現在国を挙げて普及が進められているマイナンバーカードと「マイナポイント事業」。これまでも複数回の事業期間延長が続いていたことは記憶に新しいが、さらなる延長の可能性が高まっているようだ。しかし今度はこれまでと違い、マイナポイントの対象となるマイナンバーカード申請期限の延長ではなくマイナポイントを受け取る決済サービスの登録期間だけが延びたようだ。
さらなるマイナンバーカードの普及を目指したいならマイナポイントの対象となる申請期限も延ばすべきだが、果たして何のための延長になるのだろうか…。今回はマイナンバーカードの浸透の行く末について考えていきたい。
マイナポイント事業再々延長も、対象となるマイナカード申請期間は?
総務省の武田良太大臣は7月30日、会見で「マイナポイントの事業期間を9月末までから2021年の年末まで延長する」方針を明らかにした。しかしこれで延長されるのは、マイナポイント付与のためのマイナンバーカード申請を済ませている人が、マイナポイントを受け取るキャッシュレス決済サービスを登録できる部分のみ。既に4月末で締め切られているマイナポイントの対象となるマイナンバーカードの申請自体は延長されないという。
マイナポイント事業は、マイナンバーカードやキャッシュレス決済の普及のため、“国民に関心を向けさせるアメ”として導入されたものだ。2020年7月1日から申込みの受付がスタートしたが想定よりも申請件数が伸びず。当初2021年3月末に終了する予定だったマイナポイント事業自体を9月末へと半年間変更。さらにその後3月下旬になって、3月末までとしていたマイナポイントの対象となるマイナンバーカード申請期限を4月末へと再延長。マイナンバーカードの普及に苦慮している様子が伺えた。
度重なる延長の理由には、当然ながらマイナンバーカードの普及スピードが思わしくないことが関係している。2021年2月には平井卓也デジタル改革担当大臣が、1月の時点で「交付率25.1%」であり、「『マイナンバーカードを2022年度末までにほぼ全ての国民に普及させる』という政府目標の達成は厳しい」という見解を示していた。
その後、国がマイナンバーカード未取得者向けにQRコード付きの交付申請書を配布したことで、2021年2月以降に申請が急増したというが、すると今度は自治体のマイナンバーカード交付スピードが追い付かない事態に。確実なマイナポイントの付与のため、「マイナンバーカード交付→キャッシュレス決済登録」の期間を延長させたようだ。
確かに交付が遅れているのであれば、マイナポイントの登録期間を長く設定するのはユーザーとしてもありがたい配慮だ。しかしそれならば、マイナポイントの対象となるマイナンバーカードの申請期限も延長させたほうがよいのではないだろうか。当然、申請の期限が延びれば登録期間もその分後ろ倒しになることは避けられないが、より多くの国民にマイナンバーカードを持たせたい国にとっても悪い話ではないのでは…?
ちなみに今回の会見で武田大臣が伝えたのはあくまで方針であり、まだ延長が確定したわけではない。現在マイナンバーカードの交付待ちの人たちは、「どうせ延長されるから後でゆっくり登録しよう」とゆったり構えず、マイナンバーカードを受け取り次第キャッシュレス決済を登録していただきたい。
参照元:マイナポイント、事業期間延長へ。「確実に付与できるよう調整」【Impress Watch】
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