テレワークという働き方が急速に普及したため、テレワークをしている人のなかには、「働く環境が整っていない」、「集中できない」といった問題を抱えている人が多い。その1つに在宅勤務で生じる諸経費について、会社側が負担してくれないと悩む人がいるようだ。一方で、しっかり支払いされているという声も耳にするが、どういった経費を会社が負担してくれているのだろうか。
今回は、LIXIL住宅研究所が行った関東近郊(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県)に住む男女会社員を対象にした「在宅勤務の実態や会社からの援助などについて」の調査により判明した、会社から支給がある(あった)項目を紹介しよう。(複数回答可)
2位の手当がないと、相当な金額を負担することになる
支給されているもの第3位は、「これまでと同様の通勤手当(出勤日が少なくとも従来通りの金額)」14.4%。3位ということで、たくさんの人がもらえているように見えるが、回答者の割合は2割にも満たない。通勤手当は、会社の就業規則によって支払い額が定められているため、出勤日数が少なくてもいきなりの減額や無支給はできないはず。にもかかわらず、14.4%ということは、もともと通勤日数などによって支払額が変わることを明記しているか、それとも就業規則の変更など、対応の早かった会社が多かったのだろうか。
第2位は、「パソコンやアプリケーションなどの購入費(現物支給でも可)」16.3%。アプリはものにもよるが、パソコン1台分となると相当な費用がかかる。もしそれが自己負担だったら家計的にかなり苦しくなるだろう。そのため、しっかり負担しようと考えている会社が多いようだ。支給したパソコンは、テレワークから通常出勤に変わった場合でもそのまま使えるため、ムダではないはずだ。
第1位は「時間外手当」17.3%。時間外手当は法定労働時間を超えた場合、原則発生するものだ。テレワーク中でもしっかりと時間外手当をもらえているサラリーマンは全体の2割弱ということのようだ。
テレワークは他人の目が行き届かないことから、「部下たちは本当にまじめに働いているのだろうか…」と心配する上司も少なくない。また、仕事のオンオフの切替が難しく「集中できず生産効率が上がらない」という現場の声もたびたび聞こえてくる。そうした状況を踏まえたうえで考えると、17.3%が時間外手当をきっちり支払っているというのは、ある意味良心的な会社と言えるのかもしれない。
ちなみに8位までは次のような結果になった。4位「冷房・暖房などの光熱費」14.1%、5位「携帯電話の通話料・データ料金」13.3%、6位「携帯電話の購入費(現物支給でも可)」11.6%、7位「Wi-Fi環境に必要なランニングコスト(光通信代など)」10.3%、8位「Wi-Fi環境整備に必要なイニシャルコスト(ルータなどの設備機器・契約費)」7.6%。
5位と6位の携帯電話関連については、会社の固定電話ではなくなったことにより発生した費用と考えられ、その分の手当が支給されたのだろう。7位、8位のWi-Fi環境についても、自宅にネット回線を引いていない(若年層の一人暮らしには多いと言われている)社員や、通信速度が求められる職務の人に、業務に集中してもらおうという会社の気概がみえる。
会社としても、テレワークにすることで備品や光熱費などが浮くため、その分手当を厚くする会社もあるのだろう。そういったホワイトな会社ばかりだといいが、そうでもないようだ……。
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