携帯電話やスマートフォンの使い方や選び方、料金プランなど多くの選択肢が増え、モバイル業界も個人個人に合わせて多様化している。最新機種の販売や安価な値段設定の機種の登場などで、端末自体の流通も活発に。そういった動きに伴って廃棄される端末もかなりの量だろう。SDGs的目線で考えても各業界において“中古市場”というのは重要視されるものだが、携帯業界に限っては少しメリットを感じにくいようだ。
身近なツールでも他人事
4月5日、公正取引委員会が行った「携帯電話に関するアンケート調査」の結果が公表された。2018年度の同委員会による「携帯電話分野に関する意見交換会」実施後、通信料金と端末代金の分離義務化や、楽天モバイルのキャリアサービスへの新規参入などを踏まえて行ったものだ。現在調査の結果は明らかにされているものの、調査報告書については5月を目途にまとめるという。
さまざまな項目によりアンケートが実施され、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアによる端末購入サポートの利用率や、2019年10月から「2年縛り」を途中解約した場合の違約金上限が1,000円になったことの認知率などが明かされた。端末購入サポートの利用率は19.3%と少なく、違約金上限の認知率も44.7%と半分以下という結果だった。
かねてモバイル関係の契約などは内容の複雑さや情報量が多いことが指摘されており、読者の中にも携帯会社に“任せっぱなし”というユーザーも多かったのではないだろうか。身近なツールではありながらも、多くの人がなかなか自分事にできずにいるようだ。
中でも気になる数字となったのは、「中古端末」についてのアンケート項目。キャリアユーザーでは新品端末の利用が98.3%、中古端末が1.4%。格安スマホユーザーでは新品端末が92.9%、中古端末が6.5%という結果となり、ほとんどが新品を使用しているという。また、中古端末を利用していないユーザーのうち「今後も利用するつもりがない」と答えたのは83.5%とかなりの割合を占めるという結果となった。
一定量の中古端末ユーザーもおり、国としても中古流通を促したいようだが“利用する気がない”という意識の問題でもあるため、もはや頭打ちではないだろうか。
調査の中では中古端末を使わない理由として「バッテリー持ちが悪そう」「端末が衛生的でないイメージ」などが挙げられていた。洋服の古着や家電・家具などと違い、携帯端末は個人情報の塊と言っても過言でないほどさまざまな情報が詰まっているものだ。販売時には確認などされてはいるだろうが、どこの誰が使用していたかわからないため、セキュリティ面において手放しに信頼を寄せるのは難しいのかもしれない。
3月29日にはアップルが同社製品(Mac、iPhone、iPad)のうち保証期間外の製品の修理を担当できる業者を認定する「Independent Repair Provider(独立修理プロバイダ)」プログラムを発表した。これからは業界をあげて中古端末への信頼感を向上させていく気配もあるが、日本での浸透はどうなるだろうか。公正取引委員会から5月に発表される報告書にも注目したい。
参照元:中古携帯「今後も使わぬ」8割 公取委が消費者調査【共同通信】