高すぎる課金、実は身代金? アップルがマルウェアの脅威を証言し手数料の正当性を主張

「Macはウイルスに感染しないから安全」。そんな風に考えて、新種のマルウェアによる攻撃のニュースを見聞きしても、「自分には関係ない」と感じてしまうアップルユーザーはいないだろうか。しかし、この安全神話はもう過去の遺物であることをアップル自身が証言した。同社のソフトウェアエンジニアリングを統括するCraig Federighi氏が、カリフォルニア州で行われている裁判で「Mac上のマルウェアは現在、われわれが許容できないレベルに達している」と発言。これは、高額すぎるという批判が噴出しているApp Storeの手数料が安全確保の“必要経費”ということか?

多くの開発元から不満噴出の手数料は、安全性確保のための必要経費?あるいは身代金?

Macの安全神話は過去の話。同社では顧客のコンピューターからマルウェアを自動削除する内蔵システムを利用していると説明

 Federighi氏の発言は、人気オンラインゲーム「フォートナイト」開発元のエピックゲームズとアップルとの間で起こった裁判で行われたもの。裁判のはじまりは、App Storeでの手数料の高さに不満を持ったエピックゲームズが独自の課金サービスを始めたため、アップルは同ゲームをApp Storeから削除したことだ。
 「アップルが定める課金システムが反トラスト法(独占禁止法)に違反しているかどうか」が争点だが、多くのアプリ開発元やMacユーザーが注目している裁判で、アップル自身が攻撃にさらされていることを認める発言をしたことは大きな衝撃を与えている。また、アップル側は安全性を守るために多額の投資を続けていると強調。これは安全性を“人質”に、高額な手数料を要求しているようにもみえる。

アップルがゲーム開発元よりも多くの利益を上げているとしたら、それは必要経費ではなく身代金ともとれる

 つい先日には、2020年の1年間で15億ドル(約1,631億円)ものApp Storeでの詐欺被害を防いだという発表がされ、ユーザー保護に熱心であることを示していたアップル。確かに、配信されるアプリやアップデート内容は事前に人の手でチェックされており、犯罪に絡むような内容や類似サービスと比べて不必要に高額請求するものを弾いているとのことなので、ユーザー保護のための経費は高額であることは間違いないだろう。しかし、裁判でアップル側はApp Storeからの収益を計算したことはないと繰り返し主張している。具体的な数字がない中で「30%の手数料は妥当な金額だ」と主張されても、モヤモヤしたものが残るのは筆者だけではないはずだ。

 ユーザー側からするともちろん、安全に利用できることが第一優先だ。しかし、手数料が高いということは、アプリ開発元はその分を上乗せした利益を出さなければならなくなる。つまり、手数料の請求書は巡り巡ってユーザーの元へやってくるか、アプリの配信停止という結末を迎えることになるだろう。「安かろう悪かろう」では困るが、適切なシステム構築を期待したい。

参考元:Macの「安全神話」に翳り–アップル幹部、マルウェアの深刻な増加に言及【CNET Japan

※サムネイル画像(Image:robert coolen / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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