2019年頃に様々なQRコード決済サービスが誕生するなど、近年ものすごい勢いで増えてきているキャッシュレス決済。そして今度は、海の向こうからあのGoogleが新たに進出してくる様子が見られている。数々のサービスが誕生し“戦国時代”とも言えるキャッシュレス決済はすでに飽和状態のようにも感じるが、果たしてなぜGoogleはこのタイミングで参入しようとしているのだろうか…? 今回は、パッと見で無謀とも思えるGoogleの挑戦について考えていきたい。
Googleが本気で日本の市場に参入する?
Googleによる日本の送金アプリ「pring」の買収が正式に報じられたのは7月13日。pringは近年普及しているQRコード決済サービスではないものの、ユーザー同士の個人間送金が可能で、メガバンクなどの銀行口座に戻せるアプリだ。他のキャッシュレス決済と併用することで、割り勘などが容易に行えるようになることも特徴のひとつだという。
そんなpringをGoogleが買収した背景のひとつに「日本の金融サービス参入」という目的があるとみられている。Googleはすでに「Google Pay」を展開しているものの、Google Pay自体はあくまで、他のクレジットカード決済や電子マネー決済と連動させるサービスだ。
そのため日本の「資金移動業者」の免許を持つpringを買収することで、日本国内の銀行とのネットワークなどを自社内に吸収する狙いがあるという。そうしたGoogleの意図が見えるからこそ「Googleが日本市場に本格参入」と報道各社が伝えているのだ。
Googleはキャッシュレス戦国時代にどう立ち向かっていくのか
しかし実際の株式取得などpringの完全な買収には8月下旬までかかるとみられており、Google肝いりのサービス展開は当然ながらそれ以降、各社報道によれば来年以降、となる。そんな後発で“戦国時代”と言えるキャッシュレス決済業界で存在感を示すことができるのだろうか?
業界シェア獲得ためにGoogleが用いるであろう武器として挙げられているのが“資金力”だ。ご存知の通りGoogleは世界的な大企業であり、7月に発表された4~6月の第2四半期の純利益は185億ドル、日本円でおよそ2兆円。“バラマキ”とも呼ばれる高還元率のキャンペーンもかなり積極的に実施できることだろう。
2020年頃までQRコード決済各社が盛んに行っていた還元キャンペーンだが、最近は業界シェアがある程度固まってきて新規顧客の流入が見込めないせいか、長期に渡ってキャンペーンを打つサービスはめっきり減ってしまった。そんな控えめになった日本勢を後目にGoogleが積極的に還元キャンペーンを打つことになれば、かなりのユーザーが何かしらの反応を示すのではないだろうか。
国は「2025年までにキャッシュレス決済の比率を4割程度に引き上げる」としている。しかしそれは逆を言えば、「目標に到達しても6割はキャッシュレス決済を利用していない」ということだ。その6割を狙い撃ちすべく海を渡ってやってくる“ITの巨人”は、日本でどんな施策を見せてくれるのだろうか。今後の動きにも注視していきたい。
参照元:Googleがpring買収でスマホ決済市場へ乱入 PayPayや楽天ペイはどうなる?【THE OWNER】
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