サブスク「ガイドライン」制定へ! 不明瞭な解約方法などトラブル防止へ

音楽や動画などのエンタメコンテンツ、ウォーターサーバーやファッションコーディネートなどの衣食住サービス……。近年こうした「サブスクリプション・サービス」は世にあふれ、ひとつのみならず複数のサービスを併用している人もいるはずだ。ただ、サービス内容を深く調べずに「定額払えばサービス使いたい放題」と、漠然とした理解にとどまっていないだろうか。今後も成長が見込まれる分野なだけに、業界としても不要なトラブルは避けたいはず。そうしたなか、サブスクリプション・サービスのガイドライン制定に関するニュースが発表された。

健全な発展を目指し「サブスクリプション・サービスのガイドライン」制定へ

サブスクリプション・サービス(Image:Ivan Marc / Shutterstock.com)

現状でも十分健全に思えるサブスクリプション・サービスだが……

4月20日、日本サブスクリプションビジネス振興会は「サブスクリプション・サービスにおける料金額の適正化に関するガイドライン」を制定することを発表した。本ガイドラインは、不明瞭な解約方法や過剰な料金負担など、サブスクユーザーが不測の不利益を被ることを防止するため、あらかじめ一定のルールを定める。それにより消費者の利益を守ると同時に、サブスクリプションビジネスのさらなる活性化や健全な発展をつなげる、という青写真を描いている。

こうした動きがあるということは、サブスクリプション・サービス界隈では解約方法や料金について、少なからずユーザーと提供事業者の間で不一致があったということだろう。同振興会は、一例として月額利用料金が対象商品の定価(消費税等を含めた価格)を下回るサービスで、消費者が過剰な料金を請求されたトラブルを紹介している。

一時、携帯電話業界では登録サービスの解約ルートが難解で、多大な労力がかかると巷で話題になったことがある。同様の現象がサブスクリプション・サービスの一部で起きているとしたら、問題が大きくなる前に手を打つのが賢明である。

ガイドライン制定にあたり、各サービスの定義が明確に

サブスクリプション・サービスのガイドライン制定

ガイドライン制定はサブスクリプション・サービスが社会に定着したものとしてとらえたい

本ガイドラインの制定により、契約金額総額や最低利用期間、解約条件をサービス事業者は提示することが義務付けられ、ユーザーはより安心して利用できる。サブスクリプション・サービスは多岐にわたるため、本ガイドライン制定にあたりサービスの定義付けが行われた。

<サブスクリプション・サービス分類表>

※日本サブスクリプションビジネス振興会「サブスクリプション・サービスにおける料金額の適正化に関するガイドライン」参照

■デジタル系サブスク

【コンテンツサービス型】
動画見放題や音楽聴き放題など、デジタルコンテンツを利用できるサービスがここに当てはまります。過去から最新のものまで、多くのコンテンツがアーカイブされ、利用者は場所や時間を選ばず利用できます。あくまでコンテンツへのアクセス権を提供するものであり、オンラインサービス型のように直接人的資源を割くサービスは含みません。

【オンラインサービス型】
オンラインでソフトウェアやプラットフォームを利用したり、レッスンを受けたりなど、一定期間そのサービスを使う権利が得られるモデルです。サービスは事業者が随時アップデートするため、利用者は常に最新の機能を使い続けられます。

■非デジタル系サブスク

【一般定期購入型】
健康食品、化粧品、新聞や雑誌の定期購読など、同一の消費財が定期的に届くサービスを指します。届く商品の商品価格が月額利用料を下回ります。

【パーソナライズド定期購入型】
定期購入だが、届く商品が固定のラインナップではなく、個人の要望、体質、悩みに応じてオススメされた商品を定期購入するサービスを指します。

【キュレーション型】
特定のテーマに基づいて専門家や AI がキュレーションした商品が届くモデルです。利用者は、自分だけでは探し出せなかった「私や私の生活に合うであろうまだ見ぬモノ」との偶然の出会いを享受できます。

【メンテナンス型】
複写機やウォーターサーバー、近年では生ビールサーバーなど、繰り返し使える本体部分を無償あるいは非常に安価で貸し出し、消耗品部分を従量課金で販売するモデル。利用者はコストの高い装置を手軽に導入でき、補充商品を手間なく交換できたりします。

【リース型】
自動車や高級家具、アートなど、主に高価格帯の商品を、長期にわたって月額で利用可。毎月の月額利用料は商品価格の市場価格を下回ります。累積の支払額が商品の定価を大幅に超えない料金設定になり、保証など長期利用にかかるメンテナンスも付帯しています。

【定額レンタル型】
洋服やジュエリー借り放題、シェアオフィスなど、その日、その瞬間に使いたいアイテムや空間などを利用できるモデルです。1 日〜 1カ月ほどの短期で貸し借りを繰り返すので、人々は「購入する」「所有する」という行為から解放され、その時々のモチベーションや状況に合わせて、常に新しい商品やサービスを利用できます。

【単一レンタル型】
カーレンタルなど、短期利用を主に目的として所有せずに利用できるサービスです。長期利用の場合は定価を超える場合があります。

【パーソナライズドレンタル型】
おもちゃなど、個人の特性と変化に合わせてぴったりの商品を選定して定額でお届けするサービスです。期間は1カ月毎に更新することができます。

【非オンラインサービス型】
美容室使い放題や通常よりも安価に利用できる定額制の家事代行など、店舗や自宅でサービスを受ける権利を得られます。対面で有限の人的資源を提供するサービスはここに含まれます。期間内のサービス利用料が定額のため、利用者は支払い面での不安から解放され、安心してサービスを享受できます。

【非オンライン/オンライン複合型】
他のモデルと異なり、サブスク単体で利益を出すのではなく、定期的に特定の店舗やオンラインストアに誘導し、ブランドとの接点を増やしてロイヤルティーを高めることが主な目的です。カフェならコーヒー 1 杯無料にしたり、オンライン上で無料で遊べるゲームを用意したりと、訪問するたびに特典や割引を受けられるサービスが多く、利用者はそのブランドをより身近に感じたり、店舗やサービスの新しい利用シーンや使い勝手を発見したりできます。toBでは働き方改革に貢献するオンラインサービスと納品物のサポートまで行います。

■その他サブスク

【インフラ型】
携帯電話の通信料や、インターネット回線、交通機関の定期券など、インフラ利用についての定額課金のことを指します。

【保険型】
保険や売掛金の補償など、リスクに備えて、一定の金額を支払うことによりリスク軽減を行うサービスです。

ガイドラインが定められたことはサブスクリプションビジネス業界にとって大きな一歩といえる。もうひとつ大事なのは、消費者自身がガイドラインを理解することだ。どちらか一方の努力に頼るのではなく、互いに歩み寄る。今後はガイドラインを土台にした、サブスクリプション・サービスの真価が問われる。

出典元:【一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会/PR TIMES
●一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会は→こちら

※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)

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