一口にゲームといっても、もはや子どもの遊びや娯楽、趣味というだけの存在ではない。コンピューターゲームの中でもいくつかのジャンルは競技として扱われ、「eスポーツ」という言葉も広く知れ渡るようになった。世界大会が開かれたり、プロゲーマーとして年収1億円近く稼ぐ人々が現れたりと、時代が進むにつれて大きく躍進している。そんなeスポーツが、“eスポーツ版オリンピック”の開催を計画していると話題になっている。
意外にも歴史深く、熟練の技術が必要な“スポーツ”
今やメジャーな言葉になったeスポーツ。コンピューターゲームで行われる競技を指すが、コンピューターゲーム大会自体の歴史は意外にも長い。1972年にスタンフォード大学で開催された大会が最も古いと言われており、その後様々なゲームの登場で発展。1991年に発売された対戦型格闘ゲーム「ストリートファイターⅡ」をきっかけに、国際的なeスポーツ大会「Evolution Championship Series (EVO) 」が設立・開催された。
“スポーツ”という呼び方からもわかるようにコンピューターゲームをスポーツに分類するのには様々な意見があるが、人気はもちろん、多くの練習や経験を積んで磨き上げた技術は、いわゆる“スポーツ”として認知されている競技に劣らない素晴らしいものだと言われている。
7月23日から開催されている東京オリンピックの開会式で、ドローンによるショーなどを手掛けたワールドワイドオリンピックパートナーであるIntelは、eスポーツの世界大会「Intel World Open」を、国際オリンピック委員会(以下IOC)のバックアップを“公式に”受けながら開催するという。
プロゲーマーたちの目指す場所に
Intelが主催するeスポーツの大会「Intel World Open」は、IOCとのパートナーシップを結んだという。また、「オリンピック」という商標利用の公式許諾も受けており、実質「eスポーツ版オリンピック」と言っても過言ではないだろう。
Intel World Openの種目には対戦型格闘ゲーム「ストリートファイターV」と対戦カーアクションゲーム「ロケットリーグ」の2タイトルが採用。eスポーツ界でも人気のあるタイトルを採用したのは大きなポイントだという。
というのも、すでにオリンピックにおいてeスポーツを正式種目に採用しようという動きが見られおり、2024年開催のパリオリンピックで初の正式種目採用が期待されていた。採用は叶わなかったが、IOCはオリンピックライセンスに基づいたeスポーツの公式イベント「Olympic Virtual Series(OVS)」を立ち上げた。ところが、「ストリートファイターV」「Counter-Strike:Global Offensive」「League of Legends」「Dota 2」などのeスポーツでの人気タイトルは、「暴力的な内容」であることからオリンピック精神にそぐわないとして不採用になり、野球・自転車競技・ボート競技・セーリング・モータースポーツの5種目が採用されたのだ。
このことを踏まえると、タイトルの内容を含めてeスポーツがよりスポーツ界で公式に認められてきたとの考え方もできる。さらに、Intelのゲーミング&eスポーツ担当ゼネラルマネージャーであるマーカス・ケネディ氏によると、2022年開催の北京冬季オリンピックや2024年開催のパリオリンピックに合わせて、Intel World Open 同様のeスポーツの世界大会を開く予定だという。
数々の世界大会が存在しているが、「オリンピック」との称号が付けばプロゲーマーやプレイヤーたちにとっては、目指すべき場所、夢の舞台となること間違いないだろう。今後のeスポーツの発展にも注目していきたい。
※サムネイル画像(Image:OHishiapply / Shutterstock.com)