YouTubeで人気急上昇のジャンル「ゆっくり」動画って何なの? – 誰でも作れるの?

YouTubeには、毎日数え切れないほどの動画がアップされています。ライブ配信や実況動画、歌ってみた配信など、さまざまなジャンルがありますが、そのなかに「ゆっくり」というジャンルが存在するのをご存じでしょうか? これは、コストをかけずに製作できる簡単な動画のことで、最近YouTubeなどで非常に人気があるのです。そこで今回は、「ゆっくり」動画とは何なのか? どうやって作ればいいのか? 詳しく解説しましょう。

そもそも「ゆっくり」動画って何? メリットは?

YouTubeには膨大な数の動画が続々とアップされていますが、最近再生数を伸ばしているのが「ゆっくり」動画です。

「ゆっくり」動画では、“ゆっくりキャラ”と呼ばれる『東方Project』のキャラクター・博麗霊夢や霧雨魔理沙などの頭部だけのアバターが使われており、音声は「AquesTalk」か「棒読みちゃん」といった音声合成ソフトを利用しています。

基本的には、1〜4人のキャラクターに合成音声でトークをさせて作品や商品、事件などを解説をしたり、ゲーム実況をするのが一般的です。

ちなみに、これらの動画が“ゆっくり”と呼ばれる理由は、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の掲示板で製作された、博麗霊夢と霧雨魔理沙が「ゆっくりしていってね」としゃべっているアスキーアートが由来となっています。

●ウィキペディア「ゆっくりしていってね!!!」は→こちら

ゆっくり動画の“ゆっくり”と呼ばれる理由は、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の掲示板で製作された、博麗霊夢と霧雨魔理沙が「ゆっくりしていってね」としゃべっているアスキーアートが由来となっている(Image:ja.wikipedia.org)

2005年頃、Dプ竹崎氏が作ったアスキーアートを元に改造されて誕生したのが、「ゆっくりしていってね」のアスキーアート。元となる素材をみんなで自由に改変するのがアスキーアート文化だ(画像はウィキペディア公式サイトより転載)

ゆっくり動画の歴史は長く、“最古のゆっくり動画”と呼ばれているものは「ニコニコ動画(現ニコニコ)」に2008年8月27日に投稿されたものです。

その頃はまだ「ゆっくり」とは呼ばれておらず、アバターなしでAquesTalkの音声によるゲーム実況動画が主流でした。

それ以来、「動画製作が簡単」「パソコン1台と無料のソフトだけで作れる」「自分の声を出さずに実況ができる」といった理由で、動画製作者がどんどん増えていったのです。

現在では、ゆっくり動画が1ジャンルとして定着しており、実況動画や解説だけでなくキャラクター同士が会話劇をする「ゆっくり茶番(劇)」や、AquesTalkに歌わせる「ゆっくり歌ってみた」などバリエーションも登場しているのです。

ゆっくり動画のメリット

・ビデオカメラで撮影したり、ノウハウがなくても簡単に動画が作れる
・パソコンがあれば高価な機材は不要(無料のソフトだけでOK)
・自分の顔や声を出さなくてもいい(喋りが下手でも大丈夫)

そもそも「ゆっくり」動画って何?(Image:youtube.com)

ゆっくり動画は複数のキャラクターによる掛け合いで動画が進行することが多い。写真や動画素材とテキストさえあれば、誰でも簡単に動画が作れるのがゆっくり動画の特徴だ(画像は編集部で作成した「ゆっくり動画」のイメージです)

ゆっくり動画を作るのは無料! フリーソフトや無料の絵素材だけでOK

ゆっくり動画のなかでもゲーム実況動画を作る場合は、ゲーム機やゲームソフトはもちろん、キャプチャーボードや画面キャプチャアプリなどを使うことになるので、多少は知識や技術が必要になってきます。

しかし、「ゆっくり解説」や「ゆっくり茶番(劇)」であれば、基本的にパソコン1台あれば、フリーソフト(ゆっくりMovieMaker4)と無料のアバター素材(nicotalk&キャラ素材配布所)だけで制作できます。

つまり、ゲーム実況動画を作らないのであれば、YouTuberのように撮影するためのカメラやマイク、VTuberが使っているモーションキャプチャなどは必要ないのです。

■ゆっくり動画を作るのに必要な機材とソフト

【機材】
・パソコン
・キャプチャーボード(ゲーム実況動画の場合)
・ゲーム機(ゲーム実況動画の場合)
【ソフトウェア】
・ゆっくりMovieMaker4
・ゲームソフト(ゲーム実況の場合)
【その他】
・動画や写真
・アバター素材
・背景素材

●饅頭遣いのおもちゃ箱「ゆっくりMovieMaker4」のダウンロード先は→こちら
●nicotalk&キャラ素材配布所は→こちら

ゆっくりMovieMaker4(Image:manjubox.net)

「ゆっくりMovieMaker4」の操作は、ほかの動画編集ソフトと同じように、映像素材をタイムラインに置いて時間を決めるだけでOK。これに「ゆっくり」立ち絵表示機能と音声読み上げ機能が付属している(画像はゆっくりMovieMaker4の操作画面より転載)

ゆっくり動画を収益化しても問題ないの?

自分で制作したゆっくり動画をYouTubeなどに公開する場合、広告付き動画として“収益化”してもいいのか気になっている人も多いでしょう。

結論から言えば収益化は可能です。ただし、収益化するためには、「ゆっくりMovieMaker4」と「アバター素材の権利や使用条件の確認」のふたつの問題点をクリアする必要があります。

【1】AquesTalkのライセンスについて

「ゆっくりMovieMaker4」はフリーソフトなので問題ありませんが、動画を作成するときに使われる音声「AquesTalk」には注意が必要です。

「AquesTalk」に関しては個人利用で収益化しないのであれば無料ですが、商用利用や広告付き動画として収益化する場合は、ライセンス料が必要になるのです。

ライセンス料は年6,380円の「AquesTalk使用ライセンス 商用コンテンツ向け」か、「AquesTalk1使用ライセンス」「AquesTalk2使用ライセンス」「AquesTalk10使用ライセンス」の3種類をすべて購入するが必要があります(この3つはいずれも6,380円で永続利用可能)。

ちなみに、「収益化する前は無料で利用し、収益化後にライセンス購入すればいいや」と考える人もいるでしょうが、これは止めた方がいいでしょう。

途中で収益化した場合は、ライセンス購入する前の動画をすべて削除しないといけないからです。

動画で収益化することを考えているなら、最初からライセンス購入しておくべきです。

●アクエスト「ライセンス」は→こちら

【2】アバター素材の権利や使用条件の確認

アバターの絵素材はネットで探せばいくらでも無料で使えるものが見つかります。しかし、これらの絵素材には作者がおり著作権は作者が持っています。

個人が使用するときは特別に無料で利用できても、商業利用・収益化での利用は不可となっている場合もありますので要注意です。

ゆっくり動画でもっとも使われているアバターを無料配布している「nicotalk&キャラ素材配布所」でも、利用規約が公表されています。

この利用規約によれば、企業の商用利用はできないものの、個人がYouTubeなどで広告付き動画としてアップ(収益化)する分には問題なく使用できるとありますが、ほかの絵素材を利用するときも、必ず利用規約を確認しておきましょう。

ゆっくり動画を収益化しても問題ないの?(Image:nicotalk.com)

こちらは「nicotalk&キャラ素材配布所」の利用規約。商用利用はできないが、YouTubeなどで広告付き動画として収益化するのは問題ない(画像はnicotalk&キャラ素材配布所公式サイトより転載)

また、アバターは特定のキャラクターの二次創作物も多いので、そ次の場合には一次創作者(原作)の著作権者の使用条件にも従わないといけないので、そちらの確認も重要です。

たとえば、『東方Project』ではキャラを利用するときのガイドラインを公表していますので、その内容を事前にしっかりチェックしておきましょう。

●博麗幻想書譜「東方Projectの版権を利用する際のガイドライン 2011年版」は→こちら

まとめ

いかがでしょうか? ゆっくり動画は頭部だけのアバターが棒読みっぽいナレーションで、面白おかしく解説していることが人気となり、今では動画ジャンルのひとつとして多くの人が制作して視聴されています。

しかも、ゆっくり動画を作る環境は有志によって十分整えられており、1本のソフトとフリー素材だけで誰でも簡単に動画が作成できるようになっているのです(商用利用を除く)。

動画の作り手にとっても自分の顔や声を出さずに動画が作成できるので、「面白いネタはあるけど自分がYouTuberのように表に出たくはない」という人にはピッタリでしょう。

もし、アナタも動画を作成してみようと思ったら、まずはゆっくり動画から始めてみてはいかがでしょうか?

※サムネイル画像(Image:24K-Production / Shutterstock.com

いしばしいちろう
編集・ライター。20年以上、某ゲーム雑誌の編集部に所属。ゲームやパソコン、カメラ、鉄道などが得意分野だが、フリーになってからはコスプレイヤーの撮影にハマったあげく、最近はVTuberにどっぷり浸かっている。

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