Facebookの決算が、コロナ禍の巣ごもり需要で過去最高を記録した。売り上げだけでなくアクティブユーザーの数も急増しているといい名実ともに堅調だ。しかし、日本国内でFacebookの人気は過去のもので、すでに「おじさんのSNS」と認識されはじめているという現実も。日々新しいSNSが出てくる中、日本でも過去の栄光を取り戻せる日が来るのだろうか。
コロナ禍の変化を追い風にFacebookは躍進
1月27日にアメリカのFacebookが2020年第4四半期(2020年10~12月)の決算を発表した。売上高は前年同期比33%増、純利益も53%増とともに過去最高を更新して強さを見せつける結果となった。
売り上げの内訳としては、10月13日に発売され売れ行きが好調なスタンドアロン型VRヘッドセット「Oculus Quest 2」などを含む製品販売などの「その他」が156%増、そして売り上げ全体の97%をしめる「広告」も31%増と全体的に飛躍している。コロナ禍で在宅時間が増えたことや、対面コミュニケーションの代替手段が求められたことが追い風となっていると考えられ、実際にFacebookの月間アクティブユーザー数は2020年10~12月の間で12%増の28億人を記録。さらにFacebookのファミリーアプリであるInstagram、Messenger、WhatsAppのユーザーも含めればのべ33億人と、驚異的な数字を残したのだった。
実績を見せつけられた一方で、日本に住む私たちの肌感覚としてはFacebookの斜陽化を感じている人も少なくないはずだ。ネット上では「おじさんのSNS」というイメージが定着しかけており、ビジネスに使うユーザーが多く「新規事業をリリースしました」等、自らのビジネスの進捗報告ばかり投稿する“進捗報告おじさん”と揶揄されることも。やはり、次々と現れる新しいSNSに押されている感は否めない。
総務省によるFacebookの年代別の利用率調査を見てみると、20代が2015年をピークに下がってきているのに対して、30代はおおむね据え置き、40〜60代以上を見ると少しずつだが増加傾向にあることが分かる。利用率が一番高い30代は約2人に1人がFacebookを使っていることからも、たしかにFacebookの年齢層は高めだ。TwitterやInstagramに比べて実名性が高いぶんビジネスにも利用しやすく、匿名よりリアルな人間関係に慣れた上の年代にとっては安心できるツールなのかもしれない。
しかし、Facebookが実際に「おじさん化」してきているとして、それを単なる特徴と捉え、アクティブユーザー数が伸びているのであれば当面は問題ないという見方もできる。現状でも、30代以上の世代にアプローチするのには十分有効なSNSだ。またFacebookが2012年にInstagramを買収したように、今後も新しいSNSを取り込んでいくことを考えると、企業としての守備範囲はまだまだ広がる余地もありそうだ。
実際、今後Facebookが日本国内のユーザーの若返りを図れるかといえば難しい面もあるだろう。TikTokが10〜20代を中心に流行したり、Clubhouseが爆発的に広がったりと、新しいツールの新鮮さに古いSNSは敵わない。ムリに世代を広げようとせず、どこかフォーマルな特徴を活かしてブランディングしていくことに活路があるかもしれない。
参照元:Facebook決算、“巣ごもり需要”で過去最高 Appleの規制による“逆風”を予測【ITmedia NEWS】
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