アップルの個人情報保護のレベルがまた一段上がることになりそうだ。というのも近々リリースされる最新のiOSでは、アプリがデバイスから個人情報を取得する際にはアラートが出てユーザーが許可を出すシステムへと変更するのだという。スマートフォンひとつでなんでもできる時代となり、もはや“個人情報の塊”と化しているスマホだが、ユーザーの気づかないところで勝手にその個人情報を抜き取られているとしたら…。使う側としても恐怖を覚えてしまうのも仕方のないことだろう。
今回は、便利になりすぎたがゆえに希薄になりがちだった個人情報の取扱いに、一石を投じるアップルの取組みについてお伝えしていきたい。
アップルがプライバシー保護の姿勢をさらに鮮明化
アップルは4月5日、「AppTrackingTransparencyへの対応準備」というニュースを公開し、主にiPhoneに搭載されるiOSの新バージョン「14.5」に言及。近々登場することを示唆しながら、同時にアプリ開発者に対してアプリユーザーのプライバシーを尊重するよう強く求めた。
アプリがユーザーの各種個人情報へアクセスする際には、「AppTrackingTransparencyのフレームワークを通じてユーザーの許可を得ることが求められます」と伝えており、ポップアップ表示でユーザーの同意を得ることが必要となる。
iPhoneではすべてのアプリがApp Storeで管理されており、この規約に従わないアプリは規約違反として罰せられる可能性があるようだ。少々強権的な印象も受けるが、それだけアップルがユーザーの個人情報保護に注力している証ということもできそうだ。
アップルではこれまでにも、アプリがユーザーの意図しない場面でさまざまな機能にアクセスされることがないよう保護策を取り入れてきている。たとえば、iPhoneの画面上部に緑やオレンジの丸が表示されているようになっている。これはアプリが「スマホのカメラにアクセスしている」ときに緑色、「マイクにアクセスしている」ときオレンジ色の丸が表示されるのだ。カメラ・マイクの機能が使われていることを知らせ、ユーザーが気づかないうちに盗撮・盗聴の被害に遭ってしまうことを防ぐ機能となっている。
また2020年12月からは、App Store上でダウンロードできるアプリがどのような個人情報を取得するかの表示も実施している。そのアプリが「位置情報」や「連絡先」、「検索履歴」「閲覧履歴」といったさまざまな個人情報を収集していることが、ダウンロード前から一目瞭然となるのだ。
これからの時代は、ユーザー一人ひとりがそうした個人情報を取得されていることに意識を向けていくべきなのは間違いない。しかし「閲覧・検索履歴に基づいて、ユーザーが求めていそうな商品の広告を出す」といったサービスなど、ユーザーにとってもメリットのある部分も少なくないのも事実。単にすべての個人情報取得をブロックするのではなく、うまく使っていくことで自分の生活をもっと便利にさせることができるはずだ。
参照元:アップルが「プライバシー規約」厳守をアプリ開発者に要請【Forbes JAPAN】
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