音声アプリの「Clubhouse」がスマートフォンアプリ市場を席捲する現在、iOS専用アプリで注目のアプリが次々と誕生している。もはやアプリのシェアではiOSの独壇場となりAndroidが追いつけない状態と言っても過言ではないのかもしれない。とくに日本国内のiPhone人気は目覚ましく、ソフトウェアやセキュリティテストなどの第三者検証を行うウェブレッジによると、2020年12月現在、日本国内ではiPhoneのシェア率は58.12%もの数字を叩き出している。端末のスペックやデザインの秀逸さから、Appleには“信者”とも呼ばれる熱狂的なファンが多いのは周知の事実であり、加えてスマートフォンを使ったことがない人も「使用者の口コミでiPhoneでのスマホデビューを決める」という口コミ的人気も支持の高さの要因かもしれない。AndroidユーザーがiOS専用アプリを使う手立てとしてはiPadを使う手もある。しかしiOS「専用」のアプリが出続ける限り、Androidユーザーの不遇の時代は続くことになりそうだ。
Android版リリースに期待大
iPhoneは2008年にソフトバンクが日本ではじめて発売して以来、いまなお高い人気を誇る世界でも有数のスマホブランドだ。幅広い年代層の支持を獲得し、新作iPhoneの発売ともなると発売日には多くのファンが開店前のApple Storeに並ぶ姿がメディアでも報じられている。一時期は「国内のスマホシェアの7割をiPhoneが占めている」とも言われていたことからも、その人気ぶりがわかるだろう。
しかし海外では日本ほどの極端な支持を得ている国は多くないのが実情だ。ウェブマーケティング支援などを行う「アウンコンサルティング」が2020年11月に発表した世界40ヵ国の主要OS・機種シェア状況によると、中国やインドネシア、フィリピンといったアジアをはじめ、メキシコやブラジル、ポーランド、エジプトなどでAndroidシェアが80%に。SamsungやHuaweiが日本のiPhone的存在となっているようだ。海外ではiPhoneと同等の機能をもつAndroidの方が安価で手に入れやすいことが、シェアの規模拡大のひとつの要因となっている様子である。
世界ほどAndroidシェアが伸びていない日本で人気となったClubhouse。一部ネット上では、「iPhone需要が多い日本に対する、アメリカのステルスマーケティングではないか」ともささやかれている。また、アプリをiOS版から開発するのにもメリットがあるといい、iOSを搭載している端末はiPhoneにしかないため、顧客ロイヤリティが高く、より市場に浸透させやすいのだという。まずiOS端末でアプリの動向をうかがってからAndroidリリースに踏み切ることで、余分な経費をかけずに効果的なアプリ開発ができるのだ。。また、Clubhouse人気が下火になり利用者が目減りしたタイミングを狙ってのリリースをすれば、利用者の話を聞いてClubhouseに興味を持っていたAndroidユーザーが、新たな利用者として流入してくることでアプリ人気の再燃を狙うこともできるだろう。
Clubhouseで蚊帳の外に置かれているAndroidユーザーの受難はさらに続く。新型コロナウイルス対策のスマートフォン向けの接触確認アプリ「COCOA」で、Android版だけ2020年9月末から4ヶ月以上通知機能に不具合があったことがわかったのだ。さらに問題なのは、一部ユーザーから不具合の報告があったにもかかわらず見過ごされていたこと。こうしたトラブルがAndroidの評判を下げることにつながってしまいかねない。これからは日本の業界全体でAndroidアプリの地位向上をしていかなければ、日本はスマホでもガラパゴス化の道を歩んでしまうのかもしれない。
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