eスポーツ(esports)今さら聞けない格闘ゲーム用語「キャンセル」とか「中段」ってどんな意味?

近年、オリンピック競技の候補になるなど、世界的な盛り上がりを見せている「eスポーツ(esports/イースポーツ)」。eスポーツとはビデオゲームで対戦する競技のことで、現在ではプロリーグが多数存在し、海外では賞金総額20億円を超える大会も開かれている。

そんなeスポーツの人気のジャンルといえば、やはり「格闘ゲーム」だ。世界大会の実況中継なども盛んに行われているが、実況中に出てくる用語がよく分からないという人も多いはず。そこで今回は、今さら聞けない格闘ゲームの用語を紹介しよう。

eスポーツってなに? 中継を深く楽しむには用語を覚える必要あり!!

 海外ではプロリーグが多数存在し、賞金総額20億円超の大会が開催されるほどの人気を誇る「eスポーツ」。近年、オリンピック競技候補に挙がるなど、世界的な盛り上がりを見せている。そもそもeスポーツとは、“エレクトロニック・スポーツ”の略で対戦型のビデオゲーム競技のこと。サッカー、カーレース、シューティングなど様々なジャンルのゲームで競技が行われているが、eスポーツを代表するゲームジャンルといえば、やはり「格闘ゲーム」であろう。格闘ゲームは1対1の対戦をメインにしたゲームで、1991年にカプコン『ストリートファイターII』が爆発的人気を得てから、ひとつのゲームジャンルとして確立されていった。

 もちろん、その頃はネットやSNSもなく、攻略情報はゲームセンターでの交流やコミュニケーションノートでのやり取りなどで得るしかなかった。そのため、格闘ゲームの用語は地域ごとにバラバラで、全国的に統一されたものは少なかったのである。それが全国的に通用する専門用語になっていったのは、アーケードゲーム専門誌『GAMEST(ゲーメスト)』のお陰であると言っても過言ではあるまい。そんな歴史ある格闘ゲーム用語を覚えておけば、eスポーツ大会の中継をより深く楽しめだろう。

(Image:Roman Kosolapov / Shutterstock.com)

今や人気のプロスポーツのひとつとして、世界的な広がりを見せる「eスポーツ」。格闘ゲームはそのeスポーツを代表するジャンルでもある

■キャンセル

 英語を直訳すれば“取り消す”という意味だが、何を取り消すかといえば「キャラクターの動作」だ。たとえば、通常技の連続入力やコマンド技を入力して強制的に技を出すことで、パンチの腕を引くグラフィックをキャンセルする一連の操作のことを言う。実は『ストリートファイターII』の開発時にバグとして発見されたのが始まりと言われているが、このほうが連続で技が当たりやすくなるため、今でも格闘ゲームに残されているのである。

■中段攻撃(ちゅうだんこうげき)

 3D格闘ゲームが登場したときに名前がつけられたのが「中段攻撃」だ。元々、攻撃には「上段攻撃」と「下段攻撃」の2種類があり、下段攻撃は下段ガードのみ、上段攻撃はすべてのガードで防ぐことができた。だが、あとから登場した「中段攻撃」は、しゃがみガードでは防げず、立ちガードのみで防げる攻撃なのである。実は、3D格闘ゲームが登場前からこの攻撃方法は存在していたが、名前がついたのは3D格闘ゲームからと言われている。なお、攻撃とガードの関係性は下の表を参考にしてほしい。もちろんガードを崩す攻撃方法として利用されている。

3D格闘ゲームから使われた「中段攻撃」は、「立ちガード」でないと防ぐことができない

■めくり

 相手を飛び越すようにジャンプして、攻撃が当たる瞬間にガード方向が逆になる現象のこと。2D格闘ゲームの場合、ガード方法が「相手と逆方向にレバーを入れる」という操作だったため、ガード方向が入れ替わって防御を崩すテクニックのひとつである。また、めくられる状態でガードすることは“裏ガード”と呼ばれている。このように「めくり」は2D格闘ゲームでは効果的だが、ガードボタンでガードする格闘ゲームの場合は、崩し機能がそこまで高くはない。

■当て身(あてみ)

 相手の攻撃が当たると投げや打撃が発動し、一方的に攻撃できる防御技のこと。初代『餓狼伝説』のギース・ハワードがメインで使っていた技のため、ギースの代名詞とも言われる。本来は「当て身投げ」で、“相手の当て身(打撃)を投げる”という意味だが、投げが省略されて使われることが多く、「当て身」と「投げ」が混同している人もいる。現在では、相手の攻撃を受けて返す技全般に使われている。

■コンボ

 英語表記は「COMBO」で、組み合わせやセットの意味。ファーストフードの商品でも「〇〇コンボセット」などを見かけるが、格闘ゲームでは最初に数字を付けて連続技数を表現する。20コンボの場合は、20ヒットする連続技のことである。

■反確(はんかく)

 反撃確定の略。振りの大きな技を出してしまい、ガードすると確実に反撃できる/される状態のこと。また反確技のように、ガードされたら反撃が確定する技のことも「反確」と呼ばれている。

■リバーサル

 キャラクターがダウンした状態から、起き上がるモーションをキャンセルして技を出すこと。起き上がり中は無敵状態のゲームが多いため、出す技を無敵技にすることで、無敵状態から無敵技を繰り出すことができる。強力な攻撃方法だが、ダウン状態なので行動が読まれやすく、これが格闘ゲームの駆け引きの醍醐味でもある。

■ぶっぱ

「ぶっ放す」の略で、突然大技を出すこと。相手が油断していたり攻撃を出している最中なら当たることもあるが、たいていは冷静にガードされてしまう。一発逆転を狙ったり、一方的な流れを変えたいときなどに使われる。

■二択(にたく)

 条件が重なって、どちらか一方の行動を選択すること。格闘ゲームでは中段攻撃を絡ませた「上段ガードと下段ガード」の二択や、めくり攻撃を利用した「表ガードと裏ガード」の二択などがある。主にガードを崩すときのテクニックで使用される。

■連コ(れんこ)

「連続コイン投入」の略。ゲームセンターで対戦した際に、負けるとすぐにコインを投入して再戦すること。台を専有することになるので、マナー違反としているユーザーが多い。ネット対戦では、負けた後にすぐ再戦を求める人にもよく使われる。

■ハメ

「ハメプレイ」または「ハマる」の略。ある一定条件を満たすことで抜け出せない状態を作り、一方的に連続攻撃する状況にすること。一定の動作を繰り返してして永遠に続くコンボを「ループコンボ」と呼び、これもハメの一種とされる。プレイヤーのテクニック的に抜け出せないのか、またはゲームの仕様によって発生するのかで、個人間の認識に差が生じやすい。そのため、ゲームセンターでは「〇〇はハメなので禁則事項です」と表明されることがある。

■判定(はんてい)

 当たると攻撃できる部分を「攻撃判定」、攻撃が当たる部分を「やられ判定」と言う。攻撃判定が広い技は攻撃が当たりやすいが、同時にやられ判定も大きくなる傾向がある。キャラクターグラフィックよりも攻撃判定が大きすぎる場合、しばしば“謎判定”や“サギ判定”と呼ばれる。

(Image:Atmosphere1 / Shutterstock.com)

かつては各地域のゲームセンターで腕を競っていた格闘ゲームも、今や世界大会が開かれるほどメジャーなスポーツとして発展してきた

 いかがだろうか? 今回はかなり初歩的な格闘ゲーム用語に絞って解説した。これで、eスポーツ中継の解説も多少は理解しやすくなるだろう。また、その用語が生まれた状況や環境も合わせて理解することで、より深く格闘ゲームが認識できると思う。

※サムネイル画像(Image:Leonel Calara / Shutterstock.com

文=いしばしいちろう/編集・ライター

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