楽天銀行上場による1,000億円規模の資金調達は「楽天モバイル」の穴埋めなのか?

日本最大級の経済圏が、大規模な資金調達に動き始めたようだ。楽天グループは9月30日、自身の傘下にあるインターネット銀行・楽天銀行の株式上場の準備を進めることを発表した。具体的な時期は未定で、検討の結果によっては「上場しない」という判断に至る可能性もあるというが、検討に入ったというだけでも楽天経済圏には大きな影響を与えることになりそうだ。

今回は、楽天銀行の株式上場がもたらすものや、検討に踏み切った理由について考えていきたい。

楽天銀行、株式上場準備開始…するかどうかの検討を開始

(Image:Sundry Photography / Shutterstock.com)

ネット銀行として初めて1,000万口座を突破した楽天銀行、上場で独自に資金調達か

 楽天グループは9月30日、「楽天銀行株式会社の株式上場準備の開始に関するお知らせ」と題したリリースを発表し、「株式上場の準備を開始することを決議」したと伝えた。

 楽天銀行といえば日本最大級のインターネット銀行であり、2021年1月に国内のインターネット銀行として初めて1,000万口座を突破。さらに7月には1,100万口座突破を報告し、同行史上最速となるわずか6カ月での100万口座増という破竹の勢いも大きな話題となった。

 そんな好調な楽天銀行の株式上場となれば、市場も黙って見ているわけがない。「上場を検討することを決めました」という報告だけで、多くの報道機関がこぞって取り上げていることからもその注目度の高さが伝わってくる。報じられている内容によれば、楽天銀行の時価総額は1,000億円を上回ると目されており、実現すれば楽天グループは大規模な資金調達を成功させることになりそうだ。

(Image:rafapress / Shutterstock.com)

楽天モバイル基地局の整備が急務となっている今、どんな手法を使ってでも資金調達したはずだ

 上場で得られる最も直接的なメリットといえば、やはり前述の資金調達だろう。楽天グループは2020年4月に楽天モバイルをキャリア参入させて以降、既存の3大キャリアのシェアに追いつくべく“プラン料金1年間無料”キャンペーンを打ったり、基地局の整備を急速に進めたりと多額の先行投資を続けている。しかし当然ながら、先行投資であれば利益が生まれるのはまだ先の話だ。そのため“収穫”の時期までは別の方法でキャッシュ不足を解消する必要が出てくるだろう。

 楽天グループは3月にも(当時は「楽天」)日本郵政の出資を得ていたことを覚えている人もいるかもしれない。その際も楽天モバイルの拡充が進められていたことを考えると、今回調達されるであろう資金も携帯事業に“全ツッパ”されてもおかしくないだろう。

 携帯電話基地局の整備が急務となっている楽天モバイルだが、7月には「世界的な半導体不足による基地局整備の遅れ」の見通しを伝えていた。上場で得られた資金は、思うように進まない計画を推し進めるための起爆剤となるのだろうか。この一件は、延いては楽天経済圏全体の今後も左右することになるのかもしれない。

 これからの楽天グループの動向にも注目していきたい。

参照元:楽天グループ、楽天銀行の上場準備開始へ【日本経済新聞

※サムネイル画像(Image:rafapress / Shutterstock.com

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