最近よく耳にすることがある「eSIM」。物理SIMカードと違い、スマホ本体に内蔵されたチップのデータを書き換えることができるので、キャリアのMNP乗り換えや、ひとつのスマホで2つの回線を利用できる「デュアルSIM運用」などでも便利に使えます。でも、世の中には物理SIMカードなのにeSIM機能を持つ「eSIMカード」も存在します。果たして「eSIMカード」とは何者なのでしょうか?
そもそも「eSIM」って何? どんなときに便利なの?
スマホで電話やネット接続するときは「SIMカード」が必要になります。SIMカードは契約情報が書き込まれたICチップを搭載した小さなカードをスマホに差し込み、アクセスポイント情報(APN)を設定すれば、ネットに接続できるようになります。
SIMカードは新規でスマホを契約したり、MNPでキャリアを乗り換えたり、スマホを機種変更したときなどに必要になるもので、目にしたことがある人も多いでしょう。
このSIMカードには「物理的なSIMカード」のほかに「eSIM」もあります。eSIMはスマホ本体に内蔵されたチップ(SIM)のことで、回線の契約情報を簡単に書き換えることができるのが特徴です。eSIMの基本についてはこちらの記事が参考になるでしょう。
eSIMならMNPで乗り換えたときも物理SIMカードが届くのを待つ必要はなく、その場で即時乗り換えができますし、ほかにもひとつのスマホで2つの回線(ドコモとauなど)を運用できる「デュアルSIM運用」も可能になります。
デュアルSIM運用すれば、どちらかの回線がトラブルによってつながらないときでも、もう一方の回線でネットに接続できるので万一のときも安心ですね。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
物理SIMカードなのに「eSIM」のように運用できる「eSIMカード」って何?
何となく物理SIMカードとeSIMの違いは分かっていただけたと思いますが、世の中には物理SIMカードなのにeSIMのように運用できる“eSIMカード”も存在します。これはいったい何なのでしょうか?
筆者は物理SIMカードとeSIMの違いを分かりやすく説明するために「eSIM=スマホ本体にある書き換え可能なチップ」と説明しました。
そもそも、eSIMの“e”とは「Embedded(組み込み式)」という意味ですので、この説明は決して間違っていません。
その一方でeSIMは“書き換え可能(リモートSIMプロビジョニング・RSP)”であることが必須機能となっています。そのため、RSP対応の書き換え可能な物理SIMカード「eSIMカード」も、eSIMに分類されているというわけです。
実際、2022年3月から、ソフトバンクとワイモバイルから「eSIMカード」が提供されていますし、Appleから提供されているiPad用の「Apple SIM」も「eSIMカード」と言えるものです。
それでは、どうして「eSIMカード」が存在するのか? それは、eSIM非対応なスマホやタブレットでもeSIMのように運用できるようにするためです。
●ソフトバンク「eSIMカードについて教えてください。」→こちら
●ワイモバイル(Y!mobile)「eSIMカードについて教えてください。」→こちら
まとめ
いかがでしょうか? 本来eSIMは「組み込み式のSIM(Embedded-SIM)」という意味ですが、書き換え可能である「RSP」機能があるのが前提です。
したがって、書き換え可能な物理SIMカードもeSIMに分類されるのです。もし、eSIM非対応のスマホでもeSIMのような機能を利用したいときは、「eSIMカード」を検討してみてください。ただし、対応機種はかなり限定されています。