没入感のある漫画やイラストなどの創作物には、常に何かしらのリアリティがある。ファンタジー作品にも、読者がついのめり込んでしまうような素晴らしいものは数多くあるが、普段の日常から地続きに存在していそうな物語ほど、個人の心に訴えかける影響は大きい。そういったリアリティ溢れる作品を制作していく上で欠かせないのは、なんといっても小道具だ。しかし、実在する家具や家電などの日用品は、企業への断りなしに使うことはなかなか難しい。
2023年6月20日に投稿された、SHARP シャープ株式会社@SHARP_JPさんの「よく実在の家電をマンガやイラストに描き込んだら、そのメーカーから怒られるんじゃないかと心配される方がいますが、少なくともシャープはそういうことをしないので安心して描いてください。仮に社内で怒る人がいても、私が代わりに怒られるのでだいじょうぶです。」というツイートには、なんと7.4万件以上の「いいね」がついており、ツイッター上で大きな話題となっている。
今回は、こちらのツイートに関する詳細と、リプライ欄に寄せられたさまざまな意見をご紹介します。
よく実在の家電をマンガやイラストに描き込んだら、そのメーカーから怒られるんじゃないかと心配される方がいますが、少なくともシャープはそういうことをしないので安心して描いてください。仮に社内で怒る人がいても、私が代わりに怒られるのでだいじょうぶです。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) June 20, 2023
シャープ製品は、勝手に漫画やイラストに描いてもOK!
大阪府堺市に本社を構えるシャープ株式会社の公式ツイッターによると、シャープ製の家電に関しては、漫画やイラストなどを作成する際、その背景に自由に描き込んでもらってもかまわないとコメントしている。仮にシャープ社内で怒る人が出たとしても、この件では、作家にはおとがめなしを約束するので、まったく心配いらない、と明言しているのだ。なんと太っ腹な神対応だろうか。
もちろん、自由に製品を描き込んでもいいとは言っても、倫理観が欠如した使い方や、マイナスなイメージになるものは避けなければならない。冒頭のツイートに追記する形で、シャープ株式会社公式ツイッターは以下のように述べている。
「ひとりでも多く、どうにかして自社製品を知ってもらいたいと願うのが企業であり、広告の仕事ですから、描かれて怒る、ということは原則ありえません。もちろん爆発するとか、むやみに壊れるとか、その製品の存在を毀損する場合はちょっと別ですけど。」
一部のユーザーからは「遠慮なく描かせてもらう」との声
このツイートを見たツイッターユーザーたちからは、「会社によっては”うちにあいさつなしで使うとはけしからん”とか、”こんな低俗な作品に使うとはけしからん”とかありそうですね。」と、スマートにOKを出したシャープの神対応に好感を持つ声や、「”怒られポイント”がある程度たまったら、よいお菓子を買って自身を労ったりしますか?」と、ツイッターの中の人のストレス解消方法を気にかける声など、さまざまなコメントがリプライ欄には寄せられていた。
また、実際に普段から漫画を描くユーザーからは、「テレビも冷蔵庫も除湿機もシャープさんなので、作中、家電が出てくる時は遠慮なく描かせていただきます。破壊シーンは多分ないと思いますのでw」といったコメントも上がっており、今後、シャープ製品が作中に登場する作品は、このツイートをきっかけにどんどん増えていくかもしれない。
怒るのは広告代理店や出版社?
しかし、リプライ欄には「怒るとしたら、広告代理店とか出版社ですね。フリーのマンガ家さんやイラストレーターさんが、個人のSNSなどで無料公開する分には何も問題ないですが、これが有料出版物になると、著作権の問題もありますが「広告に当たる」と判断されてしまうため、企業タイアップが取れなければ描き直しになります。」といった、興味深いコメントも書き込まれていた。
商業誌で漫画やイラストの掲載をされている方は、メーカーと一対一の問題ではないようなので、関係各所へのヒアリングが必要になりそうである。
シャープの公式ツイッターが、漫画やイラストなどの創作物における自社製品使用に関して、突然の意思表明をした今回のツイート。上記に述べたような面倒なしがらみが一切ない漫画家やイラストレーターの方はぜひ、本日を境にシャープ製品を作中に登場させてみてはいかがだろうか。
※サムネイル画像(Image:Cineberg / Shutterstock.com)