2010年から10年以上Googleとオラクルの間で争われ続けていたとある問題が、ついに決着を迎えたようだ。というのも、「GoogleがAndroid OSを構築する際に、Javaのコードをコピーしたことが著作権違反にあたるのではないか」を争点に、オラクル側はGoogleに対し88億ドル(約9,700億円)という巨額の損害賠償を求めたのだった。しかも一時は「Googleがオラクルに対し損害賠償を支払う」という判決も出たこの裁判で、ついに最高裁による判決が下った。果たしてこの一件はどのような結論を迎えることとなったのだろうか…。
今回は、長年にわたって議論が続いた2社の争いと、その結末がもたらす今後についてお伝えしていきたい。
過去に何度も繰り返されたJavaコード訴訟
Googleとオラクルの間で10年以上も繰り広げられたこの裁判の発端は、GoogleがAndroid OSを構築する際に、その一部でサン・マイクロシステムズという企業が開発したAPI(アプリケーションプログラムインターフェイス)という仕組みを使ったことにある。それまでは「APIは著作権で保護されていない」という認識が主流だったが、その後サン・マイクロシステムズがIT大手のオラクルに買収されると状況が一変。オラクルはグーグルを著作権に違反するとして訴訟を起こした。
2012年の連邦地裁では「APIは著作権の保護対象にならない」としてGoogleが勝訴。しかし二審では逆にオラクルの主張が認められるかたちとなり、Googleが高額の損害賠償を求められる事態に発展した。
しかし2021年4月5日に、逆転敗訴となったGoogleの訴えが最高裁で再度認められることとなり、Googleの行為は正当なものであったとされ損害賠償の支払いを回避することに成功したのだ。
もしこの訴えが二審で下された“Google敗訴”のまま決着したとすれば、どのような変化が訪れていただろうか。実際、最高裁の判決が発表される前は業界では“Google不利”という見方が強かったとされている。
まず考えられるのは争点となったAndroid OSへの影響だ。著作権の侵害を訴えたオラクルも、Android OSの利用差し止めは求めておらず損害賠償の請求のみだとされている。しかし1兆円近い賠償を支払った後も、これまでと同じようにOSの開発が進むとは考えづらい。GoogleがOSの刷新を図り、1から開発をリスタートさせることもあり得ない話ではないだろう。
Webトラフィック分析WebサイトのStatCounterが発表した2020年12月のモバイルOSのシェアによれば、世界中でAndroid OSは7割を超えるシェアを獲得しているという。そんなOSの舵取りが大きく変わることになれば、世界中に動揺が広がることになったのではないだろうか。完全なる“たられば”の想像でしかないが、Androidスマホのユーザーの一人として、Androidスマホが無くなる未来が来なかったことを喜びたい。
参照元:約1兆円の賠償金を巡るGoogleとOracleの10年にわたる訴訟が決着、「APIのコピー」は結局違法なのか?【GIGAZINE】