アメリカ・ユタ州のIvantiは、2021年2月、北米・イギリス・ドイツ・フランス・日本・中国の18~60歳男女4,157名の消費者を対象にQRコード決済に関する調査を実施した。コロナ禍でタッチレス取引の必要性が高まる昨今だが、日本はQRコード決済の利用経験が調査対象国のなかで最下位という結果だった。
QRコード決済使用経験、トップはイギリス。開発国の日本は最下位
QRコード決済を使用したことがある人の割合は、イギリスが90.51%と最も多く、ついで中国88.18%、フランスやドイツも70%を超えている。そんななか、日本は61.61%と最下位だった。ちなみにQRコードは日本で開発された技術だ。日本製の技術がもっとも日本人に受け入れられていないとは、実に皮肉な結果である。
しかし、中国でのQRコード決済の定着には目を見張るものがある。「過去12ヶ月でQRコード決済が使用できる場所が増えたと感じますか?」との質問に対して、中国は「とても増えた」「増えた」「やや増えた」と回答した人の割合が約95%となり、コロナ禍で急速にQRコード決済の使用場所が拡大したことが分かった。また、QRコード決済の使用場面について、90%近くの人が支払いや金融取引でQRコード決済を使用したことがあると回答し、「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」の浸透率の高さが窺える。加えて、仕事でQRコードを使用すると回答した人の割合も82.81%と突出して高い結果に。飲食店での決済や交通機関の利用などに加え、オフィスの入退室管理などビジネスでの活用も広がっている。さらにコロナ禍には、都市を移動する際の自身の健康状態を証明するため利用されるなど、生活のあらゆる場面にQRコード決済が浸透している。中国では、コロナ禍の後押しもあり、生活インフラとして急速に根付いてきたと言えよう。
一方、北米は使用している人の割合は高いものの、クレジットカード社会であるためか、金融取引の利用はQRコード決済の使用率は20%程度にとどまった。
中国は「QRコードの使用に抵抗がある」と感じている人の割合が調査対象国の中で最も高く、40%弱だった。しかし「これからもQRコードを使用しますか?」との質問には、中国は90%近くが「使用する」と回答。「抵抗がある」と回答した割合が最も高かった中国だが、すでにインフラとして浸透しているため、抵抗があろうとも使用せざるを得ない事情があるのだろう。
日本では、30%以上の人が「QRコードの使用に抵抗がある」と回答した。また、「将来QRコードの使用が拡大してほしいと思いますか?」の質問には、日本は調査対象国の中で最も低く40%に満たず。コロナ禍で非接触ニーズが拡大しているなか、日本は時代に取り残されるような結果となった。
やはり島国で単一民族国家の日本は、似通った価値観をもつもの同士が集まる安心感で落ち着いてしまうのか?このまま他国との差が広がる一方では、日本はまたガラパゴス化の道をたどってしまうのではないかと心配でならない。中国のように、国や自治体の主導でコロナ禍の健康管理や公共交通手段の乗車券などをQRコード化し、インフラ化させてしまうのも一つの手なのかもしれない。
参考元:Ivanti 公式HPは→こちら