「X」に名称変更した旧Twitter。かつてはアカウントを作らなくても、ブラウザからTwitterにアクセスすれば、「閲覧のみの利用」が可能でした。しかし、「X」への改名直前に「閲覧のみ」が不可能に。2023年8月現在は、公式アプリからもブラウザからも、アカウントがなければ閲覧できない状態になっています。
この記事では、X(旧Twitter)をアカウントなしで本当に見る方法はなくなってしまったのか、あらためて検証します。
X.comとTwitterの使い方や閲覧方法は何が変わったの?
実業家のイーロン・マスク氏の買収以降、大きく変わり続けているX(旧Twitter)。まずは変わってしまった使い方や閲覧方法についてご紹介します。
ブラウザ版Twitterでログインせず「見るだけ」の利用が不可に
先述した通り、かつてはブラウザ版Twitterでは「見るだけ」の利用が可能でしたが、2023年8月現在は不可になっています。
Google以外のbotのクロールを基本的にブロック
ユーザーが通常通り「閲覧するだけ」では気付かないかもしれませんが、実はX.comの裏側では変化も起きています。それが「robots.txt」。「Xが検索エンジンにツイートを見せるか、否か」の設定が大きく変わったのです。

こちらはX.com(旧Twitter)のrobots.txt。GoogleやBingなど検索エンジンに対して、サイトのどのページに対してクロールをしてよいか情報を伝えるものです。robots.txtを具体的に見ていくと、「User-agent: Googlebot」に対してはクロールの許可を出しています。しかしそれ以外のbotに対してはクロールを基本的にブロックしています。つまり、多くのbotが「ツイートを見ること」ができない状態になっています
イーロン・マスク氏はTwitterのデータをLLM(大規模言語モデル)に用いることを表明済みで、新たな企業「xAI」を設立済み。OpenAI及びマイクロソフトに自社のデータを利用されることを避けるため、Bingをブロック。同様にGoogle以外のbotもすべてブロックしていると見るのが妥当です。
Googleに関しては検索エンジン経由のアクセスが激減してしまうことによるブランド価値の毀損を避けることを目的に許可している可能性が高いでしょう。また、もしかしたらxAIとGoogleが何らかの協力関係を結ぶ可能性もあるかもしれません。
なおXのrobots.txtは「https://twitter.com/robots.txt」から閲覧可能。twitter.comのドメインはすでに使用されておらず、Twitterの全URLがx.com配下に移る日は遠くなさそうです。
多くの検索コマンドが利用不可に
Twitterでは、検索時に便利なコマンドが多くありました。しかし、X改名の直前から、いくつかのコマンドが使用不可になりました。
最新の検索コマンドの状況については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
X.com(旧Twitter)は「見るだけ」でも利用可能?
結論から述べると、X(旧Twitter)は、アカウントなしの「見るだけ」の利用は不可。「見る」専用のアカウントを作るか、Yahoo!リアルタイム検索を使うかのどちらかをおすすめします。
Yahoo!リアルタイム検索は2023年7月末時点で通常通り利用可
Yahoo!リアルタイム検索は、X(旧Twitter)の投稿を検索することのできるYahoo! JAPANのサービスです。

Yahoo!リアルタイム検索はYahoo!の検索バーに検索したいワードを入力し、「リアルタイム」を指定して検索するだけ。「OR」検索も利用可能で、アカウントなしで「見るだけ」用途に使えるもっともおすすめのサービスです
見るだけ専用のX(旧Twitter)アカウントを作成して利用する方法
見るだけの専用に使えるX(旧Twitter)のアカウント作成方法を解説します。
「見るだけ専用アカウント」を作成する方法
新しくアカウントを作成する手順は以下の通りです。

【1】まず、Twitterアプリを開き、左上の自身のプロフィールアイコンをタップしてメニューを表示させます。①右上にある「アカウント追加」ボタンをタップし、②「新しいアカウントを作成」をタップします。【2】③名前、電話番号またはメールアドレス、生年月日を入力して、④「次へ」をタップします。既存アカウントで使用している電話番号、メールアドレスは使用できませんので注意してください

【5】次に登録した電話番号またはアドレス宛てに認証番号が送信されるため、届いた認証番号を入力し、⑦「次へ」をタップします。【6】アカウントのパスワードを設定します。8文字以上の英数字で新規パスワードを入力し、⑧「次へ」をタップ

【7】必要に応じてプロフィール画像を設定して、⑨「次へ」をタップ。画像は後からでも設定可能です。【8】ユーザー名を入力して、⑩「次へ」をタップ。ユーザー名はすでに使われているものは使用できません。また、あとから変更も可能です。【9】この画面が表示されるので、⑪「続ける」をタップします

【10】⑫興味のあるトピックを3つ以上選択して、⑫「次へ」をタップ。【11】さらに興味のあるトピックの詳細を選択して、⑬「次へ」をタップ。【12】最後に興味に合わせたおすすめのアカウントが表示されるため、必要に応じてフォローを行いましょう。⑭「次へ」をタップしてアカウント作成は完了です
「見るだけ専用アカウント」を非公開(鍵垢)に設定する方法
アカウントを非公開に設定する方法は以下の通りです。
既存のX(旧Twitter)アカウントで「見るだけ」の非公開リストを使う方法
わざわざ閲覧専用アカウントを作りたくない人は、「非公開リスト」を活用する方法があります。
非公開リストとは、アカウントをグループごとに分類できるリストを作り、非公開設定にしたものです。他のユーザーにそのリストを閲覧される心配がなく、非公開リストにアカウントを追加した場合は、フォロワーでも非フォロワーでも相手に通知されることはありません。
非公開アカウントの作成手順は以下の通りです。

【3】③自分で管理しやすいように③「リストの名前」や必要に応じて説明を入力し、④「非公開」のタブを有効にします。⑤「作成」をタップします。【4】追加したいアカウントを検索して⑥「追加する」をタップするとリストに追加することが可能です
非公開リストは、ホーム画面に固定しておくことも可能。頻繁にチェックする場合には、設定しておきましょう。手順は以下の通りです。
絶対にリストがバレたくないという場合には、リスト作成時に非公開アカウントで作成すること、また鍵アカウントにしておくことが重要です。
X(旧Twitter)が「見るだけ不可」になるとどのような影響が見込まれるの?
X(旧Twitter)が「見るだけ」を規制したことによる影響について解説します。
他の人へのツイートの共有がやりづらくなる
まず他の人へのツイートの共有がやりづらくなります。ツイートを共有しても「X(Twitter)」を利用していない人には閲覧自体ができません。

Twitterのヘビーユーザーにとってはこのことは気にならないかもしれませんが、たとえばZ世代の利用する主なSNSはTikTokやInstagram、またZenlyの後継に当たるSnapchatやwhooに移り変わりつつあります。これらの世代のユーザーが、1つのツイートを見るために「Xにログインする」かはやや疑問です
災害情報など公共性の高いツイートの閲覧もログイン必須に
災害情報や公的制度に関する情報など「公共性の高いツイートの閲覧」も、ログイン必須になってしまいます。たとえば政府や都道府県、省庁の発信する情報が「届きづらくなること」は、公的な情報発信の本来の目的と照らし合わせると望ましいことではないでしょう。
拡散効果や広告効果が下降する可能性が高い
Twitterを利用したキャンペーンや各種イベントを企画していた個人や事業者にとっては、拡散効果や広告効果が下降する可能性も高いです。「広告効果が落ちること」を見越して、X.comには広告を出稿しないというケースも今後より増えるかもしれません。
イーロン・マスク氏は自身のツイートで、Twitterの買収以来、広告収入が最大50%減少したことを明らかにしています。イーロン・マスク氏によるTwitterの買収と「閲覧にログインが必須になったこと」など各種変更は賛否両論ですが、少なくとも「広告主」からは反発を呼んでいるのは間違いありません。
参考元:イーロン・マスク氏のツイート
まとめ
2023年8月時点では、X(旧Twitter)をアカウントなしで見る方法はありません。代替手段としては、Yahoo!リアルタイム検索を活用する方法がありますが、わざわざ検索するのが面倒と感じる人は、見るだけ専用のアカウントを作ってしまった方が良いと言えるでしょう。特に災害情報など公共性の高いツイートをリアルタイムに閲覧することができる点では、X(旧Twitter)は情報収集のツールとして適しているため、アカウントを作っておくと便利でしょう。
※サムネイル画像(Image:KLYONA / Shutterstock.com)