ChatGPTに「不可抗力で個人情報が流出するリスクも」個人情報保護委員会から注意喚起

6月2日、個人情報保護委員会は「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等について」と題した資料を公表した。そのなかで言及されているのは、ChatGPTをはじめとした生成AIサービスを利用する際の個人情報の取り扱いだ。ChatGPTは、誰でも簡単に使える利便性と、短文でも的確な回答を提供してもらえる即時性が目を引くサービス。同サービスを開発したオープンAIのサム・アルトマンCEOが今春に首相官邸で岸田首相と面会した出来事もあって、社会的に十分に信用できるものとして捉えていたユーザーも多いはずだ。

しかし、国際的サイバーテロ集団による個人情報流出やシステムトラブルが度々、取り沙汰される時代である。同委員会から発表された提言は、これから先にかけて人類が生成AIとうまく付き合っていくためにも目を通しておくべきだ。

ユーザー自身の適切な判断も必要! 個人情報保護委員会による注意喚起の内容とは?

個人情報保護委員会による注意喚起

個人情報取扱事業者、行政機関、一般利用者など幅広い立場に向けた注意喚起だ(画像は「個人情報保護委員会事務局」(PDF)より引用)

生成AIサービスは業務や思考をアシストする新規ツールの範疇を飛び出し、国際的に運用方法が検討される重要コンテンツとなっている。先月に開催されたG7 広島首脳コミュニケでは、AIガバナンス及び相互運用性に関する国際的な議論、国や分野を超えて生成AIの機会および課題について、直ちに評価する必要性が取り上げられ、各国がどのような規定を設けるかが注目である。

各国が動き出すなか、日本においてはChatGPTなどの生成AIが普及する現状を受けて、同委員会が①個人情報の適正な取扱いによる個人の権利利益の確保の要請、②新たな技術にもとづく公共的な利益の要請、の両要請のバランスに留意して、今回の注意喚起にいたっている。具体的な注意点・留意点については、(1)個人情報取扱事業者、(2)行政機関等、(3)一般の利用者、の3者に向けて述べられている。

そのなかで、主なトピックスとして指摘されているのは個人情報だ。(1)個人情報取扱事業者には、あらかじめ本人の同意を得ることなく生成 AI サービスに入力された個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある旨が示され、(2)行政機関等においても同様の注意喚起を行っている。

(3)一般の利用者については“留意点”という言葉にとどめているものの、「生成 AIサービスに個人情報を入力等する際には、このようなリスクを踏まえた上で適切に判断すること。」「生成 AI サービスを提供する事業者の利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認し、入力する情報の内容等を踏まえ、生成 AI サービスの利用について適切に判断すること。」といった利用にあたっての心構えを説いている。

「不正確な内容が含まれることもがある」あらためて知ってほしい生成AIの基本

ChatGPT(Image:Rokas Tenys / Shutterstock.com)

どのような問いにも円滑に回答するChatGPTを信頼するユーザーもいるはずだ

生成AIサービスにかかわるさまざまな立場に向けて、個人情報の適切な取扱いなどの注意喚起が行われる一方、生成AIサービスの“いろは”も周知されているのも特徴だ。(3)一般の利用者に向けて、「応答結果に不正確な内容が含まれることがある。」として、確率的な相関関係にもとづいて応答文章が作成されていることを伝えている。

いくら生成AIといえど、全知全能のツールではないことは多くのユーザーが理解しているところ。それでも少数派に向けてあらためて、丁寧に書き記すのは現代社会だからなのかもしれない。

引用元:【個人情報保護委員会リリース(PDF)
参照元:【個人情報保護委員会

※サムネイル画像(Image:Rokas Tenys / Shutterstock.com)

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