アップルの「AirTag」などGPS機器悪用、条例で禁止へ! 立証が難しくザル法だという意見も

通信機器の発達により知らぬ間にGPS機器が取り付けられていたり、スマホで位置情報を追跡されてしまったり、といった恐ろしいことがより簡単に起こり得るようになってしまっている現在。ストーカーやDVといった深刻な被害も後を絶たない。そんななか、警視庁がGPS機器を相手の許可なく取り付けるなどの悪用を禁止する条例改正案の概要をホームページ上で公開した。私たちの暮らしにどう関わってくるのだろうか、考えてみよう。

GPS機器を相手に無断で取り付けることの規制が強化される

(Image:dreii / Shutterstock.com)

GPSを使った悪意ある行為には1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる

警視庁は12月13日、GPS機器を相手の承諾なく取り付けるなどの悪用を禁止する、東京都迷惑防止条例改正案の概要をホームページで公表した。

近年GPSを悪用したストーカー被害の増加に伴い、2021年8月にはストーカー規制法が改正され、GPS機器等を使い相手の位置情報を無断で取得することを規制対象とすることで対策を強めていた。今回の条約改正により、恋愛感情を伴わない場合でもGPSを使った悪意ある行為の規制を強化する狙いだ。2022年に都議会に提出され、2022年秋の施行をめざすとのことだ。ちなみに罰則は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金とされている。

最近では位置情報を共有できるGPSアプリが多数あり、子どもの見守りに使用したり、家族や恋人、友人同士で利用したりする人が増えている。待ち合わせなどに便利と若い世代にも人気だが、たとえ夫婦や恋人であっても本人に許可なくアプリをダウンロードすることは違法なこと。例えば、浮気を疑いパートナーのスマホにGPSアプリをこっそりダウンロードしたり、車にGPS機器をつけたりすることも当然違法なので、絶対にやってはいけない。

(Image:Tada Images / Shutterstock.com)

大切なものの紛失防止に役立つアップル社のAirTagだが、悪用される事例も世界で相次いでいる

今回の条例改正から分かることは、これまでは主にストーカー犯罪などに悪用されることが多かったGPSだが、普段の生活でより身近になったことで、さまざまな犯罪行為に用いられるようになってきた、ということだ。

先日、カナダの警察がアメリカのアップル社の紛失防止タグ「AirTag」が車両盗難に悪用される事件が増えていると報告、注意を呼びかけた。窃盗団はショッピングモールなど公共の場所で高級車に狙いを定め、AirTagをこっそりつけておき、被害者の家まで追跡し盗難するという。外国での事例だが、日本でも悪用される可能性は当然ある。盗難防止として自転車や車にAirTagをつけようと考える人も多いかもしれないが、逆に悪用され盗まれてしまう場合もあるので、これからは身に覚えのない追跡装置が付いていないか定期的に点検することも大切なことになってくるだろう。

GPSを使った新たな犯罪を縛るための改正だが、ネット上からは懐疑的な声が多く聞こえてきている。「誰が取り付けたものかなんて、立証が難しくザル法のような条例ですね」など、実効性があるのか疑問を呈する意見も少なくなかった。また、「認知症の親が出歩く時に持たせている」として、本人の同意は得ているものの認知症の影響で本人が「知らない」と答えないか心配する人も見られた。

車両盗難は一例に過ぎず、今後もGPSを悪用したさまざまな犯罪が増えていくかもしれない。普段から当たり前のようにスマホなど手持ちのデバイスのGPS機能を利用して生活をしている私たち。自分の身や大切な物を守るためにも、位置情報を知られることの危険性を理解し、悪用され犯罪に巻き込まれないように気をつけよう。

参照元:GPS悪用、条例で禁止へ 警視庁、HPで概要公表【共同通信社

※サムネイル画像(Image:Hadrian / Shutterstock.com

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