ここ1カ月余りの間、システムトラブルの続くみずほ銀行。2月にはATMにカードや通帳が取り込まれてしまう事態を起こして大きな話題となった。相次ぐトラブルにユーザーからも不満の声が噴出している状況だが、先日行われた中間報告においてさらにユーザーの怒りを買いそうな“ある対応”の可能性が浮かび上がってきた。
今回はみずほ銀行に集まる不満の原因と、それに伴うユーザー離れの危険性について考えていきたい。
4件のトラブルが発生した2~3月。みずほの対応は?
2~3月の間に相次いでシステムトラブルを起こしたみずほ銀行。2月28日には、デジタル通帳へのデータ移行作業中にトラブルとなり、現金自動受払機(ATM)計4,318台が停止。さらにはユーザーのカードや通帳がATMの中に取り込まれたまま出てこなくなる被害も発生し、ネットを中心に被害者の声が多数聞こえてきたことは記憶に新しい。
その後も、3月3日には通信機器のトラブル、3月7日にも一部サービスにおいて定期預金への入金手続きがストップ。3月12日にもデータセンターにおいて機器の故障が発生し、一部で送金ができない事態となり損害が発生したのだった。
短期間でシステム障害を何度も起こしたみずほ銀行にユーザーも呆れている模様。さらに5日に発表された中間報告では、ユーザーの怒りや不信感に対し火に油を注ぐようなことが伝えられ、ネット上でも非難が集まっている。
話題となったのは機器メーカーへの“損害賠償”を請求するのではないか、という可能性だ。中間報告の中で、機器の納品元かつメンテナンスを担当する日立製作所に対して、損害賠償の可能性を示唆したのだ。みずほの言い分としては、「バックアップの動作の不備とそれに伴う損害を負担している」ことを上げている。
この発言に対して、ネット上では「本当に日立だけのせいなんかね。こう障害が多いと他の要因を疑うが」「みずほの使い方や不具合の対応が悪かっただけ」「銀行側の経費削減のせいでは」と日立への同情の声が集まった。これまでの相次ぐトラブルやその対応に不満を持っているユーザーが多いことからも、今回の損害賠償報道に対して「責任転換ではないか」というイメージを持たれても仕方がないだろう。
一方で日立は「みずほ銀行をはじめとする多くの関係者に多大なるご迷惑をおかけした」とコメント。「障害のすべての責任はみずほにある」としながらも、金銭という形で外部に責任を求めるようなみずほ側の姿勢と対照的な対応を行った。このこともユーザーからみずほへの非難が強まった理由のひとつかもしれない。
4月に入り「PayPay銀行」が始動するなど、ネットバンクを中心に日本の金融業界は大きく動きはじめており、ユーザーの移動も流動的になっていくことが予測される。今回仮に日立製作所から損害賠償を得られたとしても、同時に社会から「責任転換をする企業」というイメージが付きユーザー離れが進むとしたら本末転倒ではないだろうか。今後のみずほ銀行の動向に注目が集まる。
参照元:みずほ、日立と負担協議 システム障害で一定責任【JIJI.COM】