ここ数カ月、新型iPhoneの発売日や機能の情報といった様々なリークが出回り、iPhoneファンは公式情報を今か今かと待ちわびている。そんなiPhoneファンに、恐ろしいニュースが舞い込んできた。それは、iPhoneの入力データを奪ってしまう“極悪ケーブル”「O.MGケーブル」の最新版がリリースされたこと。
今回は、ニュースサイト・VICEが明らかにした、O.MGケーブルの詳細や危険性について紹介しよう。
遠隔からデータを奪うことができる恐ろしいO.MGケーブル
O.MGケーブルは、2019年8月に世界のハッカーが集まるハッキングコンテスト「DEF CON」で発表された。「MG」と名乗るセキュリティ研究者が開発し、サイバーセキュリティ企業「Hak5」が量産、販売。開発者であるMG氏の名にちなんで「O.MGケーブル」と名付けられている。MG氏は、DEF CONで、「最大300フィート(約90メートル)離れた場所からデバイスにアクセスすることができる」と説明したようだ。さらに、周辺のワイヤレスネットワークのクライアントとして設定すれば、アクセスできる距離は無制限とのこと。
O.MGケーブルの見た目は、iPhoneに使われる通常のLightningケーブルとほとんど変わらないといい、知らないうちに使ってしまうおそれもあるようだ。これほど恐ろしい製品なのだから、密かに取引されているのかと思ったら実はそうではない。普通は悪徳製品はダークウェブなどで密かに取り扱われているのだが、当時Hak5は公に100ドル前後で販売していたのだという。
今回話題となっているO.MGケーブルの最新版は、1マイル(約1.6キロ)離れた場所にあるiPhoneのデータを盗めるようになったとのこと。さらに、ジオフェンシング機能が追加され、ハッカーはデバイスの物理的な位置情報にもとづいて収集したデータの送信を開始したり、停止したりすることが可能だという。販売価格は140ドルで、相変わらず公で販売しているよう。日本円でも15,000円ほどと考えると、手に届きやすい価格といえる。知らない人からケーブルを借りることや、「充電で自由にお使いください」といった出所不明のケーブルがあっても、使わないのが賢明だろう。
ちなみに、O.MGケーブルがハッカーに利用される危険性についてMG氏は、「心配する前に、そのリスクについて気づいてもらいたかった」と述べているようだ。また、「人々に認知してもらうことがこの製品を開発した狙いだ。認知されれば、防御策も増える。悪意のあるケーブルは10年以上前から存在するが、人々はリスクに十分気づいていなかった」とも話したとのこと。アップルやユーザーに注意喚起するために開発したのであれば、販売してはいけないのではないだろうか……。
アップルはセキュリティが完璧と言われていたが、逆にハッカーたちのやる気に火をつけて、こういった悪徳製品が作られたのか。完璧なものはないのだと、思い知らされた気分だ。
参照元:iPhoneの入力データを奪う「極悪ケーブル」最新版が140ドルで発売【Forbes JAPAN】
※サムネイル画像(Image:dan.nikonov / Shutterstock.com)