ユーザーからの信頼が大きく揺らいだかもしれない。コミュニケーションアプリ・LINEで、3月17日から相次ぐ個人情報の取扱いに関する懸念が噴出している。LINEの国内アクティブユーザーは8,600万人以上で、もはやただのアプリケーションの枠を超えてインフラのひとつと分類しても過言ではない。そんなアプリで起こった今回の一件は、今後の展開にどのような影響を与えることになるだろうか。
今回は、ブランドイメージに傷がついたかもしれないLINEの行く先について考えていきたい。
LINEの個人情報の保護方法に黄信号がともる
「LINEの中国の系列会社で、日本国内のユーザーの個人情報にアクセスできる状態だった」「日本のユーザーの画像・動画データが韓国で保管されていた」。そんな2件の個人情報保護が懸念される事態が、3月17日から18日午前中までに立て続けにニュースが報じられた。
中国の系列会社からは少なくとも32回、現地技術者の日本サーバーへのアクセスが確認されているという。“中国”という政府の権力が絶大な国で起こったこともあり、ネット上からは「さっさと同じようなアプリを国産で作るべきだ」「問題は、役所とかが公式にLINEを使っているってことだよな」「大半の人はやましい事ないと思いますが、皆漏れたら困る情報はあるはず」と、危機感をつのらせる声が多く聞こえてきた。
さらにこれらの“不備”を受けて、全国で初めて「LINEによる住民票の申請受付」を実施していた千葉県市川市では受付を一時停止させる事態に追い込まれている。すでに実害が出ているだけに、LINEには早急な対処・説明が求められることになりそうだ。
LINEといえば、運営するLINE株式会社が3月1日にヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合が完了したと発表したことでも話題となった。しかし吸収合併されるかたちとなっても、QRコード決済サービスの「LINE Pay」がアジア圏で高いシェアを獲得しているため「PayPay」への完全な吸収合併は行われないことが伝えられたり、タイでLINE初の銀行サービス「LINE BK」が好調な業績をあげていたりと、アジア各国での需要を背景にその存在感は示し続けていた。
だが今回の一件ではそのアジア圏での展開が問題視されることに。「日本のユーザーの画像・動画データが韓国で保管されていた」一件についても、データの保管を日本国内に移転する計画があることも明らかとなっている。
自らの大きな武器が、翻って今回の一連の問題を引き起こすきっかけともなってしまったLINEは、はたして今後どのような方向性を決断するのだろうか。とくに現在は“ソフトバンク経済圏”の一員ともなっているだけに、経済圏全体のイメージダウンにつながるようなことはうかつにできないはずだ。これからの選択が、LINEの大きな分水嶺となるのかもしれない。
参照元:LINE 個人情報 中国 委託先技術者から少なくとも32回アクセス【NHK】