スマホのバッテリーを「充電しながら使う」のはしばしば危険と言われることがあります。危険性としてよく指摘されるのは、本体温度の上昇によるバッテリーの劣化などです。
とはいえよく考えてみると、寝る前にスマホを充電すると深夜の間にもバックグラウンドで動作するアプリは常に稼働しています。どれだけ気をつけていても、バックグラウンド動作のアプリがある以上、実際には「充電しながら使っている」のと同様ではないでしょうか。するとあまり充電中の利用について敏感になる必要がない気もしますよね。
本当にスマホを充電しながら使うのは避けるべきか、気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、充電中のスマホ利用に伴うバッテリー劣化のリスクと、適切な充電方法をご紹介します。
スマホを「充電しながら使う」のは実はまったく問題ない?
結論から言えば、スマホを「充電しながら使う」ことに大きな問題はありません。
近年のスマホには一般的に過充電保護機能が備わっており、バッテリーが満充電になると自動的に給電を停止します。夜間に充電器に接続したままにしても、バッテリーに過度なストレスがかかることはなく、特に心配する必要はありません。
また、充電中のスマホの使用についても基本的に問題ありません。先ほども触れた通り、そもそもインストールされているアプリはバックグラウンドで常時更新されています。位置情報アプリを中心に、バックグラウンドで動作し続けるアプリも珍しくありません。
深夜の充電中にアプリのバックグラウンド処理が進むのと、人間が充電中に操作することには大きな違いはないと言えるでしょう。ただし、充電しながらの操作中に発熱を感じた場合は操作をやめることをおすすめします。またスマホに毛布や布団をかけるなど、スマホの熱がこもりやすくなることも避けましょう。
参考元:Anker公式サイト
充電しながら使うのが「危険」と言われがちな理由は?
一般的には、充電しながらスマホを使用することが危険とされる理由はいくつかあります。主な理由は以下の通りです。
スマホの本体が過熱しすぎるのでは?
充電中のスマホは、バッテリー及び本体が高熱を持ちやすいです。そして充電中のスマホを使用すると、充電と放電が同時に行われるため、よりバッテリーへ負荷がかかります。バッテリーに大きな負荷がかかり続けることは、低下や故障の原因になる場合があります。
とはいえ近年のスマホはバッテリー性能自体が改善しています。
極端に高温な環境下での使用や、明らかに異常に発熱している状態のスマホを利用するのでない限りはさほど「充電しながらのスマホ利用」に過敏になる必要性は薄いでしょう。
充電ケーブルをスマホに差しっぱなしにするのはバッテリーに悪いのでは?
先述した通り、最新の多くのスマホには過充電保護機能が備わっており、100%まで充電されると自動的に給電を停止します。そのため、充電ケーブルを挿したままでもバッテリーへの影響はほぼありません。
バッテリーの膨張や発火のリスクが高まるのでは?
国民生活センターは2021年3月18日に「リチウムイオン電池及び充電器の使用に関する注意」を発表。充電中のスマホで動画を連続再生し、その上からかけ布団をかけた場合、本体の温度が50℃になっているという実験結果を公表しています
高熱になったバッテリーは膨張して容量や持ちが悪くなるだけでなく、爆発や発火の危険性も高まります。
つまり本体が極端に高熱になった場合は「危険」だと言えるでしょう。充電しながらスマホを使う場合でも、スマホの上から毛布や布団をかけるといったことは避けましょう。
参考元:国民生活センター
適切な充電の方法と注意点
スマホの適切な充電方法と注意点について、以下のポイントを参考にしてください。
「満充電」もバッテリーに悪影響を与えることがある
過度な振れ幅(0%→100%)でバッテリーを使いきってから、満充電を繰り返すと、バッテリーの負荷が高く、悪影響を与えることがあります。0%→100%の振れ幅の満充電ではなく、20%~80%程度のバッテリー残量をキープすることを意識し、こまめに充電すると良いでしょう。
「フル充電サイクル」を意識する
先ほど述べた0%→100%でバッテリーを使い切ってから満充電することは「フル充電サイクル」とも呼ばれます。バッテリーの容量が0%から100%まで完全に充電され、そして再び0%まで使い切ることが1サイクルとカウントされます。
たとえばiPhone 15モデルのバッテリーは、フル充電サイクルを1,000回繰り返した場合に、本来の容量の80%を維持できるように設計されています。逆に言えば、100%まで充電してフル充電サイクルを繰り返すほど、バッテリー性能は劣化していくと言えるでしょう。
「充電しながらスマホを使う」ことの危険性はあまり大きなものではありませんが、フル充電サイクルを意識するならばやはり充電は8割で留める方が望ましいです。
iPhone 15の場合「設定」>「バッテリー」>「バッテリーの状態と充電」>「充電の最適化」から、充電の最大容量を「上限80%」に設定もできます。気になる方は、充電の容量自体を80%に制限するのも良いでしょう。
アダプタの選び方と注意点
アダプタと充電ケーブルの選び方も大切です。たとえばiPhoneの場合、基本的にはApple純正のアダプタとケーブルを使うことをおすすめします。
もっとも日常的にスマホを使う中では、百均のアダプタやUSBケーブルなどを予備として利用することもあるでしょう。百均のアダプタやUSBケーブルの中には、純正品と遜色ない性能のものもありますが、そうではない製品もあります。たとえば細い充電ケーブルでは充電速度が遅く、「充電しながら使う」と動画視聴などでのバッテリーの消費に充電が追い付かない場合もあります。
百均のアダプタやUSBケーブルのレビューは、こちらの記事も参考にしてください。
スマホの寿命をもっと延ばすための使用方法と設定
スマホの寿命を延ばすためには、充電だけでなく、使用方法や設定も工夫することが大切です。以下に、スマホの寿命を延ばすための使用方法と設定を紹介します。
バックグラウンドでのアプリ更新をオフにする
バックグラウンドでアプリが実行されている場合、アプリの更新は多くの電力を消費します。バッテリー寿命を節約するために、自動更新をオフにしましょう。
iPhoneの場合は以下の手順でオフにします。まず設定アプリを開きます。
Androidスマホの場合は以下の手順でオフにします。まず、設定アプリを開きます。
OSのバージョンによって設定方法や表示が異なる場合がありますが、多くの場合は「ネットワーク」や「インターネット」からデータ使用の設定を行うことができます。
必要ないときはWi-Fi、Bluetooth、GPSをオフに
Wi-Fi、Bluetooth、GPSなどを必要ないときにオフにすることも、バッテリー寿命を節約するのに役立ちます。
iPhoneの場合でそれぞれをオフに設定する方法は以下の通りです。
充電は80%程度までに抑える
スマホのバッテリーは、80%程度まで充電するのが最適です。80%以上に充電すると、バッテリー内部の圧力が高まり、劣化が進みやすくなります。一方、20%以下になると、バッテリー内部の化学反応が不安定になり、劣化が進みやすくなります。
まとめ
近年のスマホはバッテリー性能が改善しており、なおかつ一般的に過充電保護機能がついています。「連続的に動画再生を行い、なおかつスマホに布団や毛布をかけている」といった過度に発熱しやすい状況下での利用でない限り、充電しながらスマホを使うことに特に問題はないでしょう。
仮に充電しながらスマホを使うのを避けたとしても、充電中にバックグラウンドで動作するアプリが稼働していれば「充電しながらスマホを使っている」のと大差ありません。
もっともバッテリーを長持ちさせるためには、充電の仕方に気をつけることも大切です。たとえばフル充電サイクルを意識して、充電は80%程度で止めるのはおすすめです。また充電器やケーブルは正規品を使うことが基本的にはおすすめです。