KDDIなどの通信障害で、携帯電話やインターネット通信に大きな影響を与えたのは記憶に新しい。そのような中で行われた携帯電話サービス満足度調査では、全体的に総合満足度は上昇するという結果になった。しかし、多くのブランドで「通信品質」の評価は低下。やはり、通信障害の影響は大きいようだ。なかでも、通信障害によりスマホ決済ができなかったユーザーの通信品質への満足度は最も大きく下回った。
多くの携帯電話サービスでは満足度は上昇した
株式会社J.D. パワー ジャパンは9月27日「J.D. パワー 2022年携帯電話サービス顧客満足度調査」の結果を発表した。調査では「大手キャリア」「バリューキャリア」「MVNO」「オンライン専用ブランド/プラン」の4部門に分類し、それぞれの部門のユーザーの満足度を測っている。
大手キャリアはいわゆる3大キャリアのドコモ、au、ソフトバンク、バリューキャリアは楽天モバイル、UQ モバイル 、Y!mobileの3ブランド。MVNOはイオンモバイル、IIJmioなどの7ブランド、オンライン専用ブランド/プランは、大手キャリアの新プランahamo、LINEMO、povoの3つが対象となっている。
業界全体の総合満足度スコアは615ポイント。2021年の前回調査の608から7ポイントの上昇だった。部門別では、オンライン専用ブランド/プランが666ポイントで1位。2年連続で安定した満足度がうかがえる。ついで2位は654ポイントを獲得したMVNO、3位は唯一前回よりも満足度が下がったバリューキャリアで634ポイント。大手キャリアで595ポイントと3位とは大差での最下位だった。
前回の調査と今回では、2位と3位が逆転し、2位のMVMOは前年比+6ポイントでとくに「通信の速度」が向上。MVMOの通信が遅い、つながりにくいという弱点への改善が見られつつあるのが、満足度上昇にも反映したと考えられる。逆に3位のバリューキャリアが9ポイントも低下した原因は、通信障害や楽天モバイルの「0円」の廃止の影響が大きいと推察された。
総合満足度は、費用よりも通信の品質がキーポイント
今回の調査で注目すべきは「通信品質」の評価が総合満足度へ大きな影響を与えたということだ。通信障害や速度低下でユーザーが最も困ったシーンでは「家族や友人・知人と連絡が取れなかった(13%)」で、ついで「SNSでの投稿/閲覧ができなかった(11%)」。さらに「ニュースや天気予報を見ることができなかった(11%)」、「会計時にスマホ決済が利用できなかった(9%)」と続いた。
しかし「会計時にスマホ決済が利用できなかった」ユーザーからの満足度は544ポイントで、他の不具合で困ったユーザーに比べて著しく低かった。いまやスマホ決済が充分に普及し、生活に直結する買い物にも不可欠であることから満足度に直結することがわかる結果だ。
ひとたび通信障害が起これば、携帯電話の本来の機能だけではなく、買い物や病院の予約など、生活に密接にかかわるところにまで影響を及ぼす。今回の満足度調査からは、ユーザーが何よりも安定した通信品質の維持を求めていることがうかがえる。今後、各ブランドは通信品質の向上に努めることがユーザー獲得への近道かもしれない。
出典元:2022年携帯電話サービス顧客満足度調査℠【J.D. パワー】
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