2020年9月に菅義偉内閣総理大臣が発した「携帯電話料金の引き下げ」宣言を受けて、現在進み続けているスマホキャリア各社の新プラン合戦。とくにドコモが12月に新プラン「ahamo」を発表してからは世間の注目度も大きく膨らみ、各社が本腰を入れて値下げに走り始めたことはご存知のことだろう。
今回はそんな業界の“ファーストペンギン”となったahamoの狙いや、そんなahamoに対抗するキャリア各社の意地が垣間見える部分を比較しながらお伝えしていきたい。
業界に値下げの流れを生み出したドコモ「ahamo」
まずahamoで特筆すべきは、ドコモの先見の明だろう。ahamoの発表前、国の値下げ要請を受けたソフトバンクとKDDIは早々にサブブランドでの値下げを発表。本格的な値下げを期待していたものの「今回もまたお茶にごしで終わるのか…」と感じた読者も多いはずだ。そんな空気の中、サブブランドを持たないドコモがどう動くのかに注目が集まっていた状況でドコモが発表したのが、シンプルな「20GB/2,980円」のahamoだった。ドコモが課題としている20代のライフスタイルに合わせてプランを構築したといい、サブではなく待望のメインブランドでのしっかりとした値下げプランとして世間が大いに沸いた。
2020年12月当時は概要の発表のみとなったが、2021年に続々と詳細が伝えられており、サービス開始は3月26日「対応端末は3月1日から発売」「ドコモユーザーがahamoに乗り換えた場合は、回線の継続利用期間を引き継げる」ことなどが明らかとなっている。
これまで歩調を揃えるように実質的な値下げを避け続けていた3大キャリアのうち、ドコモが“ぬけがけ”的に値下げを敢行したことで火が付いたのか、KDDIも「20GB/2,480円」の「povo」、ソフトバンクでは「SoftBank on LINE」を「20GB/2,980円」を年明けに相次いで発表。povoはユーザーが個人で欲しい有料機能を追加できる“トッピング”、SoftBank on LINEはコミュニケーションアプリ「LINE」での通信量をノーカウントとすることで差別化を図って対抗している。
中でも現在ahamo最大のライバルとなりそうなのが、“第4のキャリア”楽天モバイルだ。楽天モバイルは2020年4月からスタートした「1年間無料」キャンペーンのユーザー離脱を阻止すべく、「1ヶ月1GB以下は0円」という驚愕の従量制プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を打ち出した。ahamoはほぼ横並びの既存3キャリアの中であれば、発表当初から繰り返し報道されていた分だけ認知度で有利だが、まったく別ベクトルの条件で切り込んできたRakuten UN-LIMIT VIとの対決がどうなるかは未知数と言わざるを得ない。
通信インフラ会社・ALL CONNECTの調査によれば、既存3キャリアの新プランのうち最も乗り換え意向が高かったのはahamoだといい、楽天モバイルユーザーの中でも40%近い支持率だった。しかしこの調査はRakuten UN-LIMIT VIの発表前だ。“1GB以下0円”がこのシェア獲得対決にどのような影響を及ぼすのか。今後も目が離せない。
参照元:ドコモの「ahamo(アハモ)」は3月26日スタート プラン変更でも利用期間を引き継ぎ【ITmedia Mobile】
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