“ソフトバンク経済圏”vs“楽天経済圏”のバトルがさらに白熱することになるかもしれない。というのも、ソフトバンク経済圏の一翼を担う「ヤフー」が、ヤマト運輸とタッグを組んでECサイト業界3位に甘んじている状況からの脱却をもくろむ動きが見られているのだ。ECサイトといえば現在「楽天市場」と「Amazon」が二大勢力と言っていい状況。そんな中で後塵を拝するヤフーがヤマトと協業を進めることで、配送料や配送方法の見直しを図り業界での存在感アップを狙っているようだ。
今回はヤフーがシェア拡大を目指す動きと、そこから変化が生まれるかもしれない経済圏争いについてご紹介していきたい。
ヤフーがヤマト運輸と手を結び業界シェア拡大を目指す
EC業界のトップを走る楽天市場は、2020年度の国内EC流通総額は4兆4,510億円だったことが明らかとなっている。前期比からは19.9%増で、コロナ禍によるECサイトの利用需要を確実に獲得したようだ。また、Amazonも日本事業の売上高は2兆1,893億円となり前期比25.5%増を果たしたことが報じられている。一方でヤフーは2020年5月に発表した限りでは、「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」といったECモールの取扱高は1兆347億円とされている。2トップ同様コロナ禍での成長はあるだろうが、それでも倍増しAmazonと肩を並べるほどになるとは考えづらく、業界3位と見てよいと思われる。
そんなヤフーの拡大戦略として、今回のヤマトとの協業が始まったのだろう。2社はYahoo!ショッピング・PayPayモールに出店する販売店に対して、既にサービス利用のための手続きの簡略化や配送料金の全国一律化に対応したといい、さらに当日配送の注文も5月から首都圏を中心に進めていくとしている。
ECサイトと運送業のタッグといえば、3月12日に発表された楽天と日本郵政の業務提携も記憶に新しい。このニュースは「日本郵政の融資が楽天モバイルの通信網強化に使われる」という部分で大きな話題となっているが、「物流」の面でも協力していくと発表にあるように、同じ楽天グループ内の楽天市場にも好影響を与えることが予想されている。
ヤフーと楽天市場は現在日本国内でも有数の規模を誇る経済圏同士だ。グループ共通ポイント等でユーザーの囲い込みを図り、これまでも「ソフトバンク」と「楽天モバイル」、「PayPay」と「楽天ペイ」のような対立の構図は様々なジャンルで見られている。今回のヤフー・ヤマト運輸と楽天市場・日本郵政も、今後経済圏争いの火種となるのだろうか。今後のEC業界の過熱ぶりにも注目していきたい。
参照元:ヤフー、4月からECサイトの配送料を全国一律に 打倒アマゾン・楽天へ、業界3位から巻き返し狙う【ITmedia NEWS】