「稼いでいる」というイメージの強いYouTuber。YouTubeの広告収入単価は具体的には公開されていませんが、1再生あたり約0.05円~0.7円と言われています。単価はジャンルによって異なりますが、基本的に再生回数が伸びれば伸びるほど、その分動画に収益が支払われます。

視聴者がYouTubeを再生すると広告が表示されます。広告が一定時間以上閲覧されたり、広告がクリックされたりすると、広告主がYouTubeに広告料を支払います。その一部が動画投稿者にも支払われるという仕組みになっています
派手なお金遣いも目立つYouTuberですが、一方で昨今、チャンネル投稿者数100万人超のYouTuberグループが解散したり、メンバーが脱退する事象も目立ちます。また最大手YouTuber事務所「UUUM」の赤字も記憶に新しいところです。

上場企業であるUUUMは2023年5月期決算で、2017年の上場以来初の大型赤字に転落。要因のひとつとして「ショート動画に人が流れたこと」が挙げられており、YouTubeショートショックとも言われています
(画像引用元:UUUM公式サイト)
最近のYouTuber事情は単に「チャンネル登録者数が多ければ安定」というわけではないようです。今回はそのようなYouTubeの「広告収入」について解説します。
【通常動画】YouTubeの広告収入の目安 | 人気YouTuberも0.3円~0.5円前後
YouTuberがどの程度広告収入を受け取っているか口外することはタブー化されていますが、一般的に広告収入の単価は1再生あたり約0.05円〜0.7円と言われています。
そんな中、YouTuberで格闘家のシバターさんが2022年6月4日に自身のチャンネルに投稿した「オワコンな俺の収益を発表します」という動画の中で、前月のYouTubeの広告収益について明かしました。
なお、シバターさんはメインチャンネル「PROWRESTLING SHIBATAR ZZ」のほか、サブチャンネル「パチンコ・パチスロ日本代表ch」も運用しています。

シバターさんは「円」を「バナナ」に例えて収益を公表。動画によると2022年5月のYouTube広告収益はメインチャンネルが104万、サブチャンネルが34万で、合計138万。また、企業案件が11本あったといい、その収益が280万。合わせて418万だったそう
ユーチュラによると、シバターさんの2022年5月の動画再生回数は、メインチャンネルが338万回、サブチャンネルが68万回。つまり、メインチャンネルの単価は0.31円、サブチャンネルの単価は0.5円となっています。
シバターさんのメインチャンネルは炎上した芸能人をネタにした「〇〇を救いたい」という炎上しがちな動画が多い一方、サブチャンネルはほとんどがパチンコ・パチスロの動画で、専門性が高く、広告主にとって「広告を出しやすい」仕上がり。再生回数の高いメインチャンネルの方が収益的には高くなっていますが、再生回数あたりの単価で考えると、専門的なサブチャンネルの方が収益率が高いようです。
ちなみに、シバターさんは2023年8月6日に公開した動画の中では自身の収益についてメインチャンネルとサブチャンネル合わせて収益が「70万円」と発言し、YouTubeの広告単価が過去最高レベルに悪くなっているとも述べています。
70万円という数字だけを見ると、確かに「広告単価が下がっている」ように見えるかもしれませんが、そうではありません。
ユーチュラ調べでは、シバターさんの2023年7月の動画再生回数はメイン・サブを合わせて合計215万回。2022年5月時点と比べ、再生回数が半減。つまり広告単価はそのままで、再生回数が下がっている形です。通常動画の1再生当たりの広告単価自体は2022年も、2023年も横ばいです。
ただし短い尺の動画やショート動画に、2022年時点よりも人が流れやすくなったという側面はあるでしょう。ショート動画の収益についてはより詳しくは後述します。
短い尺のチャンネルには逆風 | 人気チャンネルでも推定0.1円~
シバターさんの動画はメインチャンネル、サブチャンネルともに基本的には「8分以上」のものが多く、長尺であるという特徴があります。シバターさんのチャンネルと比較して、より短い動画が多いチャンネルには非常に強い逆風が吹いています。

たとえば時事系YouTuberのへライザー総統さんのチャンネルは元々は2分程度、最近は4分程度の動画が多いです。内容としてはシバターさんのメインチャンネルに比較的近く、いわゆる「炎上系」。2023年7月30日の公開動画の中では3カ月前と比べ、広告単価が3分の1以上も減っていることを明かしています。へライザー総統さんのチャンネル登録者は、ユーチュラによると32万4000人(2023年8月2日時点)。月間の再生回数は526万7721回ほどと見られます
動画の中でヘライザーさんは、「38万回再生」の動画の収益について、シバターさんでいうところの「バナナ」を「りんご」に例え、「5個分」と表現。「1りんご=1万円」単位なので、収益は1再生あたり0.13円となり、月間再生回数と掛け合わせると68万円ほどの広告収益となります。
広告収益だけを見ると、やはり「3分の1以上も減少する」のは非常に痛手。長い動画の方が基本的にはやはり有利です。
なお上の試算は、スパチャなど広告以外の収益は考慮していません。上の試算はあくまで試算であり、実際のチャンネルの総収益を示すものではないためご注意ください。
【ショート】YouTubeの広告収入の目安 | 1再生当たり0.005円~0.01円
YouTubeショート動画は、60秒以内の短い動画を作成したり視聴できる機能です。

YouTubeショート動画の収益は、「クリエイタープール」で管理されています。簡単に言うと、その動画の再生回数が総再生回数に対しどれくらいの回数かによって収益が変わってくる仕組み。単価は「0.005円~0.01円」が目安と言われています
YouTubeの通常動画の再生単価を0.3円とした場合、30分の1以下の単価であり、非常に単価が低いのが現状です。ショートの収益についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
UUUMは「YouTubeショートショック」に直面
先述した通り、UUUMは2023年5月期決算で過去最大の赤字を出し、大きな話題に。クリエイターの流出も相次いでいます。
その原因となったと言われているのが、「YouTubeショートショック」。これはZ世代には短い動画が好まれる一方、前述の通り「通常動画の30分の1」などと単価が低いために大幅に収益がダウンしてしまったというもの。ショート動画が伸びてクリエイターの知名度が上がっても、通常動画に繋げられず、「利益にならない」というジレンマに陥ってしまいました。