高速5G通信の普及で、スマホのデータ通信速度はWi-Fiか、それ以上に速くなってきたが、それでも自宅では、データ量や速度制限を気にすることなく安定した接続ができる「Wi-Fi」を導入している人も多いだろう。だが、高速な光回線を契約しているはずなのに、イマイチWi-Fiが遅いと感じることはないだろうか? そんなときは、お金をかけなくてもWi-Fiの設定を見直したり、Wi-Fiルーターの環境に少し手を加えてみよう。それだけでWi-Fiをもっと速くできるかもしれないぞ!
お金をかけなくてもWi-Fiの速度って速くなるの?
アナタの自宅にWi-Fi環境はあるだろうか? コロナ禍の影響でテレワークを余儀なくされ、自宅に固定回線(光回線)を引いてWi-Fi環境を構築した人も少なくないはず。
そこで問題になってくるのがWi-Fiの速度だ。ネットゲームやVOD(動画配信サービス)を楽しむのはもちろん、Zoom(ズーム)やGoogle Meet(グーグルミート)などを使ってオンライン会議するとき速度が遅いと、イライラしてしまうだろう。
もちろん、Wi-Fiの電波を発するWi-Fiルーターを買い替えたりする方法もあるが、実はお金をかけなくても、Wi-Fiの設定やWi-Fiルーターの環境を変えるだけで、速度をアップする方法もあるのだ。
【1】できるだけルーターの近くで作業する
Wi-Fiの電波は、電波を発するWi-Fiルーターから離れれば離れるほど弱くなってしまう特性がある。
たとえば、3LDKなどのマンション場合、リビングにWi-Fiルーターを置いているが、自分の部屋がリビングから離れた玄関側にある場合は、どうしてもコンクリートの壁に遮られて、Wi-Fiの速度が遅くなってしまう。
また、一軒家の1階にWi-Fiルーターがある場合も、2階の部屋ではWi-Fi電波が減退して速度が遅くなる傾向にある。
もし、Wi-Fiの速度が遅いと感じているなら、まず最初にすべきことはWi-Fiルーターを近くに置く、あるいはWi-Fiルーターの近くに行って接続することである。
【2】Wi-Fiルーターを見通しのよい場所に移動させてみる
アナタはWi-Fiルーターを自宅のどこに設置しているだろうか? もし、Wi-Fiルーターが部屋の隅の床などに置かれている場合は、Wi-Fiルーターの置き場所を変更してみよう。
Wi-Fiの電波はコンクリートや金属の壁などに隠れていると、電波が広く飛ばなくなってしまう。もっともいいのは天井や壁の高い位置に設置することだが、それが無理なら、せめてテレビ台の上などに移動させてみよう。
自分の目に見える場所にWi-Fiルーターを置くことで、電波がよく届き、速度が改善されることもあるのだ。
なお、Wi-Fi電波の2.4GHz帯は、電子レンジやBluetoothなどと同じ周波数帯なので、電波干渉が発生しやすい。Wi-Fiルーターは、できるだけこのような機器から離れた場所に設置するようにしよう。
■Wi-Fiルーターを置き場所の注意点
【1】床から1〜2m以上の場所に置く
【2】電子レンジやBluetooth製品から離す
【3】金属やコンクリートの壁から離す
【4】できるだけ家の中心に置く
【3】Wi-FiのSSIDを「G」から「A」に変更する
Wi-Fiにはさまざまな規格(周波数帯)が利用されているのは何となくご存じだろう。
ザックリ言うと、11b(11Mbps)・11g(54Mbps)・11n(300Mbps)といった古い規格では2.4GHz帯が使用されているが、11a(54Mbps)/11n(300Mbps)/11ac(6.9Gbps)といった新しい規格では5GHz帯が使用されているのだ。
そのため、Wi-Fiの電波を「2.4GHz帯(G)」に接続するか、「5GHz帯(A)」に接続するかで、速度は大きく変わってくる。
2.4GHz(G)帯は障害物に強く、5GHz帯(A)は障害物に弱いなど電波特性が異なるので、必ずしも「2.4GHz=遅い」「5GHz帯=速い」わけではないが、基本的に2.4GHz帯(G)から5GHz(A)帯に接続先(SSID)を変更するだけで、Wi-Fiが速くなる可能性が高い。2.4GHz帯と5GHz帯の違いについては、こちらで詳しく解説している。
ちなみに、ここ数年で発売された11nや11ac対応のWi-Fiルーターであれば、同時に2.4GHz帯(G)と5GHz帯(A)の2つの電波(SSID)を発しているので、どちらに接続されているかチェックしてみよう。
【4】Wi-Fiの無線チャンネルを変更してみる
都会ではマンションに住む人が多いと思うが、どの家にもWi-Fiルーターが設置されているため、Wi-Fi電波の無線チャンネルが干渉して速度が遅くなることがある。
あまり知られていないが、Wi-Fiの電波には複数の無線チャンネルが利用できるようになっている。とくに、2.4GHz帯はチャンネル数が13あるものの、隣り合った電波が重複しているため、独立して使えるのは実質3チャンネルしかない。
そのため、Wi-Fiを2.4GHzで接続していると、隣の部屋と同じかその周辺のチャンネルを使っている場合には電波干渉が起き、速度がガクンと下がることがあるのだ。
そんなときは、Wi-Fiルーターの説明書などを確認して設定画面を開き、無線チャンネルを変更してみよう。もし、現在「1」になっているなら、「5」や「13」などの離れたチャンネルを変更することで解決できる場合がある。
なお、5GHz帯のほうは独立した19チャンネルを利用できるため、隣の部屋と同じチャンネルを使う確率は低く、電波干渉が起きにくいと言われている。
【5】同時に複数のデバイスでWi-Fiに接続しない!
スマホ、タブレット、パソコン、ゲーム機、テレビ、レコーダーなど、1台のWi-Fiルーターに家中のWi-Fi対応デバイスを接続している人も多いだろう。
もちろん、Wi-Fiルーターは機種によって10〜30台ものデバイスが同時に接続できるようになっている。しかし、複数のデバイスが同時に大量にデータのやり取りを行っていれば、どうしても速度は遅くなってしまうのだ。
もし、仕事で重要なネット会議などを行うのなら、使っていないデバイスのWi-Fiをオフにしたり、家族がストリーミング動画などを再生しないようにお願いしてみるといいだろう。
【6】パブリックDNSサーバーを使ってみる
多くの人はネット回線を契約したISP(インターネット・サービス・プロバイダ)のDNS(ドメイン・ネーム・システム)を利用しているだろう。
しかし、ISPの「DNSサーバー」の処理が遅いとWebサイトなどの表示も遅くなり、Wi-Fiが遅いと感じるのだ。そんなときは、「パブリックDNSサーバー」という誰でも利用できるオープンなDNSサーバーに接続してみよう。
「パブリックDNS」はいろいろあるが、代表的なものに「Google Public DNS」がある。設定するIPアドレスは、「8.8.8.8」と「8.8.4.4」になっており覚えやすい。
たとえば、iPhoneの場合はWi-Fi設定を開き、接続しているSSIDで「DNSを構成」を開き、接続先をパブリックDNSサーバーの「Google Public DNS」に変更してみよう。これで速度が改善される場合がある。

iPhoneでパブリックDNSサーバー(今回はGoogle Public DNS)に接続するときは、まず「設定」からWi-Fiの(i)をタップして「DNSを構成」を選択(左写真)。「手動」に切り替え「サーバを追加」から「8.8.8.8」と「8.8.4.4」と入力したら、「保存」をタップすればよい
まとめ
いかがだろうか? Wi-Fiが遅くなる原因はいろいろ考えられるので、今回紹介した6つの方法を試してみてもらいたい。なお、多少お金をかけてもいいからWi-Fiを高速にしたいなら、Wi-Fiルーターを高速な最新規格対応機種に買い替えてみよう。