【2023最新】うっかり年収130万円の壁を一時的に超えたら扶養から外れる?

年収130万円を境にして、社会保険料や税金の負担が大きく変わることから、「年収130万円の壁」と呼ばれています。

【2023最新】うっかり年収130万円の壁を一時的に超えたら扶養から外れる?

年収130万円以内で扶養に入るメリットとしては、社会保険料を自分で支払わなくて済むこと。また、所得税の配偶者控除や住民税の特別控除も受けられます。結果として、年収130万円以内になるよう働いた方が世帯としては手取り収入が多くなる場合があります

年収130万円以内に抑えようと計画していたにもかかわらず、配偶者がパート先で賃金が上がったり、長時間のシフトを担当することになったりするなどして、「130万円」の扶養の範囲をうっかり超えてしまうこともあるでしょう。

「働きたいのに制度の壁の問題で働けない」「働くほど損をしてしまう可能性がある」ことは社会問題の1つでもあり、岸田首相も2023年3月17日に制度見直しへの着手を表明しています。

今回は「130万円」の扶養の範囲をうっかり超えてしまった場合、確定的に扶養から外れる必要が出てくるのか、たまたま超えてしまった場合は扶養の地位をキープできるのかについて、2023年時点の制度の詳細や最新情報を解説します。

年収130万円を超えたら扶養から外れる?パート主婦と夫が知っておくべきこと

年収130万円の壁とは、社会保険上の扶養に入るための年収の上限を指します。年収が130万円以下であれば、配偶者や親などの扶養に入れて、自分で社会保険料を支払わなくて済みます。しかし、年収が130万円を超えると、扶養から外れて自分で社会保険料を支払わなければならなくなります。

年収130万円を超えると扶養から外れるのは本当?

年収130万円を超えると、配偶者の社会保険(厚生年金と健康保険)の扶養から外れ、自分で社会保険料を払う必要があります。どの保険に加入すべきかは以下のチャートを参考にしてください。

年収130万円を超えると扶養から外れるのは本当?

勤務先の社会保険に加入する場合、勤務先が保険料の一部を負担してくれるため、自身で国民年金・国民健康保険に加入するよりも費用が安くなる場合が多いです。年収が130万円を超えたら勤務先の社会保険に加入できないか検討してみましょう

うっかり一時的に年収130万円を超えた場合、扶養はどうなる?

年収130万円を超えると、扶養から外れるのが原則ですが、わずかに超えた場合は、保険者(加入している健康保険組合など)が判断します。保険者によっては、超えた金額や期間などを考慮して、扶養のままにしてくれる場合があります。

厚生労働省は全国健康保険協会に対し、「過去1年間の収入が、昇給又は恒久的な勤務時間の増加を伴わない一時的な事情などにより、その1年間のみ上昇し、結果的に130万円以上となった場合においても、原則として、被扶養者認定を遡って取り消さないこと」との通達を出しています。健康保険組合がこの通達に従って判断するためです。

参考元:全国健康保険協会あて厚生労働省保険局保険課通知「被扶養者の収入の確認における留意点について」

年収130万円を超えたら税務署や会社にバレるの?

年収130万円を超えたら、税務署や会社にバレる可能性は高いです。

税務署は、源泉徴収票や確定申告書などで年収を把握しています。会社も、扶養の状況を確認するために、年末調整の際に配偶者の源泉徴収票の提出を求めることがあります。また、配偶者が複数のパート先で働いている場合は、それぞれのパート先から源泉徴収票が発行されるため、合計した年収が130万円を超えていることもわかってしまうでしょう。

年収130万円を一時的に超えたらどのような手続きが必要?

年収130万円を一時的に超えた場合、扶養から外れるかどうかは、保険者(加入している健康保険組合など)が判断します。一時的な収入増であれば、扶養の取り消しはされない可能性があります。ただし、その場合でも、所得税や住民税の申告は必要です。

扶養から外れるのかどうか確かめたい場合は、早急に保険者に確認しましょう(※保険者とは、配偶者(世帯主)の勤務先です。)。今後も継続して年収が130万円を超えることが確定的な場合は、扶養から外れる手続きが必要です。具体的な手続きについては後述します。

年収130万円を超えたらどのようなメリットやデメリットがある?

【メリット】「130万円の壁」など収入を気にすることなく働ける

年収130万円を超えると、単純に収入が増え、年収の制限を考えなくて済むので仕事の幅が広がるといったメリットがあります。

【メリット】将来受け取る年金額が増える可能性がある

年収130万円を超えると、扶養から外れて厚生年金保険に加入する必要があります。厚生年金保険に加入すると、その分保険料も支払わなければなりませんが、将来受け取る年金額は増えます。

【デメリット】社会保険料が差し引かれるため手取りの割合が減る

前述した通り、年収130万円を超えると、扶養から外れて自身で社会保険に加入する必要があり、その分保険料も支払わなければならず給与から差し引かれ、手取り額が減ります。

【デメリット】配偶者が家族手当や扶養手当をもらえない可能性がある

年収が130万円を超えると、社会保険の扶養から外れるだけでなく、配偶者の勤め先から支給される家族手当や扶養手当も受けられなくなる場合があります。

家族手当とは、家族を持つ社員に雇用主が支給する手当のことです。扶養手当とは、扶養家族に限定して支給する手当のことです。家族手当や扶養手当は、それぞれの企業のルールによって支給条件や金額が異なります。

2020年の就労条件総合調査(厚生労働省)によると、家族手当・扶養手当など家族に関する手当の平均支給額は月額1万7,600円でした。つまり、年間で考えると21万1,200円程度配偶者の収入が減額する可能性があります。

130万円を超えて扶養から外れる場合、医療費などは遡って請求される?

扶養から外れる場合、医療費は遡って請求される可能性があります。また、国民健康保険に加入する場合は、遡って保険料を支払う必要がある場合もあります。扶養から外れた期間中に支払った医療費の差額(7割)を健康保険組合に返金する必要があります(※返金後に、国民健康保険に返還の手続きをすれば返還されます)。

年収130万円を超えて扶養を外れる場合の手続き

年収130万円を超えて扶養から外れる場合の手続きは、以下の通りです。

社会保険の扶養から外れる場合は、「被扶養者(異動)届」を提出します。扶養から外れる手続きは、基本的に130万円を超えた日から5日以内に被保険者が事業主を経由して行う必要があります。健康保険は勤務先の社会保険に新たに加入するか、国民年金と国民健康保険に加入するかどちらか選びます。

税法上の扶養から外れる場合、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出し、扶養家族の名前から消去します。扶養から外れる見通しとなった時点で勤務先に申し出ましょう。

年収130万円を超えて扶養を外れる場合の手続き

扶養者の人数が変わるときは、被扶養者の勤務先に所定の書類を提出して手続きしましょう

年収130万円を超えないようにするにはどうすればいい?

年収130万円を超えないようにするには、勤務時間や日数を調整する、扶養の範囲内で働くことを雇用主に伝える、確定申告で必要経費を差し引くといった方法があります。

年収130万円以外にも気をつけるべき年収の壁とは?

年収130万円以外にも気をつけるべき年収の壁としては、以下のようなものがあります。

103万円の壁:所得税がかかるようになる、多くの企業で配偶者控除が適用されなくなる
106万円の壁:一定規模以上の会社でパートをすると社会保険へ加入が必要
150万円の壁:配偶者特別控除が徐々に縮小される
201万円の壁:配偶者特別控除の適用がなくなる

「年収106万円の壁」を意識した収入の調整が必要になる可能性

2022年10月から、「年収106万円以下」でも、下記の条件を満たす企業で働くパートやアルバイトは、社会保険に加入することになりました。

・事業所の従業員数が501人以上
・週20時間以上働く
・1年以上雇用される見込み

年収106万円の人の社会保険料は、加入する健康保険事業によっても異なりますが、年間およそ15万円になります。大手スーパーでパートとして働く人などは、今後「年収130万円以内」ではなく「年収106万円以内」を射程に年収を抑える必要が出てくるかもしれません。

まとめ

今回はうっかり年収130万円の壁を超えたらどうなるかについて解説しました。

現在は年収が130万円を少し超えると世帯収入としてはかえって減ってしまうのは上述の通りですが、2023年3月17日に岸田総理大臣が「106万円の壁」「130万円の壁」について、「被用者が新たに106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取り組みの支援などをまず導入し、さらに制度の見直しに取り組む」と表明しました。

参考元:日テレNEWS「106万円・130万円の壁」制度の見直しへ 岸田首相が記者会見で表明

人材不足に悩む職場では、パート、アルバイトが貴重な戦力です。退職金規定を変えることで、130万円の壁を解決できる場合もあります。扶養に入ったまま、もっと働きたい方は、職場の上長に規定を変える働きかけをしてもいいかもしれません。

今後どのように社会保険制度や税制が見直されていくか注目されます。

監修日:2023年4月12日

白根敦子/株式会社キャリア・ブレーン
プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー(R)、新卒採用コンサルタント
外資系下着メーカー勤務後、1996年父の会社であるキャリア形成支援を行う株式会社キャリア・ブレーン 取締役に就任。同時に友人とデジタルコンテンツ制作会社を設立。取締役に就任する。
日本酒好きの趣味が高じて、日本酒アカデミー株式会社を設立。イタリアでの日本酒普及にも務めている。
著書に「ル・ボン・ヴィボンの愉しみ」「ネ・コーチング」

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