楽天モバイルにさらなる投資が決定した。2,400億円もの巨額を、現在楽天モバイルが急ピッチで進めている基地局建設に充てるという。2020年4月のキャリア参入時は他キャリアの回線に“間借り”しているエリアも多かった楽天モバイルだが、当初の計画を大幅に前倒しして自社回線を普及させていくことに注力している。
今回は、そんな楽天モバイルが仕掛ける戦略と大きな決断についてお伝えしていきたい。
投資を得てさらに成長を加速させる楽天モバイル
楽天モバイルへの投資が決定したのは、グループの中心企業である楽天が日本郵政等からの資金調達に成功したことが理由だ。楽天は、日本郵政や中国のIT大手・テンセント、アメリカの小売大手・ウォルマートから合計2,423億円を調達し、それらをそのまま楽天モバイルへと投じるようだ。
楽天モバイルはこれまでにも、一定のタイミングで基地局の増強について言及してきた。2020年8月には「当初2026年をめどに進めていた『人口カバー率96%』を2021年夏頃に達成できる見込み」と5年もの大幅な計画前倒しを発表し世間を驚かせた。さらに2021年2月に行われた決算発表では「カバー率は変えずに、基地局数を増やし電波密度を高める」方針を打ち出している。
こうした発表で基地局増設をアピールするのは、新規参入企業にとって避けられない壁となる「電波が弱い・つながらない」というユーザーの不満を解消する狙いがあることは想像に難くない。「プラン使用量1年間無料」という破格のキャンペーンで集まった300万人に、「楽天モバイルは遅い・使えない」というイメージを持たれないよう細心の注意を払っている様子が伺える。
現在楽天モバイルでは、「つながりやすさ」や「回線のスピード」を重視しているようにも感じられる。総務省の電波政策懇談会でも既存のキャリア3社に占められている「プラチナバンド」とも呼ばれる“電波が届きやすい”周波数帯の配分見直しを求めていた。既存キャリアの反対意見もあり実現するかは未知数だが、そうしたブランドの姿勢を都度表現していくのは必要なことと言えるだろう。
さらに最近では、総務省が発表した「東名阪以外での1.7GHz帯」の割当てに、キャリア4社が立候補していたことも報じられている。こちらは4月上旬には割当先が決まるとされているが、新たな周波数帯を獲得できるか否かは、楽天モバイルにとって大きな分かれ目となるかもしれない。
現在グループの総力を挙げて楽天モバイルに次々と投資している状況だが、その投資のリターンが発生してくるのははたしていつになるだろうか。これからの楽天モバイルの成長や業界シェアに注目が集まる。
参照元:楽天モバイル、基地局建設で新たに2400億円を投資――日本郵政などから出資【ケータイ Watch】
※サムネイル画像(Image:Ned Snowman / Shutterstock.com)