携帯電話キャリアの楽天モバイルは7月27日、現在全国展開に邁進中の自社回線の基地局整備が計画よりも遅れる見通しを明らかにした。楽天モバイルといえば、2020年4月のキャリア参入から破竹の勢いでユーザー数を拡大させていることが知られている。この計画の狂いが、今後の事業拡大に悪影響を及ぼさないといいのだが大丈夫なのだろうか…?
半導体不足が気鋭の楽天モバイルにも影響か
楽天モバイルの計画の遅れは、現在世界的に巻き起こっている“半導体不足”が原因とされている。ここ1年ほど、自動車産業が減産を強いられるなど大打撃を受け話題となっていた半導体の供給量の低下の影響が、ついに携帯電話通信の業界にも及ぶようになったのだ。
そんな見通しの利かない現在を反映してか、楽天モバイルのHPでも楽天回線エリアについて「2021年内に人口カバー率96%へ拡大予定」と表記を変更したうえで「※時期は、世界的な半導体不足等による基地局設備への影響等で、変更となる場合があります」と注意書きが添えられている。半導体不足のさらなる余波もあり得ることに言及するあたり、やはりこの唐突な下方修正自体、想定外の事態が起きたと見るのが自然かもしれない。
そもそも人口カバー率は、当初計画では「2026年3月に自社回線エリアの人口カバー率96%に到達する」としていたところを、2020年8月の決算説明会において到達予定を2021年夏頃に変更。計画の大幅な前倒しを発表したことで一気に注目を集めた。さらに2021年2月には、96%という目標はそのままに基地局を増やして電波密度を高める方針も明らかにしていた。
加えて3月には楽天(現・楽天グループ)が日本郵政から資金を調達し、楽天モバイルの基地局増設などに利用するとも発表されるなど、グループを挙げてエリア拡大に注力してきた実情もある。今回の基地局整備の繰り下げも、断腸の思いでの決断だったのではないだろうか。
“第4のキャリア”である後発の楽天モバイルは、既存の三大キャリアと比較すると自社回線エリアの範囲が狭いことがネックであることは間違いない。だからこそ、彼我の差を埋めユーザー数をアップさせるためにも早急なエリア拡大を図っていたのだ。そんな楽天モバイルですら半導体の調達に支障をきたすほど減産が続いているのであれば、さほど注力してこなかった企業はさらに手に入りづらくなっているのではないだろうか。
別業界でも似たような報告が増えなければよいのだが…。今後広がるかもしれない各業界メーカーの半導体争奪戦にも要注目だ。
参照元:楽天、携帯の基地局整備に遅れ【共同通信】
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