ドコモやソフトバンク、auといった大手キャリアに割って入る形で近年登場した楽天モバイル。低コストで高品質な通信サービスを提供したこと、楽天経済圏の利用者に特典を与えたこと、仮想化技術によってネットワークの効率化を図ったことなどが理由で急激に普及しています。

女優の米倉涼子さんや今田美桜さんが出演するTVCMでも話題を集める楽天モバイル。「1GB未満無料」といった大規模キャンペーンで話題を集めました(現在は廃止)。2023年6月からは「Rakuten最強プラン」の提供もスタート。従来の「Rakuten UN-LIMIT VII」と同じ料金体系の月々3,278円(税込)で、データ高速無制限に。かつ、au回線の利用制限も撤廃されており、圧倒的に安価かつ使い勝手のいいプランを実現しています(画像は「楽天モバイル」公式サイトより引用)
しかし、一部ネット上からは「楽天モバイルは危ない」との声も。その理由として、まず「楽天モバイル債」の発行が挙げられます。

楽天グループ株式会社は、2023年2月10日に個人投資家向けとしては過去最大の2,500億円規模の楽天モバイル債を発行しました。債権の発行の背景には「楽天モバイルの基地局整備など設備投資」があると見られます。同社は2022年12月に2580億円の最終赤字を記録。「手元のキャッシュの確保」に奔走していると見れば、不安視する声が出るのも仕方ありません。一方で、債権としての利回りは「年3.3%の利息」。すでに完売していますが、楽天モバイル債を購入すべきかどうか悩んだ方もいるのでは
●楽天グループ株式会社「格付・社債情報」は→こちら

また2023年6月10日には、株式会社ライブドア(旧:オン・ザ・エッヂ)の創業者として知られる堀江貴文氏が、自身のYouTubeチャンネルの動画で「三木谷さんにね、ご提案と言いますか。そろそろ、ね、Amazonなんかに売っちゃったらどうだろうと」と楽天モバイルの売却を進言したことも話題となりました。背景には楽天モバイルの経営難や、楽天グループの公募増資、代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏の保有株式の比率の低下などが指摘されています(画像は「エックスモバイル」プレスリリースより引用)
●女性自身「Amazonに売っちゃったら」堀江貴文 大赤字の楽天モバイルめぐり三木谷社長に苦言→こちら
楽天モバイル債権の発行や堀江貴文氏の発言を受け、楽天モバイルの先行きに不安を感じる方もいるのでは。また「Rakuten最強プラン」は始まったばかりということもあり、プランのメリットやデメリット、先行きや将来性を把握できていない方も多いでしょう。

楽天モバイルといえば衝撃の「1GB未満無料キャンペーン」のイメージが強い人も多いのでは。無料ならとりあえず契約しておきたいと考えている方もいるかもしれませんが、すでにキャンペーンは終了しています。楽天モバイルが危ないと言われる主な理由は経営不振ですが、店舗数が少ない上に、その店舗が閉店ラッシュが起きていることも要因のひとつです
そこで今回は、楽天モバイルがなぜ「危ない」といわれるのか、利用のメリット/デメリットやおすすめする人/しない人の特徴を徹底解説。「楽天モバイルが気になるけど少し不安…」「楽天モバイル債の先行きを改めて検討したい」といった方はぜひ参考にしてください。
楽天モバイルはなぜ危ない? 6つのデメリット/リスク
楽天モバイルが「危ない」と言われる背景には、前述した「楽天モバイル債」の発行などの経営不安が挙げられます。また、「無料だと思って契約したのに1000円台の料金が発生する」といった点も挙げられます。
最初に楽天モバイルの「デメリット」を解説します。後述する「メリット」とあわせて、楽天モバイルが自分に向いているキャリアか検討してみてください。
1GB未満無料キャンペーンは終了済み | 月額料金は最低でも1,000円台
先述した通り、楽天モバイルといえば、無料キャンペーンによってユーザー数を急拡大したというイメージを持つ方も多いでしょう。実際に2022年6月までは月のデータ使用量が1GB未満なら無料というプランがありました。
以前行われていた楽天モバイルの「1GBまでの通信は無料」プランの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
しかし、2022年7月から新プランに移行し、3GBまでで1,078円(税込)へと料金プランが変更となっています。それでもまだ安いですが、「超お得」な期間は終わってしまいました。
店舗数が少ない | 閉店ラッシュの傾向も見られる
楽天モバイルは2020年4月から本格的に4G回線の提供が始まったサービスであり、まだ実店舗数が少ないのが現状。ドコモなどが全国2,000店舗以上を構える中、楽天モバイルは2022年3月に1,000店舗をようやく突破。また日本郵政グループと提携し、全国の郵便局内に「楽天モバイル郵便局店」を展開してきました。
しかし、楽天モバイルはこの「郵便局店」を2023年4月までに約200店舗閉店。「閉店ラッシュ」として、ネット上で大きな波紋を広げました。

実際、SNSでは2022年12月頃から「楽天モバイル神楽坂店閉店したんだ 数カ月しか保たなかったんじゃないか」「コリドー通り楽天モバイル、11月30日で閉店。」「楽天モバイル豊橋ミラまち店、2022年11月30日閉店。」といった閉店レポートが話題に。ネットで手続きできるとはいえ、契約にあたって店頭でいろいろと質問したいという人もいるはず。近隣に店舗がなければ不便に感じることも多いでしょう(画像は筆者撮影)
楽天モバイルの閉店ラッシュについてはこちらも参考にしてください。
操作サポートが有料 | 操作説明をしてもらうには550円(税込)かかる
楽天モバイルの店舗では製品やアプリの操作説明を依頼できますが、そのためには「あんしん操作サポート」への加入が必要です。加入には550円かかります。また、すべてのショップが対応しているわけではありません。対人のサポートを求める人にはあまりおすすめできません。
通話料無料にはアプリの利用が必要 | うっかり標準アプリで電話しないよう注意
楽天モバイルユーザーは、専用の通話アプリ「Rakuten Link」を使うことで通話料が無料になります。

Rakuten Linkの便利なところは「相手側がアプリを使う必要がない」点。筆者個人の見解ですが、慣れるとLINEでの電話より便利です。ただし、誤ってスマホに標準で備わっている電話アプリを使うと通話料がかかるため、慣れるまでは要注意
「通話料無料」と思い込んでいると、思わぬ出費に繋がることがあります。
iPhoneは受信通知が標準アプリに届く | そのまま電話を折り返すと通話料が発生
楽天モバイルでiPhoneを使う場合、「Rakuten Link」アプリを使用していなければ、電話やSMSの通知はスマホの標準アプリに届きます。そのまま電話を折り返してしまうと前述の通り通話料がかかるため、こちらも注意が必要です。
au回線のローミングへの依存度が高い | 過去にはパートナー回線の段階的終了も
後述しますが、楽天モバイルの「繋がりにくい」「電波が通じない」といったデメリットは、2023年6月から提供が始まった「Rakuten最強プラン」でau回線のローミングが無制限になったことから大部分が解消されています。

「Rakuten最強プラン」の人口カバー率は99.9%。一方、楽天グループの23年5月12日の発表によれば、楽天モバイルの「人口カバー率」は98.4%でした。つまり、他社と並んで楽天モバイルが99.9%の人口カバー率となれたのは、au回線のローミングの影響が大きいといえます。楽天モバイルは「プラチナバンド」を保有していませんが、その弱点はau回線を完全なパートナー回線にすることによって解消された形です
このようにau回線によって弱点が解消された一方、楽天モバイルは以前パートナー回線を大幅に縮小した過去があります。
「Rakuten最強プラン」は楽天回線だけでなくau回線も利用することによって、高い人口カバー率を実現していることは理解しておく必要があります。過去にパートナー回線の順次打ち切りが実際に起きているのは、利用する側にとっては不安要素と言えるでしょう。
後述しますが、楽天モバイルが「プラチナバンドを獲得できるかどうか」は注視すべき点です。