どうしてahamo(アハモ)は100GBの「大盛りプラン」を投入したのか? その納得のワケ

データ通信量20GB+5分無料通話付で月額2,970円と格安なドコモの「ahamo(アハモ)」。2022年3月時点で300万契約が目前という人気ぶりだ。そんなahamoが2022年6月から投入する新プランが月100GBで月額4,950円という「ahamo大盛り」である。だが、“誰が月100GBも使うの?”“本当にお得なの?”など、さまざま疑問も沸いてくる。そこで、今回は「ahamo大盛り」がいったいどんなプランなのか? どうして100GBもの大容量プランを投入したのかを解説しよう。

2022年6月から始まる「ahamo大盛り」ってどんなプラン?

ドコモの格安プラン「ahamo(アハモ)」は、データ通信量20GB+5分無料通話付で月額2,970円と、それまでの大手キャリアよりもかなりお得な料金プランで人気を博してきた。事実、ahamoは開始からわずか1年後の2022年3月時点で、すでに300万契約が目前だという。

ライバルのauやソフトバンクもこれに対抗して20GBで月額3,000円以下の格安プランを打ち出してきたが、ahamoほどの加入者はなく苦戦を強いられてきた。

そこで、auでは基本料を無料にし、1〜150GBまでのデータ通信量を自由にトッピングできる「povo2.0」を投入。3GB/30日で990円の小容量プランも利用できるようにした。

また、ソフトバンクの「LINEMO」も、月3GBで月額990円という小容量プランを投入して巻き返しを図っている。

そんななか、1年間まったく動きのなかったahamoは、2022年6月から100GBの大容量プラン「ahamo大盛り」を投入すると発表した。この「ahamo大盛り」は、基本プランに80GBの「大盛りオプション」を月額1,980円で追加するというもの。

つまり、基本プラン20GB(月額2,970円)+80GBオプション追加(月額1,980円)で、合計100GBを月額4,950円で利用できるという仕組みになっている。

それにしても、どうしてahamoは小容量ではなく100GBという大容量プランを投入してきたのか? いったい誰が100GBも使うのか? 本当にahamo大盛りはお得なのか検証してみたいと思う。

(Image:ahamo.com)

ahamo大盛りは100GBで月額4,950円と発表されているが、実はahamoに100GBプランが設定されるわけではない。6月から登場するのは80GBで1,980円の「ahamo大盛りオプション」である

「ahamo大盛り」は20GBで月額2,970円の基本プランに、80GBの大盛りオプションを1,980円で追加する仕組み。計100GBを月額4,950円で利用できる(表はNTTドコモの公式サイトを基に編集部で作成)

●ahamo「ahamo大盛り」(公式)→こちら
●NTTドコモ「「ahamo大盛り」の提供を開始-月額4,950円(税込)でデータ容量100GBまでご利用可能に-<2022年3月23日>」→こちら

どうしてahamoは100GBの大盛りプランを投入するのか?

MM総研が2021年7月に実施した「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態」調査では、月間データ通信量は平均8.72GBで中央値は3GB。回答者の57.6%が3GB以下の通信量だった。

スマホのデータ通信量は3GB以下が57.6%。7GB以下が75.2%を占める。100GBもの大容量が本当に必要なのか、マーケティング的にはやや疑問が残るが……(出典:MM総研の調査資料より)

出典元:「スマートフォン利用者の月額利用料金は4,845円」【MM総研】

 

このデータを見る限り、LINEMOやpovoが月3GBで月額990円の小容量プランを用意したのは、マーケティングに基づいた正攻法であると言える。

これに対し、少数派であるはずの大容量ユーザー向けプランを打ち出したahamoは、マーケティング的に見ればあまり上手くいくとは思えないはずだ。

だが、そこにはドコモなりの思惑があった。ドコモによると、2020年以降はコロナ禍でテレワークが増え、スマホのデータ量が増加傾向にあるという。

とくに、一人暮らしの20代〜30代の若者は、自宅にWi-Fiがなかったり、アパートの固定回線(Wi-Fi)の速度が遅いため、テレワークのビデオ会議ではスマホのテザリングを利用することが多いらしい。

また、自宅や会社にWi-Fiがあっても速度が遅くつながりにくいため、動画を見るときはスマホを利用するほうが快適な場合もあるそうだ。

確かに、すでに高速な5Gが普及してきたことで、最近はWi-Fiよりもスマホのデータ通信のほうが速くて快適なシーンも増えている。ドコモはこのような背景から判断して、小容量ではなくあえて大容量のahamo大盛りオプションを投入したというわけだ。

ahamo大盛り100GBで何ができる? 利用時の注意点は?

自宅や会社で高速なWi-Fiが使える人なら、月20GBもデータ通信量を使うことはないだろうが、月100GBの場合はどのくらいのことができるのだろうか?

ドコモの資料では、映像ありのWeb会議は1時間当たり430MB必要になり、月20日勤務でも100GBあれば約240時間も利用できる。また、動画は1話24分のアニメをフルHD画質(1話840MB)で121話分も視聴できるそうだ(dアニメの場合)。

また、ahamoの基本プランは月20GBだが容量が足りなくなった場合、これまでは1GBを追加するのに550円も必要だった。もし、4GB追加すると2,200円になってしまう……。

しかし、6月以降は1,980円で80GBのahamo大盛りオプションを追加できるようになるので、これはかなりお得感があるだろう。

とはいえ、ahamo大盛りオプションは一度追加すると翌月以降も自動的に継続されてしまうそうなので、翌月は大盛りオプションが不要な場合は、自分で解除する必要があることは覚えておきたい。

自宅に高速な固定回線やWi-Fiがない人にとっては、スマホのデータ通信が頼りだ。月100GBあれば、テレワーク時のテザリングや動画の視聴も余裕でこなせるだろう

ahamo大盛りに月額4,950円払うなら「5Gギガホプレミア」のほうが安い場合も!

ahamo大盛りは月100GBで月額4,950円だが、そこで気になるのがドコモの正規料金プランだ。

ドコモでは無制限「5Gギガホ プレミア」が月額7,315円で提供されているが、無制限とはいえそのままではahamo大盛りより月2,365円も高い。

しかし、ドコモの家族割「みんなドコモ割」で3回線以上契約すると1,100円割引きに。ドコモの固定回線「ドコモ光」を利用していると1,100円割引きが受けられるほか、dカードで料金を支払うと「dカードお支払い割」が適用されて187円割引きになるのだ。

これらをすべて適用できると2,387円割引きとなり、「5Gギガホ プレミア」の月額料金は4,928円まで下がるので、なんとahamo大盛りより安くなるのである。

そもそもahamoは単身者向けプランなのでこのような割引きは受けられないが、家族と同居している人は「5Gギガホ プレミア」への乗り換えも検討したほうがよいだろう。

ahamo大盛りは100GBで月額4,950円なのに対し、5Gギガホ プレミアは無制限で月額7,315円だ。しかし、家族割や光セット割などが適用できると、最大で月額4,928円まで安くなる場合もある(表は編集部の独自調査で作成)

月100GBプランなら格安SIMや楽天モバイルという選択肢もあるの?

100GBで月額4,950円のahamo大盛りだが、ライバルの料金プランはどうなっているのだろうか?

まず、auの「povo2.0」は基本料無料でトッピングを追加するスタイル。データトッピングは20GB(30日)で2,700円、60GB(90日間)で6,490円、150GB(180日間)は1万2,980円だ。1カ月単位ではないので単純には比較できないが、ahamo大盛りより割高になることが多いだろう。

それなら格安SIMはどうか? 実は100GB以上の大容量プラン(音声通話付)を提供している格安SIMは非常に少ない。

たとえば、「LinksMate」の100GB(音声通話付)プランは月額8,305円だ。特定のゲームがカウントフリーになるとはいえ、月額料金はドコモの無制限プラン「5Gギガホプレミア」のほうが安くなる。

唯一、ahamo大盛りに対抗できるのは楽天モバイルだろう。楽天モバイルでは段階制のワンプランで、20GB以上は無制限となり月額3,278円という低価格。

ahamo大盛りよりも安く利用できるが、楽天モバイルは4Gエリアの人口カバー率がいまだ96%なので、接続に多少不安が残る。

このようにahamo大盛りは、月100GBのプランとしてはかなり格安でお得感があることがお分かりいただけるだろう。

(Image:povo.jp)

基本料無料のpovo2.0は、データ通信量を自由にトッピングできるプラン。しかし、データトッピング180GB(180日間)は1万2,980円なので、1カ月あたり25GBで1カ月の平均料金は約2,163円という計算になる

●povo2.0(公式)→こちら

(Image:linksmate.jp)

特定のゲームがカウントフリーになるユニークな「LinksMate」。100GB(音声通話付)プランは月額8,305円で提供されている

●LinksMate(公式)→こちら

(Image:network.mobile.rakuten.co.jp)

楽天モバイルは段階制のワンプラン。20GBを超えると無制限となり月額3,278円で利用できるが、エリアが狭く接続にはやや不安が残る

●楽天モバイル(公式)→こちら

まとめ

いかがだろうか? ライバルが小容量プランを投入しているなか、ahamoはその逆を行く100GBの大容量プランを打ち出してきた。

しかし、よく調べてみると、意外とドコモの狙いは悪くないことがお分かりいただけるだろう。しかも、料金はかなり割安である。

もし、一人暮らしで自宅に固定回線がなくスマホで動画を見ている。あるいは、毎月スマホのデータ量が足りなくなって追加しているような人であれば、ahamo大盛りはかなり魅力的な料金プランとなるだろう。

オトナライフ編集部
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