高額報酬の海外経営者と控えめな日本経営者

過少報告は許されないが、カルロス・ゴーン被告は報酬を特別もらいすぎていたわけでもないのかも……?
ランキングを見ていくと明らかなように、海外の経営者は高額な報酬を手にする傾向がある。欧米では、業種に関わらず有力企業を渡り歩く「プロ経営者」なる人々がいる。その人たちに対しては、欧米と同水準の報酬が支払われることが一般的なようだ。
一方で、日本の経営者はどんなに名の知れた企業であろうとも報酬は控えめ。例えば、トヨタ自動車の豊田章男社長は過去にも元メジャーリーガーのイチローから「給料、安くないですか? 30億円くらいもらってくださいよ」と驚かれるほどだ。今回のランキングでも19位で、その金額は4億4,200万円と、海外勢と比べると少ない。よくよく見てみると、ユニクロなどで知られるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はグローバル展開もしている有名企業でありながらトップ20に入っていない。
そしてソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の名前も見当たらない。自社の他の役員がトップ2や上位を占めるなか、自分は控えめなのである。これには日本の風潮が影響しているようで、もし企業の“顔”である社長が10億円ももらっているとなれば、社内外から“貰いすぎ”という批判が出るからだと言う。
いずれにしても、トヨタ自動車やソニーを抑えて1位となったのはソフトバンクの取締役だった。トップ20に6人もランクインするなど、役員報酬ランキングでもソフトバンクグループは好調ぶりを見せている。ソフトバンクグループといえば、携帯電話キャリアのソフトバンクがLINEモバイルを吸収合併するなど、LINEとの経営統合が進んだり、QRコード決済「PayPay」が断トツの業界シェア獲得を果たしたりと、“ソフトバンク経済圏”全体が活発に動いていることでも知られる。今後もさらなる成長が期待できそうだ。
多数のポイントサービスが乱立し戦国時代を迎えている経済圏競争だが、ソフトバンクはこの勢いで業界を制することができるだろうか。今後の動向にも注目していきたい。
参照元:上場企業の役員報酬額ランキング 最高額はソフトバンクGのサイモン・シガース取締役の18億8200万円【ITmedia ビジネスオンライン】
出典元:上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査 開示人数、前年を上回る540人に【東京商工リサーチ】