スマホの月額料金を節約したいと思っている人にとって、格安スマホは魅力的な選択肢のひとつ。

しかし大手キャリアと格安スマホを比較すると、格安スマホに乗り換えた方が半額程度まで月額料金が下がるのは事実です。上記は大手の通信キャリアと、楽天モバイルに代表される格安スマホの料金例。なおどちらもiPhone14シリーズかつデータ通信無制限を前提としています
また格安スマホに乗り換えると「通信速度が安定しないのではないか」「端末をそのまま使い続けることができなくなるのでは」と不安もありますよね。
そこで今回は「格安スマホはやめとけって本当なのか」や「後悔しない格安SIM選びのポイント」を図解。YES/NOで答えるだけで、自身が「格安スマホに向いているのかどうか」も分かるので、ぜひ参考にしてください。
また後半では実際に格安スマホの1つ「mineo」で、お盆の東京駅や新幹線、またロックフェスの会場で速度計測。人混みで本当に格安スマホは繋がらないのか検証しました。検証結果もご紹介します。
格安スマホとは?格安SIMを提供しているキャリアの例
格安スマホとは、大手キャリアよりも安い月額料金でスマホを使えるサービスのこと。ちなみに正確には「格安スマホ」ではなく、「格安SIM」が正しい表現です。

格安SIMを提供しているキャリアは大きく分けて2種類あります。一つはMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれるキャリアで、大手キャリアから回線を借りてサービスを提供しています。もう一つはMNO(移動体通信事業者)と呼ばれるキャリアで、自前で回線を持ってサービスを提供しています。MNOの中には大手キャリアの子会社や関連会社も含まれます
代表的な格安スマホキャリアは以下の通り。
MVNO | MNO |
mineo | UQ mobile |
IIJmio | 楽天モバイル |
OCN モバイル ONE(※) | Y!mobile |
BIGLOBEモバイル | ahamo |
イオンモバイル | povo |
LINEMO |
(※)OCNモバイルONEは2023年6月26日に新規受付を終了済み。ただし利用中のユーザーは継続利用可能なため本記事では注釈付きの上で記事内で引き続き紹介しております。
参考元:OCNモバイルONE
【図解ですぐ分かる】格安SIMがおすすめの人・おすすめしない人
格安SIMがおすすめの人とおすすめではない人をすぐに確認できるチャート図を作りました。

もしもこの画像が小さくて見にくい場合、タップすれば拡大表示が可能です。このチャートでは質問に一つひとつ答えていくと、格安スマホが自分に向いているかどうかが分かります。例えば、月々の支払い料金をそこまで重視せず、通信速度の安定性を重視する人は、格安スマホに向いていないという結果となります
格安スマホはやめとけと言われる理由
大手キャリアと比較して、しばしば格安スマホ(格安SIM)は批判の対象にもなります。「格安スマホはやめとけ」と言われる理由には以下のような項目が挙げられます。
キャリアメールやLINEのID検索が使えない場合も
格安スマホでは大手キャリアのメールアドレス(@docomo.ne.jpなど)が使えません。意外かもしれませんが、たとえばahamoでもドコモのキャリアメールは別途手続きしないと使用できません。
いままで使っていたキャリアの解約時、もしくは解約から30日以内に「メール持ち運びサービス」を契約し、月額料金を払って使う必要があります。
キャリア別のサービス内容と月額料金は以下の通り。
キャリア | 月額料金 (税込) |
条件 |
ドコモ | 330円 | 回線契約にもとづいて発行されたdアカウントのIDを持っていること |
ソフトバンク | 330円 | 持ち運びたいメールサービスを利用されていた回線契約のSoftBank IDを持っていること |
au | 330円 | au回線契約にもとづいて発行されたauIDを持っていること |
キャリアメールを使うためだけに月330円を支払う必要があるのは大きなデメリット。さらにメールアドレスの変更はできません。
また格安SIMでは、LINEの年齢確認ができないため、ID検索機能が利用できないことがほとんど。新しくユーザーを友だちにしたい場合は別の方法を使う必要があります。
端末の選択肢が限られることも
格安SIMでも端末の販売をしているキャリアは多くあります。しかし、種類が限られている上、在庫状況に限りがある場合も。
また、LINEMOなど、そもそも端末販売をしていないキャリアもあります。

格安SIMキャリアでも、ahamoはドコモを通してiPhoneの最新機種が購入可能。ほかの格安SIMキャリアでは、iPhoneでも一世代前のものから購入できます(画像引用元:ahamo公式サイトより)

楽天モバイルでも「Rakuten Hand 5G」というコンパクトな5G対応端末を実質1円で独自提供するという独自のキャンペーンを行うなど、格安SIMの各キャリアのラインナップは充実してきています(画像引用元:楽天モバイル公式サイトより)
口座振替に対応していないキャリアがある
格安SIMでは支払い方法や初期設定に制限があることもあります。
キャリアの場合、請求書払いやモバイルバンキング払いなどが可能。一方、格安SIMの場合、支払い方法はクレジットカードか口座振替のみの場合がほとんど。また、初期設定は自分で行わなければならないことも。店頭で申し込みやサポートを受けられるキャリアはごく少数です。
MVNOは通信速度が不安定でつながりにくいことも
MVNOは大手キャリアから借りた回線帯域を提供する仕組み。なおかつ借りた回線帯域は、多数のユーザーでシェアされます。そのため、エリアや時間帯によっては通信速度が不安定になりやすいのは事実。とくに混雑した場所や夜の時間は繋がりにくくなることがあります。
【実機検証】格安スマホは本当に繋がらないの?混雑している場所で測定
筆者は2017年から格安スマホを利用し、特に普段使いで「繋がらない」と感じたことはありません。
とはいえたとえば「お盆の新幹線」や「東京駅」、また「夏フェス会場」といったただでさえ繋がりにくい箇所でハードに速度計測を行ったことはありませんでした。そこで今回はせっかくなので、上記の3通りで速度を計測しました。
結論としては「夏フェス会場のような過酷な環境でなければ、格安スマホで十分に繋がる」というものでした。実際の測定結果をご紹介します。
使用した格安SIMと端末
筆者が契約しているのはmineo(Aプラン)。端末はPixel 6aを利用しています。なお、速度を計測するにあたり、インターネット通信速度の計測サービス「Fast.com」を利用しました。
通常時の上り/下り速度
通常時(在宅時)の速度は、下りが140Mbps、上りが8.4Mbpsでした。
東京駅での上り/下り速度
お盆休み真っ只中の東京駅で計測してみた結果、下りが9.3Mbps、上りが18Mbpsでした。

自宅と比べ、下りは格段に数値が落ちていました。東京駅構内ではQRコード決済を使うためにスマホを使用しましたが、画面が開きにくいと感じることが何度かありました。とはいえ5~10Mbpsの範疇ではあり、及第点です
新幹線車内での上り/下り速度
新幹線の中で速度を計測したところ、下りが27Mbps、上りが14Mbpsでした。東京駅よりは早いものの、自宅よりは繋がりにくいという結果でした。
ロックフェスでの上り/下り速度
筆者はお盆中、蘇我で開催されるロックフェスに行く機会がありました。せっかくなので入場時の待機列で計測を実施。結果は下りが2.1Mbps、上りが24Mbpsという、もっとも低い数値になりました。

ちなみに会場では待機列に向け、通信が繋がりにくいことが主催者側からもアナウンスされていました。筆者自身も速度計測をして「これは厳しい数値だ」と感じ、入場に必要なQRコードなどはスクショして利用できるようにしました。会場内では多くの屋台でQRコード決済の支払いを受け付けてもいましたが、現金列に比べるとQRコード決済列は行列ができやすい印象がありました。筆者の場合はmineoでしたが、それ以外のキャリアでもやはり繋がりにくかったのでしょう
総じてmineoでの検証結果としては、夏フェスのような過酷な環境でなければ「お盆の東京駅でも快適に使える」という結果でした。格安スマホが「特段繋がりにくい」ということはなく、混雑している百貨店でも快適にQRコード決済も使えました。
そのため「繋がりにくさ」を理由に、格安スマホを選ばないのはちょっと勿体ないかもしれないなという印象です。