。何しろ、大手キャリアが発表した格安新料金プランは、現在の格安SIMよりも安いのだ。たとえば、格安SIM大手のOCNモバイルONEは「20GB/月コース」が月額4,400円、安いと評判のイオンモバイルでも「音声20GBプラン」が月額3,980円するのである。このままでは格安SIMは“割高SIM”になってしまう……。そこで格安SIMの業界団体「テレコムサービス協会MVNO委員会」は、2021年1月19日、総務省に対して早急なネット回線卸(レンタル)料金の値下げを要望したというわけである。
今回、格安SIM(MVNO)の業界団体「テレコムサービス協会MVNO委員会」が総務省に提出した「イコールフッティングの確保のための緊急措置の実施要望について」で訴えているのは、大手キャリア(MNO)と格安SIM(MVNO)が「同等条件(イコールフッティング)」で、価格競争できるように早急に対応してほしいというもの。その主な内容は、大手キャリアが格安SIMに提供しているネット回線卸料金の早急な値下げ。そして、回線を保有する大手キャリアと回線を持たない格安SIMが、同じ条件で設備を利用できるようにすることなどである。
実は、総務省が2020年10月に示した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」では、格安SIMが大手キャリアに払うネット回線卸料金を“3年間で5割減を目指す”としていた。つまり、「テレコムサービス協会MVNO委員会」は、このネット回線卸料金の5割減を前倒で実施してほしいと言っているのである。
格安SIMは「ahamo」よりももっと安くなる可能性大!
格安SIM側にしてみれば、ドコモの格安新料金プラン「ahamo」の発表は相当なインパクトがあったはずだ。何しろ、知名度のある大手キャリアのほうが値段が安いのだから、手をこまねいていれば格安SIMの顧客を大手キャリアに根こそぎ奪われてしまいかねない。すでに格安SIM(MVNO)事業者は大小合わせて数百社あるので、おそらく総務省も今回の要望を無視することはできないだろう。
となると、今後、格安SIMが月20GB+1回5分かけ放題で月額2,980円より、もっと格安な料金プランを発表する可能性は高いと思われる。したがって、筆者は大手キャリアの格安新料金プランに慌てて乗り換えなくても、格安SIMの動向を見てからで十分だと思うがいかがだろうか?
●総務省「イコールフッティングの確保のための緊急措置の実施要望について」(PDF)は→こちら