「なんJ」とは、巨大掲示板「5ちゃんねる（旧2ちゃんねる）」にある、「なんでも実況(ジュピター)」という板（カテゴリー）の略称です。
【左】「なんJ」のトップページ。概要欄には「主に野球の実況」と書かれていますが、【右】実際にはこのように、日常の小ネタや時事ネタなど「雑談」がほとんど。「なんでも」というだけに、他の板と比べて話題の種類が圧倒的に豊富なことが特徴
本記事では、「なんJ」の成り立ちや歴史、代表的な「なんJ発祥語」やネタなどを紹介しつつ、いま話題の生成AI「ChatGPT」に「なんJ語」を覚えさせた結果をご紹介します。
「なんJ」は「なんでも実況（ジュピター）板」| さまざまなネットスラングの発祥の場
「なんJ」とは、巨大掲示板5ちゃんねるの「なんでも実況（ジュピター）板」の略称です。
2009年頃に野球掲示板に強い規制が掛かったため、「なんJ」が野球の実況メインの掲示板になりましたが、同時に雑談スレッドも混在。現在では新しく野球掲示板が作られたために野球に関するスレッドはほぼ立てられないものの、「なんJ」文化は引き継がれています
「なんJ」には、さまざまなネットスラング「なんJ語」を生み出してきた歴史があります。
ちなみに今回ご紹介する「なんJ語」以外では、「あっ…察し」（事情は察せられるが指摘するのは憚れるものを示唆する言葉）、「不可避」（避けることができない）、「残当」（残念だが当然）などもありまう。
主ななんJ語 | ワイ将
「ワイ将（わいしょう）」は、自身を表す一人称です。
「僕」「私」のように、「ワイ将は～」と使います。関西弁の一人称「ワイ」と、プロ野球チームの監督を意味する「将」を組み合わせたネットスラングです
主ななんJ語 | ～ンゴ
「～ンゴ」は語尾に付ける言葉で、失敗やまずいことをやらかしたときや、他人をバカにするような意味で使われます。
「ワイ将の上司が免停になったンゴ」のように、他のスラングと組み合わせることも多いです
主ななんJ語 | ぐう～
「ぐう～」は「ぐうの音も出ないほど～」を意味する言葉です。
もともとはひどい野球選手を「ぐう畜」と呼んだことが始まり。それが「ぐう聖」など他の表現に発展し、「ぐう可愛い」など幅広く使われるようになりました
主ななんJ語 | ～ニキ
「～ニキ」は兄貴（アニキ）の略で、頼りになる人を表す言葉です。
例えば「自信ニキ」は、自信があって頼れる人を指します。ネットスラングにしては珍しく敬意を示す表現。ちなみに女性の場合は「～ネキ（アネキの略）」と呼びます
主ななんJ語 | 熱い手のひら返し
「熱い手のひら返し」とは、今までの態度から豹変する様子を表す言葉です。
例えば、今まで絶賛していた選手を突然叩き出すなどに使用。「手のひら返し」に「熱い」が付いただけなので、日常でも使いやすい言葉でしょう
主ななんJ語 | クレメンス
「クレメンス」は「～してくれ」「～をくれ」のように依頼や要望を表す言葉です。
例えば、「明日面接がある。助けてクレメンス。」のように、相手に何かをしてほしい時などに使用し、様々な言葉と合わせて使用できます
主ななんJ語 | (アカン)
「アカン」は嫌な予感がしたり、実際にダメな状況の時に「こりゃダメだ」という心情を表す言葉です。
2009年11月15日の『サンケイスポーツ』に掲載されたオリックス・バファローズ 岡田彰布監督(当時)の言葉に補足する形で付けられたことでプロ野球ファンの間で流行。本来は「〇〇せなアカン」のようにアカンがなくても意味が通じる所にあえて付け加えて使用されていましたが、現在は「こりゃダメだ」と同じ意味で「アカン」と単独で呟く使い方が多くなっています
主ななんJ語 | すまんな→ええんやで
「すまんな」からの「ええんやで」は、謝罪とそれを受け入れる言葉として使用されるポピュラーな言葉です。
素直に過ちを認めて「すまんな」と謝罪をし、また言われた側は「ええんやで」と寛容に受け入れる姿勢は、「すまんな→ええんやで」の精神と呼ばれ奨励されています
主ななんJ語 | すこ
「すこ」は「好き」を意味する言葉。たとえば「これすこ」は「これ好き」という意味になります。
元々なんJで使われていた「スコ」という言葉もあった一方、ニコニコ配信動画で打ち間違いにより生まれた「好き＝すこ」という使い方がネットスラングとして定着。なんJ、ニコニコ動画界隈中心に使用され、Z世代にも広まっています
なんJは「野球ネタ」も多い | プロ野球実況板としてのなんJ
以前ほどではありませんが、なんJは「野球ネタ」も多いという特徴があります。なんJは「なんでも話せる板」でしたが、2009年5月に野球板に厳しいアクセス制限が掛かり、「実況しやすい環境」として「なんJ」に多くの野球民が移住しました。その結果、なんJは長く野球実況メインの板となっていましたが、現在ではまた以前の雰囲気に戻りつつあります。
主ななんJの野球ネタ | 打線組んだ
「打線組んだ」は、特定のカテゴリーやテーマから9つの要素を選び、「1中」「2右」「3左」など並べていくネタのことです。「平成のヤバい出来事で打線組んだ」などテーマはどのようなことでもOKで、それを元にスレッドのユーザーが感想や他の案などを語ります。
筆者がなんJ語で打線を組んでみました。「ぐう～」は「ぐうかわ（ぐうの音も出ないほど可愛い）」「ぐう畜（ぐうの音も出ないほど畜生）」など言い回しが多く、汎用的なので4番にしてみました
主ななんJの野球ネタ | 男村田
「男村田」は、元プロ野球選手「村田修一」さんの愛称です。誰かの引退試合で活躍することが多く、なんJでは「どんな状況でも手抜きしないキャラ」として定着。やがて「男らしい振る舞いをする」テンプレ的なキャラとして人気になりました。
主ななんJ語 | あかん阪神優勝してまう
優勝しそうな時に使用されやすい言葉です。
弱小球団が1勝したり、試合中に弱小球団が勝ち越したりした場面で、優勝するというにはほど遠い内容でネタとして使用される意味合いの他、阪神に限っては別の意味合いで使用され、期待以上の快進撃を見せた場面や期待の意味をこめて「あかん阪神優勝してまう」が使用されています
主ななんJ語 | 横浜優勝
横浜DeNAベイスターズが試合に勝利した際に使われる言葉。
横浜DeNAベイスターズが試合に勝利した際のファンの騒ぎぶりがまるで優勝したかのような大騒ぎであることを揶揄した言葉です
【実践】せっかくなのでChatGPTに「なんJ語」を覚えさせてみた
せっかくなのでChatGPTの「Custom instruction」機能を用いて、ChatGPTに簡単になんJ語を教え込んでみました。
Custom instructionとはChatGPTに事前情報や文脈をあらかじめ与えられる機能。よって「あなたはなんJ民です。5chのなんJ民のようにふるまって返信してください」などとプロンプトを与えておくことで、その文脈に沿った回答が可能になります
「なんJ民」風ChatGPTに「リーマンショックはどうして起きたのか」聞いてみた
「なんJ民」という役割を与えたChatGPTにリーマンショックが起こった理由を聞いてみました。
ChatGPTは「なんでワイ将がそんな面倒なことを教えなあかんねん。ググれや」と筆者にガツン。「半年ROMれや」とまで言われてしまいました。でも一応フォローのように短く、要点も教えてくれるところが「なんJ民」っぽさがある気もします
「なんJ民」風ChatGPTに「東京のおすすめスポット」を聞いてみた
さらに「東京のおすすめスポットを教えて」とも質問していました。
回答はやはり「知るかボケ、ググれや」といかにも「なんJ民」らしいもの。しかし、一応ゴールデン街やヒカリエ、雷門、秋葉原と4つも候補を出してくれたので、界隈特有のツンデレっぽさもしっかりと踏襲していました
まとめ
今回はそもそも「なんJ」とは何か、また代表的な「なんJ用語」についても合わせて紹介しました。ユニークな表現や飾らない言い回しは、自由に意見や感情を表現できる掲示板の世界だからこそ生まれるのかもしれません。語感の良さや汎用性の高さから、なんJにとどまらずネットスラングとして広く使われるようになり、もともと「なんJ」発祥と知らずに使用している言葉も多くあることでしょう。
