オンライン専用ブランドの「ahamo」で他の携帯大手に大きく差をつけていたドコモ。一人勝ちかと思われていたが、KDDIとソフトバンクはそれぞれ、さらに低廉なサブブランドを投入し、それが好調。そちらに舵を切りつつある。ドコモはこのまま取り残されてしまうのか、それとも他に策があるのか……!?
オンライン専用プランでは圧勝のドコモ
先日、携帯キャリアの決算が出揃った。今回は楽天モバイルを除いた携帯大手3社の明暗を比較して見て行くことにする。
まず、オンライン専用プランの契約者数について。ドコモがオンライン専用ブランドとして2021年3月26日に投入したahamoは、契約者数の伸びは好調で、4月末には100万契約突破したという異例の発表を行うほどの好調ぶりをみせていた。現在は180万契約を超え、他社を圧倒する契約数となっている。一方、KDDIが発表した「povo」は100万契約ほど。同社の高橋社長は前期の決算で「100万が見えた」と話していたが、それ以降あまり加入者が伸びていないと見られている。そしてソフトバンクの「LINEMO」は、50万契約にも満たない。新規プランの伸び悩みに加え、解約率が1.01%と前年同期の0.53%から悪化するなどの厳しい兆候も見られているという。
ここまで見ていると、NTTドコモが圧勝のようにも見えるが、総合的に見ていくと、決してそうでもないようだ。
LINEMOが不調のソフトバンクは、早速テコ入れを開始。6月にLINEMOからさらに低廉な「ミニプラン」をスタートさせた。3GBで月額990円という驚きの価格だ。ソフトバンクへの吸収合併が伝えられている「LINEモバイル」の顧客取り込みを本格化させている。さらに、サブブランドの「ワイモバイル」にも力を入れており、その契約数は約700万にも上る。これにLINEMOの契約数を加えると、およそ750万規模。
KDDIも「でんきセット割」などのセット割引が話題の「UQモバイル」が好調だ。PovoだけでなくUQモバイルのプロモーションを積極化する方向に舵を切り、順調に契約数を伸ばしている。UQモバイルの契約数が5月時点で300万としていたことから、povoの契約数を合わせると低価格プラン全体で400万程度の契約を獲得している。
それに比較して、ドコモはahamoの180万契約のみ。総力戦で契約数が圧倒的に少ない状況だ。今年5月の決算発表では、さらに小容量で超低廉な料金プランも準備していると明言したドコモだけに、「まだなの?」と業を煮やした既存契約者が他社に流出している可能性は否定できない。また、今後の方針によっては、さらに甚大な数の流出も起こり得そうだ。ドコモにも、早急で正しい方向への舵取りが求められている。
参考元:ahamoが好調なドコモが「実は最も厳しい」理由とは–携帯4社の決算を読み解く【CNET Japan】