SNS誹謗中傷の抑止力に?「プロバイダ責任制限法」改定 10月1日~

SNSの普及によって、人と人が身近につながれるようになった今、ネット上では特定の個人を攻撃する内容を含んだ誹謗中傷の書き込みが後を絶たない。某有名ニュースサイトでは、誹謗中傷対策として一部のコメント欄を閉鎖するなど、さまざまな取り組みが行われている。

2022年9月22日に投稿された、弁護士かとう◆YouTube1.45万人@999kt999さん「改正プロバイダ責任制限法施行9日前!SNSで誹謗中傷されると投稿者を特定するためだけにこれまで2度の裁判が必要だったのが来月(10月)からは1度の手続で相手を特定できるようになります!「批判」という建前で他人を傷つける文章を投稿することはヤメましょう!」というツイートには、プロバイダ責任制限法が改定された後の裁判手続きがどう変わるのかについて、わかりやすく解説した図が添付されていた。

今回は、こちらのツイートに関する詳細と、プロバイダ責任制限法とはどのような法律なのかについて、詳しくご紹介していこう。

プロバイダ責任制限法とは?

皆さんは、現行のプロバイダ責任制限法がどういった内容の法律なのかご存じだろうか。プロバイダ責任制限法とは、健全なインターネット環境の保持のため、2001年に成立した法律である。簡単に解説すると、ネット上で権利侵害があった場合に、プロバイダが負う損害賠償の責任範囲を制限し、被害者が発信者の情報開示を請求できる権利のことだ。正式な名称は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」と言う。

この法律が制定されてから、今年で21年が経った。2001年には予想していなかったSNSの普及により、現行のプロバイダ責任制限法にさまざまな課題が出てきてしまったのである。

そこで、ツイートにもある通り2022年10月1日からは、この法律が改定され、裁判手続きがこれまでよりも迅速に行えるようになったのだそうだ。 

法改正で何が変わる?

では、法改正によって、具体的に何が変わるのだろうか。

これまでSNSで誹謗中傷された場合は、まずSNSの運営業者を相手どって裁判をし、「どこの接続業者から誹謗中傷するコメントが投稿されたか」を明らかにしなければならなかった。そして、一つ目の裁判に勝った後、次は携帯電話会社やインターネット接続業者に対し、「投稿した人の氏名や住所を明らかにせよ」という二段階の裁判を起こす必要があったのである。

投稿した相手を見つけるだけで、二度も裁判を起こさなければならないとなると、多くの時間と費用がかかってしまう。SNS業者と裁判をしている間に、データが消えて投稿者にたどり着けないこともよくあったそうだ。

しかし、10月からの法改正によって、SNS運営業者を相手取った手続きに接続業者も参加させられるようになり、よりスピーディに解決を図ることが可能になるとのこと。

法改正で何が変わる?1

(画像は「総務省」公式サイト(PDF)より引用)

法改正で何が変わる?2

(画像は「総務省」公式サイトより引用)

また、今回の法改正では、上記の裁判手続きが創設されただけでなく、従来の法律では開示の判断がわかれていたログイン時情報なども、一定の要件のもと開示請求できるようになった。

YouTubeも、ぜひチェックしてみて!

SNSにおける誹謗中傷は、年々多くの問題が浮き彫りとなっており、それが原因となって命を落とす若者も少なくはない。今回ご紹介したプロバイダ責任制限法の改定が、少しでも悪意ある書き込みの抑止力になることを願っている。

投稿者の弁護士かとう◆YouTube1.45万人さんは、「声が大きいだけの人や強引な人が、気の弱い人に無理強いするような世の中」を変えたいとの思いから、YouTuberとして2019年にチャンネルを開設。時事ネタから身近な出来事まで、さまざまな問題に対する解決策や対応について、弁護士の視点で発信している、非常におもしろいチャンネルだ。「法律」や「交渉学」と聞くと、難しそうに感じる方も多いかもしれないが、動画は中高生でも理解できる非常にわかりやすい内容となっている。

弁護士かとう◆YouTube1.45万人さんのYouTubeでは、SNSにおいてどのような投稿をすれば、情報開示の対象になるのかなども徹底解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがだろうか。

●弁護士かとう【交渉人】YouTubeチャンネル→こちら

※サムネイル画像(Image:iama_sing / Shutterstock.com

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