100均のダイソーでは、最近110円以上のスマホ・パソコン用品が非常に充実しています。今回筆者は見つけたのは「カテゴリ8(CAT8)のLANケーブル」。“カテゴリ8”といえば、データセンターで使われるような高級品ですが、それがたった550円で売られていたので、つい衝動買いしてしまいました。1Gbspの光回線ならカテゴリー6でも十分ですが、いったい、どのような状況ならカテゴリ8のLANケーブルを買う意味があるのでしょうか?
一般家庭で「カテゴリー8」は明らかにオーバースペックだが……
最近のダイソーは110円以上の製品が充実しています。なかでもパソコンやスマホ製品は驚くような商品が並んでいることがあります。
そのようななか、先日、筆者が思わず二度見して即買いしたのが、550円で販売されていた「超速フラットLANケーブル CAT8 2m」です。
筆者が二度見した理由は「カテゴリ8(CAT8)」対応であること。“CAT8”といえば最大速度が40Gbps、伝送帯域が2,000MHzという超ハイスペック仕様であり、通常はデータセンターなどで使われるようなプロ仕様の製品です。
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そもそも現在、一般家庭の光回線ネットサービスの速度は100Mbps〜1Gbps程度、10Gbps対応のNTTの「フレッツ 光クロス」も、マンション向けは22年9月にサービスを開始したばかりで、40Gbpsのサービスはありません。
下の表にLANケーブルの種類を紹介していますが、現在販売されているカテゴリは5〜8まであり、数字が大きいほど通信速度が速く、伝送帯域が広くなっています。
LANケーブル | 通信速度 | 伝送帯域 |
カテゴリ5(CAT.5) | 100Mbps | 100MHz |
カテゴリ5e(CAT.5e) | 1Gbps | 100MHz |
カテゴリ6(CAT.6) | 1Gbps | 250MHz |
カテゴリ6a(CAT.6A) | 10Gbps | 500MHz |
カテゴリ7(CAT.7) | 10Gbps | 600MHz |
カテゴリ7a(CAT.7A) | 10Gbps | 1000MHz |
カテゴリ8(CAT.8) | 40Gbps | 2000MHz |
LANケーブルのカテゴリをまとめました。1Gbpsの光回線を利用している人なら、「カテゴリ5e」以上のケーブルを使っていれば、スペック上は問題ありません(表は筆者が独自に作成)
たとえば、光回線が1Gbpsのサービスなのに、100Mbps対応の「カテゴリ5」のLANケーブルを使っていると、最大速度は100Mbpsで頭打ちになり、本来の速度がでません。
この場合は、最低でも1Gbpsに対応する「カテゴリ5e」以上を利用する必要があるのです。
また、10Gbsp対応の光回線「フレッツ 光クロス」を利用していても10Gbps対応の「カテゴリ6A」以上のLANケーブルを使っていれば、何も問題ありません。
つまり、現状では一般家庭でサービスが提供されていない40Gbps対応「カテゴリ8」のLANケーブルを利用する必要はなく、明らかにオーバースペックと言えるでしょう。
ちなみに、大手家電量販店ではCAT8対応のLANケーブル(2m)は1,500円程度、Amazonでも国内メーカー製品は1,200円程度はします。
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いざ実測!やはり「カテゴリ8(CAT8)LANケーブル」の効果は絶大だった
ダイソーの「超速フラットLANケーブル CAT8 2m」は、通常の半額以下の550円という価格で販売されています。
しかし、スペック上は明らかにオーバースペックなので、ネットでも「ダイソーがなぜこのようなものを売っているのか分からない!」といった声が聞かれました。
確かに、ダイソーには「カテゴリ6A」対応LANケーブルも330円で販売されていますので、あえて価格の高いカテゴリ8の製品を売っている意味が分からないというのも頷けます。
それはともかく、ダイソーで購入したあと、筆者はさっそく自宅でカテゴリ8のLANケーブルを使用してみましたが、その前に筆者のネット環境を確認しておきましょう。
筆者はマンション住まいで1Gbpsの光回線を利用しています。とはいえ10年前の入居時は100Mbpsのサービスで、2年前に1Gbpsに速度アップしたばかりです。
昔のことなのでパソコンに挿しているLANケーブルのカテゴリまでは覚えていませんでしたが、現物のLANケーブルを確認すると「CAT.5」と表記されていました。
また、筆者は11acに対応するバッファローのWi-Fiルーター「WSR-2433DHPL」を利用しています。背面のハブは1Gbpsに対応しており、パソコンのLANケーブルはWi-Fiルーター経由で接続しており、壁から直挿しではありません。
そこで、まず現状の実効速度(ダウンロード)を計測してみたところ、たまに400Mbpsを超えることもありましたが、200〜300Mbpsくらいで平均では270Mbpsほどでした。
もし、カテゴリ5のLANケーブルなら100Mbps以上は出ないので、筆者のLANケーブルはカテゴリ5eであったと考えられます。
それにしても、1Gbpsサービスなのに実測値が270Mbpsなのは、少し実効速度(ダウンロード)が遅いようにも感じもします。
次に、Wi-Fiルーターから古いカテゴリ5eのLANケーブルを抜いて、ダイソーのカテゴリ8に入れ替えてみました。
すると、ネットの実効速度(ダウンロード)は一度も400Mbpsを下回ることはなく、最大550Mbpsを記録するほどに速くなったではありませんか!
平均すると480Mbps程度でしたので、明らかにカテゴリ8対応LANケーブルの効果があることが確認できました。
ここまで速度差が出たのは、おそらくカテゴリ8のLANケーブルは超広帯域であり、ノイズ耐性も高いことが関係していると考えられます。
結局、筆者の場合は古いLANケーブルがボトルネックとなっており、そのせいで何年もネットの速度が遅かったことが判明したのです。
残念ながら10Gbpsサービスの環境では効果なし!
自宅の古いLANケーブルをダイソーのカテゴリ8に交換したら、実効速度(ダウンロード)が2倍くらいにアップして大喜びしていた筆者ですが、それだけで絶賛するわけにはいきません。
そこで、10Gbpsのフレッツ 光クロスを導入したマンションに住む、オトナライフの編集部員にも同じように実験してもらいました。
使用しているLANケーブルには「CAT.6A」の表示が確認できたので、スペック的にはまったく問題ないはずです。ちなみに、パソコンへは壁からLANケーブルを直挿ししています。
続いて、壁のカテゴリ6Aケーブルを抜いて、ダイソーのカテゴリ8にLANケーブルを交換してみます。果たしてその結果は……。
残念ながら結果はほとんど変わらず、平均すると900Mbpsでした。50Mbpsは誤差の範囲でしょう。
つまり、10Gbpsのサービスでカテゴリ6Aのケーブルを利用している人なら、わざわざダイソーのカテゴリ8に交換しても速度差はほとんどなく、あまり意味がないことが確認されたのです。
まとめ
いかがでしょうか? 今回はダイソーで550円のカテゴリ8対応LANケーブルを紹介しました。
筆者のように1Gbpsのサービスを利用しているのに、古いLANケーブルを使っている人なら、カテゴリ8に交換することで速度アップが見込めるかもしれません。
ただし、10Gbpsのサービスでカテゴリ6AのLANケーブルを利用している場合は、当たり前ですが、スペックどおりで速くなることはありませんでした。
正直言って筆者の環境なら、カテゴリ6A対応ケーブルに交換しても結果は同じだったような気もしますが、価格差は220円しかありませんので、どちらでもいいかと思います。
なお、100Mbpsかそれ以下のADSLサービスなどを利用している人は、カテゴリ5でもスペック的には十分なので、カテゴリ8はまさにオーバースペックになります。
ただし、相当古いLANケーブルを利用しているなら、ヘタっているかもしれないので、ダイソーで330円のカテゴリ6Aケーブルに交換することで、多少は速度アップが見込めるかもしれませんね。
※文中の価格はすべて税込です
※記事中の商品は筆者(編集部)が購入時点のものです(2023年9月)。店舗によっては在庫切れ、取り扱いがない場合もありますのでご了承ください。