ドコモの「ahamo」やauの「povo」などの登場で、スマホの月額利用料は大幅に安くなりつつある。今からどこに乗り換えようか迷っている人も多いのでは? キャリア(携帯会社)を乗り換えるときは「MNP」を利用するのが一般的だ。MNPとは“今使っている電話番号のままでキャリアを乗り換える”こと。そこで今回は、実際に筆者がMNPを利用してキャリアを乗り換えた方法を、写真付きでじっくり解説しよう。
スマホを乗り換えるときの「MNP」って何なの?
かつては月額5,000円~1万円もしていたスマホの月額利用料だが、ドコモの「ahamo(アハモ)」、ソフトバンクの「LINEMO(ラインモ)」、auの「povo(ポヴォ)」、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」など、月20GBのプランでも1,980円~2,980円という低価格で利用できるようになってきた。アナタもどこに乗り換えるか迷っているのでは?
さて、実際にキャリア(携帯会社)を乗り換えるときは、多くの人が「MNP」を利用することになる。MNPとは「Mobile Number Portability」の略で、日本語では「携帯電話番号ポータビリティ」のこと。つまり、”今使っている電話番号のままでスマホのキャリアを乗り換える”ことである。だが、「ahamo」などの格安料金プランは基本的にネットで申し込むことになるため、MNPの方法を理解しておかないと、上手く乗り換えができない。そこで今回は、実際に筆者が「DMM mobie」から「BIGLOBEモバイル」にMNPで乗り換えた手順を紹介しよう。詳細は各キャリアごとで異なるが、大きな流れは理解していただけると思う。
MNPでスマホを乗り換える場合は、まず乗り換え先を決めておくこと。乗り換え先のプラン申し込みと同時にスマホを買うと、大幅値引きされることも多いので、もし、スマホを新調するなら機種を事前に決めておきたい。
乗り換え先を決めたら「MNP予約番号(10桁の数字)」を現在のキャリアで取得する。MNP予約番号はすぐに取得できるが、有効期限は取得日を含め15日間しかない点は注意しよう。実は、乗換先ではMNP予約番号の有効期限残が7日~12日程度あることが求められるので、すべての準備ができてから、素早く次のキャリアに乗り換えないと期限切れになることがあるからだ。
実際にMNP予約番号を取得したら、すぐに乗り換え先のキャリアで申し込みをしよう。キャリアごとで対応は異なるが、2~3日後にはSIMカードが届くはずだ。SIMカードが届いたらスマホに挿入して「APN(ネット接続)」設定を行う。これでデータ通信によるネット接続ができるようになる。次に、乗り換え先のキャリアの会員サイトにログインして、MNP開通手続きを行う。このとき、開通手続きを実行すると5分~30分程度で電話が利用できるようになる。
■MNPの大まかな流れ
【1】転出先キャリアを決める
まずはどこに転出するかを決める。料金、条件、キャンペーン内容などじっくり比較検討しよう。申し込みと同時にスマホを買うと割引される場合もあるぞ。また、MNP予約番号の有効期限残が何日必要なのかは事前に確認しておきたい
【2】現在のキャリアでMNP転出を申し込む
転出先キャリアが決まったら、まず現在のキャリアでMNP転出を申し込む。申し込みはネットや電話で簡単にできるが、電話ならその場で即時、ネットで申し込んでも1~2日後には取得できるはずだ
●3大キャリアのMNP転出申し込み先
[ドコモ]携帯電話:151/一般電話:0120-800-000(9時~20時)
[au]0077-75470(9時~20時)
[ソフトバンク]0800-100-5533(9時~20時)
※ネットも利用可能で、各キャリアの会員サイトで「MNP転出」から申し込む
【3】MNP予約番号を取得する
MNP予約番号(10桁の数字)の有効期限は取得日を含めて15日間しかない。取得したらすぐに乗り換え手続きを行おう。そのままMNPを実行しなければ予約番号は無効となるが、失効後に再取得することは可能である
【4】乗り換え先で契約&MNP転入を申し込む
スマホの契約には身分証明書、会員ID、クレカ・銀行口座、MNP予約番号が必要になる。また、MNPをするには有効期限が7日~12日程度残っていないダメ。とくに、有効期限が10日以上必要なキャリアに乗り換える場合はMNP予約番号取得直後に申し込みをしないと間に合わないことも……
【5】乗り換え先からSIMカードが届いたらAPN設定とMNP開通手続きを実行する
通常、乗り換え先に申し込んでから2~3日後にはSIMカードが届く。スマホにSIMカードをさしてAPN(ネット接続)設定をしたら、乗換先の会員サイトにログインしてMNP開通手続きを実行しよう。通常は実行してから5~30分程度で電話番号の移転が完了する
それでは実際にMNPを利用して乗り換えをしてみよう。最初にやるのは現在のキャリア(今回はDMM mobile)の会員サイトにログインして、メニューから「MNP転出手続き」を探すこと。MNP発行手数料は3,000円かかるところが多いが、すでに廃止している会社もある。また、最低利用期限以内で転出手続きをすると違約金を取られたり、スマホのローンが残っていると残金の清算をしないといけない場合もあるので注意しよう。
会員サイトの「MNP転出手続き」ページで「MNP予約番号の発行申請」をすれば、遅くとも1~2日以内予約番号が発行されるはずだ。大手キャリアの場合は電話すれば即時発行される。ちなみに、実際にMNPを実行しなければ取得から16日以降に失効し、そのまま現在のスマホの契約は維持される。
MNP予約番号を発行したら、すぐに乗り換え先のキャリアでプランを申し込む。このとき「会員ID」「身分証明書」「クレカ・銀行口座」「MNP予約番号」が必要になるので事前に準備しておこう。
申し込み手順はキャリアによって前後するが、データ量が何GBのプランにするか、プランは音声SIMかデータ専用か、新規かMNPか、SIMのみかスマホも同時購入するか、SIMの回線はドコモかauか、SIMカードのサイズといった項目を選択する。次にMNPで乗り換える電話番号やMNP予約番号などを入力したら、住所、氏名、お支払い方法の入力、本人確認書類のアップロードなどを行おう。申し込みが完了すれば2~3日後にはSIMカードとマニュアルが届く。
なお、今回申し込んだ「BIGLOBEモバイル」は最低契約期間が1年だが、キャンペーン適用で、契約料とSIMカード発行手数料が無料。6カ月間は月額400円になる特典を受けることができた。
■SIMカードの申し込みに必要なもの
会員ID/身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)/クレカか銀行口座/MNP予約番号
■申し込みで入力する項目
[1]どのプランにするか?
→データ容量(1GB~20GB程度)
→音声SIM/データSIM/SMS対応データSIM/eSIM
[2]SIMカードのサイズ
nanoSIM/microSIM/標準SIM
※全部に対応するマルチSIMの場合もあり
[3]新規かMNP転入か?
→今回はMNP転入
[4]SIMカードのみかスマホも同時購入するか?
[5]SIMの回線の選択(ドコモ/au/ソフトバンク)
乗り換え先のキャリアからSIMカードが届いたら、スマホにSIMカードを挿入してAPN(ネット接続)設定を行おう。
スマホの電源を切ってから、SIMカードスロットを引き出し、SIMカードをセットして再起動する。次にネットをつなぐためにAPN設定を行おう。初めてだと戸惑うと思うが、Androidスマホの場合は、設定から「ネットワークとインターネット」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント」を選択。ここで、新規にAPNプロファイルを作成する。入力する内容は同梱されてきたマニュアルを見ればOK。これで、新しいSIMカードでデータ通信が可能となり、ネットに接続できるはずだ。Wi-FiをオフにしてWebサイトなどが表示されるか確認してみよう。
もし、データ通信が上手くいかない場合は、とりあえずスマホを再起動する。それでもダメならAPNの入力内容が正しいか、再度しっかり確認してみよう。
スマホのデータ通信が正しく接続されたら、次に乗り換え先キャリアの会員サイトにログインしてMNP開通手続きを行おう。「MNP開通申し込み」ページを探して「申し込み」ボタンを押せば、5~30分程度でMNP転入作業が完了し、電話をかけられるようになるはずだ。ただし、開通手続き中は電話ができないことは覚えておこう。これでMNPによるキャリアの乗り換えは完了だ。
ちなみに、「SIMロック」されているスマホを使うときは注意が必要だ。たとえば、ドコモで買ったSIMロック状態のスマホの場合、格安SIMもドコモ回線なら問題ないが、auやソフトバンク回線のSIMは認識されない。スマホをSIMロック解除(SIMフリー化)するか、ドコモ回線のSIMと交換してもらうことになるので、事前に調べておこう。
いかがだろうか? 電話番号を維持したままMNPでキャリアを乗り換える方法をご理解いただけただろうか? 元のキャリアや乗り換え先のキャリアで手順やルールは多少異なるが、大まかな流れは同じだ。もし、スマホ料金が1カ月で5,000円安くなれば年間6万円も節約できるので、「面倒くさい」とか言っている場合ではない。アナタも勇気をもって実行してみてほしい。