楽天モバイル、大一番の賭けに出た!? 基地局倍増は吉か凶か

楽天モバイルが大幅な方針転換を打ち出している。現在意欲的に基地局を増設している楽天モバイルだが、当初の計画から前倒しで「2021年夏に人口カバー率96%を目指す」としていた計画をさらに見直し、カバー率の目標値は変えずに基地局をさらに増やして“電波の密度を高める”ことを発表したのだ。4大キャリアのうち最も後発でいまだに他キャリアに居候もしている状態の楽天モバイルだが、この方針転換は何を目的としているのだろうか。
今回は、“キャリア2年目”を迎える楽天モバイルの成長戦略について考えていきたい。

大きな軌道修正を図った楽天モバイル

(Image:Hannari_eli / Shutterstock.com)

楽天モバイルは販売店も基地局も全国に普及してきている

 計画の再見直しが明らかにされたのは、2月12日の決算会見だ。楽天モバイルの人口カバー率の目標値とその到達時期を、キャリア事業参入当初には「2026年に人口カバー率96%を目指す」としていた。しかし2020年にこのカバー率の時期が5年間前倒しとなることを発表、2021年夏に到達するという見込みを示したのだった。重ねて、今回の会見ではさらにカバー率を据え置きしたまま、基地局の数を当初計画の2万7,397局から4万4,000局へと大幅に増加させるという。

 この決断を下した理由には、総務省主催の懇談会で楽天モバイルが示した「ユーザーの月間利用データ量が他社ユーザーの約2倍」というデータが関係しているとみられている。少ない基地局で多くのデータ量を処理している現状を解消するため、基地局の密度をアップさせる必要に迫られているようだ。「1年無料」という破格のキャンペーンを利用し、ポケットWi-Fiのように使うヘビーユーザーが多いのかもしれない。

建物の屋上等でこのような電波設備が設置されているのが基地局だ

 楽天モバイルは基地局増設の他にも、先述の懇親会で電波がよく届く“プラチナバンド”と呼ばれる周波数帯の割り当て見直しも求めている。既存キャリア3社が占めているプラチナバンドを楽天モバイルが獲得することで、現在は電波の質・量ともに3社に後れを取っている状況を覆すために手を打ち続けている状況だ。
 見直しの結果、どのように配分されるかは未知数だが、かつて2012年に新周波数帯が後発のソフトバンクに割り当てられた過去もあるだけに期待値は低くない。加えて価格面で“前へ倣え”をしない楽天モバイルが既存キャリアとの通信サービスの格差を解消することができれば、総務省が訴える携帯料金の値下げもさらに加速することもあり得るだろう。

 現在キャリア各社は4Gから5Gへの移行が進んでいる状況だが、現在楽天モバイルが全国で増やしている基地局はおそらく4Gではないだろうか。電波密度を高めるために一気に基地局を増やしたあと、あらためて5G用の基地局に改修するとしたら二度手間でその分費用もかかってしまうだろう。
 今回の決断が吉と出るか凶と出るか。その答えは数年後にわかることになりそうだ。

参照元:楽天モバイルが「電波密度」に舵を切る理由…“データ消費が他社の2倍”がなぜ厳しいのか【Business Insider Japan

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