今やほとんどの若者がアカウントを持っているインスタグラム。国内のユーザー数は3,300万人(2019年3月時点)を超え、LINE、Twitterについで3位だ。画像や短い動画を投稿し合うSNSとして発達したインスタグラムだが、現在その利用用途は多岐にわたる。ハッシュタグ検索を使って知りたい情報にアクセスするリサーチ手段“タグる”が若年層の間で主流になっていたり、LINEではなくインスタグラム内のDM(ダイレクトメッセージ)で普段のやりとりを行っていたりする人もいるのだとか。特に10~20代前半のユーザーにはこれらの利用用途が自然に馴染んでおり、インスタグラムが生活の一部になっている若者も少なくないはずだ。
しかし、インスタグラムをはじめとするSNSには危険な側面もある。今に始まったことではないが、SNS上の出会いがきっかけとなって、若年層のユーザーが誘拐や詐欺といった事件に巻き込まれるケースが後を絶たない。そして、そのほとんどにユーザー同士で直接メッセージのやり取りを行うコンテンツ“DM”が絡んでいるのも事実だ。こうした課題に、先陣を切って対策しはじめたのがインスタグラムである。
フォロワーではない18歳未満ユーザーへのDM送信を禁止
インスタグラムは米国時間3月16日に、18歳未満のユーザーと、フォロー相手ではない成人ユーザーとのDMを制限することを発表した。規約の導入は、「成人からの望ましくないコンタクトから未成年を守ること」が目的だという。また、成人が未成年に成りすますのを防ぐために、18歳未満のユーザーに執拗にDMを送るなど疑わしい動きがみられたユーザーには、「発見」や「おすすめユーザー」で未成年ユーザーのコンテンツに接触しないようにしたり、未成年ユーザーの投稿に対するコメントを自動的に非表示にしたりなど対策が行われるようだ。さらに、インスタグラムに新規登録する未成年ユーザーには、非公開アカウントにするよう呼びかけるという。この機能は3月から順次適用される。
未成年を守るための機能制限に、先陣を切って乗り出したインスタグラム。この動きを見て、他のあらゆるSNSも“知らん顔”はできないだろう。LINEは、メッセージを送るためには「友だち追加」の必要があり、ユーザーの年齢認証ができていないと、一定の方法でしか友だち追加できない仕組みとなっている。しかしTwitterは、DMを受け取る範囲を自分で設定できるものの、運営からの制限といったものは特にない。ネットリテラシーが低かったり、そもそも設定方法を知らない未成年ユーザーは、悪質な成人ユーザーとコンタクトが取れてしまう状況だ。一般的に「治安が悪い」と言われるTwitter、未成年を犯罪から守るためにさらなる対策が必要となってくるだろう。
そして、さらに厳重な対策が必要なのがTikTokだ。10代の半数以上が利用しているというTikTokは、投稿されているコンテンツを見ても、制服姿で踊る中学生や高校生の姿が目立つ。なかには、まだあどけない小学生の姿も見られる。校章の入った制服で映っていたり、特定できそうな場所で撮影していたりと、安易に個人を特定できてしまいそうな動画も多い。TikTokのDMは16歳以上のユーザーのみ利用できるようになっているが、DM以外のところで危険が及ぶ可能性は十分にあるだろう。若年層が集まるSNSとは言え、見ている人も若年層であるとは限らない。インスタグラム同様、閲覧できるコンテンツを制限する必要も出てくるだろう。未成年を守るための機能制限は、これからのSNSのスタンダードになりそうだ。
参照元:Instagram、大人から10代へのDM送信を禁止に 疑わしい行為が見られるユーザーにはさらなる制限も【リアルサウンド テック】
※サムネイル画像(Image:Camilo Concha / Shutterstock.com)